焦げたものを食べるとがんになる?分かっていることと調理の工夫|編集テーマ集 第9回

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コラム
「焦げたものを食べるとがんになる」と聞き、焼き魚や焼き肉の焦げを避けたことがある方もいるかもしれません。実際のところ、「焦げは絶対に安全」とも「焦げを食べたらがんになる」とも、一律には言えません。

■ 高温調理でできるHCA・PAH
牛・豚・鶏肉や魚を高温で焼くと、HCA(ヘテロサイクリックアミン)やPAH(多環芳香族炭化水素)ができます。HCAは肉の成分が高温で反応して生じ、PAHは肉の脂や汁が火に落ちて出た煙が肉の表面に付着することで生じます。燻製でもPAHができることがあります。物質の生成量は肉の種類や調理方法、焼き加減で変わり、高温・長時間の調理や煙にさらす調理で増えやすくなります。

■ 動物実験の結果を、そのまま人に当てはめない
HCAやPAHには実験室でDNAに変化を起こす性質があり、動物実験ではがんが生じています。ただし、実験で使われた量は通常の食事から摂る量より非常に多いものでした。人を対象とした研究では、調理肉由来のHCA・PAHとがんとの決定的な関連は確立していません。関連を示す報告と認めない報告の両方があり、調理方法や摂取量の測定が難しいことも研究上の課題です。

■ 気になる場合にできる調理の工夫
焦がしすぎない、直火や煙に長くさらさない、高温で長時間調理しない、焦げた部分を取り除くなどの工夫ができます。一方で、焦がさないことを優先して肉を生焼けにするのは避けましょう。食中毒予防のため、肉は中心部まで十分に加熱してください。

■ アクリルアミドとは別の話
フライドポテトやパンなどのでんぷん質の食品を高温で加熱したときにできるアクリルアミドは、肉の調理で生じるHCA・PAHとは別の物質です。

■ まとめ
・肉や魚の高温・長時間調理や煙への曝露で、HCA・PAHが生じることがあります。
・動物実験では発がん性が示されていますが、人の研究では調理肉由来の曝露とがんの決定的な関連は確立していません。
・焦がしすぎない工夫はできますが、肉は食中毒予防のため中心まで加熱します。
・これまで食べた焦げを、ご自身や家族のがんの原因と決めつける必要はありません。

※本記事は一般的な情報であり、個別の診断や治療の助言ではありません。治療中の食事については、主治医や管理栄養士にご相談ください。

参考情報
・米国国立がん研究所(NCI)「Chemicals in Meat Cooked at High Temperatures and Cancer Risk」(最終レビュー:2017年7月11日)
・米国国立がん研究所(NCI)「Acrylamide and Cancer Risk」(最終レビュー:2017年12月5日)
・農林水産省「お肉はしっかり火を通してから食べましょう」(更新:2025年7月10日)

シリーズ「がんにまつわる10の誤解」は、誤解の頻度順を示すものではなく、編集上選んだテーマを取り上げています。
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