静かな別れ

静かな別れ

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コラム
ずいぶん前、何かが始まる気がしていた。



胸の奥が少し温かくて、先のことを考えるだけで、時間が早く過ぎた。



あの頃は、ただ、自分がいてもいいと思える場所がほしかっただけなのかもしれない。



けれど、いつからか、思っていたものとは少し違う景色が広がっていた。



何がどう違うのか、はっきりとは言えない。



ただ、同じ場所を歩いているような日が、少しずつ増えていった。



簡単じゃないことは、頭では分かっていたはずなのに。分かっていることと、実際に味わうことは、こんなにも違うのだと知った。



離れていったものがある。



誰が悪いわけでもなく、何かがあったわけでもない。



ただ、気づけば遠くなっていた。



うまく言葉にできないまま、胸のどこかに残っている。



ふとした瞬間に思い出して、少しだけ息が詰まる。



大切にしていたものが、ある日ふと壊れてしまうことがある。



理由は分からない。



逃れられないものだったのかもしれない。



もう元には戻らないということだけが、静かに分かる。



何度か、足が止まりかけた。



そんなとき、ふとした優しさに救われたことがある。



それがなければ、きっともっと早く、立ち止まっていたと思う。



それでも、まったく何もなくなったわけではない。



ここまで来たことで、手元に残ったものが確かにある。



それが何なのかは、今はまだ、うまく見えない。



その先に何があるのかは、まだ分からない。



ただ、今日はこのまま、少しだけ空を見ていたい。
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