そこには優しい世界が広がっていた...

そこには優しい世界が広がっていた...

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 本日は、先日私が体験した「優しい世界」のお話です。

 私には息子がおりますが、その息子は幼い頃から細かなものを創作することが好きでして、今でも身近なものを利用して、大人があっと驚く作品を作り上げたりします。

 そんな息子の希望で、先日、個人制作のハンドメイド作品を展示・販売するイベントに行ってきました。そのイベントは、主にアクセサリーなどの小物を個人の方が製作して、それをブースで出店して自ら販売するというものです。その中心は、可愛いアクセサリーという女性嗜好のものではありますが、そこには男の子向けの恐竜をモチーフにしたアクセサリーも販売しているということで、息子がそれに興味を抱き、私と2人で訪れることになりました。

 とはいえ、息子は良いとしても、私のような中年男性がそのような場所に行くことに、当日まで多少の緊張と一抹の不安を抱えていました。

 ところが、行ってみると、そのイメージは一転しました。そこには驚くべき「優しい世界」が広がっていたのです。

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 会場に到着し、事前に購入していた入場券を提示して会場内に入ります。そこは思ったより狭い会場でしたが、人はその会場を埋め尽くすほどで、どこも賑わっていて活気がありました。

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 入った瞬間に感じたことは、たしかに来場者の大半が女性なのですが、その中に私のような息子連れの中年男性が立ち入っても、何ら抵抗を感じず、それどころか歓迎すらされているような不思議な感覚を覚えました。



 入場後はさっそく息子のお目当ての男の子向けアクセサリーの出展ブースに向かいます。そこは、他のブースと比べるとやや人の流れは控えめでしたが、20代くらいの若い男性の出展者さんが迎えてくださり、楽しく会話をすることができました。そして、そこで息子が気に入った作品を自分のお小遣いで買っていました。

 その後は、別のブースも見て回ります。そんな中、私はとても素敵なガラス細工の置物を見つけました。それは、繊細で可愛らしいデザインでありながら、どこか力強さも感じる作品でした。

 そこで私はそのブースの出展者さんに、「素敵な作品ですね」と声をかけさせていただきました。

 ですが、後で知ったのですが、その声を掛けた方は、隣のブースの出展者だったようです。会場の区画はとても細かく仕切られていて、隣接するブースは密接しています。そしてその作品の出展者さんは一時的に席を外していたようでした。そのため、私は誤って隣のブースの出展者さんに声をかけてしまったようです。

 ところが、その方は私にこう返事をしてくださいました。



『素敵ですよね、私も好きです』



 このような状況であれば、通常は「私の作品ではありませんよ」と言うと思います。もしかしたら、自分の作品ではないものを褒められて、怒ったり機嫌を損ねる人もいるかも知れません。 

 しかし、その方は、突き放すことはせず、かといって自分の作品ですとその場を繕うこともせず、ただ私の言葉に共感してくださいました。



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 後になってそのことに気づいた時、入場時に感じた不思議な感覚の正体が分かりました。 




ここには「優しい世界」が広がっている。




 このような個人によるハンドメイド作品の出展は、「競争」よりも「共感」が起こりやすい環境にあります。 

 そのため、「他の人よりも自分の作品を売ろう」という意識よりも、「他の人の作品も素敵」という世界観になりやすい雰囲気があります。


 その理由は、そこには「好き」という共通意識が存在しているためです。


 その会場にいる人は、出展者も来場者も、全員がハンドメイド作品という“小さいけど温もりのある世界”が好きな人たちです。そのような「好き」という共通意識をみんなが持っているため、その場にいる全員がその世界観を壊さないように大切にします。


 そのため、おのずとそこには「優しい世界」が生まれます。


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 現代は、他人に厳しい人が多くなり、SNS上では日々、他人への攻撃や誹謗中傷が行われています。

 ですが、だからといって、世の中全体が「冷たい世界」になった訳ではありません。特にSNS上では、過激な意見ほど色んな意味で注目を浴びやすいため、そんな声の大きい攻撃的な人が目立ってしまうのです。そのため、世の中全体が他人に攻撃を向けていると錯覚してしまいます。

 しかし、それはごく一部に過ぎません。現実の世界には、あらゆるところに「優しい世界」が存在しています。

 心の優しい人ほど生きにくい世の中になっています。しかし、目に前に見えている世界がその全てを表している訳ではありません。優しい人ほどあまり声を挙げないので目立たないだけであり、現実には身近にもたくさんの優しさが溢れています。


 もし、今、生きることが苦しいと感じたら、そんな優しい世界を見つけに行ってみてください。きっと見つけられると思います。

 今回は、そんな私が体験した「優しい世界」のお話でした。

上杉浄寂

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