AIが考えた設計なら、それでいいの?
「なぜ、この検討結果にしたの?」
上司が新人に質問しました。
「チャッピーが良いと言いました!」
「あなたはどう思うの?」
「チャッピーと同じです!」
「あなたの意見を聞いてるんです!」
……私の部下は、人間ではなくチャッピーでした(笑)
AIを使うことは悪いことではない
最近、生成AIを仕事で活用する機会が増えています。
機械設計の仕事でも、AIは便利な道具になります。
例えば、こんな使い方があります。
* 設計案のアイデアを出してもらう
* 仕様書の抜け漏れを確認する
* メールの文章を考えてもらう
* トラブルの原因を整理する
* 検討資料や議事録を作成する
* 新人教育の資料を作る
今まで時間をかけていた仕事を、効率よく進められる可能性があります。
AIを使うこと自体は、決して悪いことではありません。
むしろ、積極的に活用していくべきだと思います。
ただし、ひとつだけ気をつけたいことがあります。
AIが出した答えを、そのまま正解だと思い込まないことです。
機械設計では、AIの答えが正解とは限らない
例えば、AIにこんな質問をしたとします。
「このワークを搬送する機構として、どの方式が最適ですか?」
AIは、さまざまな搬送方式を提案してくれるでしょう。
しかし、実際の設備では、それだけでは決められません。
* ワークの重量や形状
* 搬送速度や位置決め精度
* 周辺設備との干渉
* メンテナンス性
* 安全性
* コストや納期
* 現場での使いやすさ
こうした条件を踏まえて、本当に適した方式なのかを判断する必要があります。
AIが提案した方式が、一般論としては正しくても、今回の設備には適さないこともあります。
そして、設備が完成したあとに問題が発生したら、現場で原因を調査し、対策を考えなければなりません。
「AIがそう言いました」
残念ながら、この言葉だけでは問題は解決しません。
AIを使う設計者と、AIに使われる設計者
私は、これからの機械設計者には、AIを使いこなす力が必要になると思っています。
ただし、目指したいのは、AIにすべてを任せる設計者ではありません。
AIに案を出してもらい、自分で考え、判断できる設計者です。
例えば、AIに設計案を提案してもらったら、次のように使います。
① AIに複数の設計案を出してもらう。
② それぞれのメリット・デメリットを整理してもらう。
③ 実際の設備条件に合っているか確認する。
④ 必要に応じて計算や検証を行う。
⑤ 最後は自分で判断し、その理由を説明できるようにする。
こうすれば、AIは頼もしい相談相手になります。
自分の代わりに考えてもらうのではなく、自分の考えを深めるために活用するのです。
新人に必要なのは、正解を覚えることだけではない
新人教育でも、同じことが言えます。
AIを使えば、わからないことをすぐに質問できます。
これは大きなメリットです。
しかし、答えを知ることと、設計を理解することは違います。
「なぜ、この構造なのか?」
「なぜ、この寸法なのか?」
「なぜ、この方式を選んだのか?」
こうした疑問について、自分なりに考える習慣が大切です。
最初から正しい答えを出せなくても構いません。
自分で考え、検討し、失敗から学ぶことで、設計者として成長していきます。
AIの回答をそのまま採用するだけでは、この経験を積む機会が減ってしまうかもしれません。
まとめ:チャッピーは便利。でも、設計者はあなたです
これからは、AIを使える設計者と、使えない設計者の差が出てくるかもしれません。
でも、それ以上に大切なのは、AIの回答を理解し、判断できるかどうかだと思います。
AIは、アイデアを出してくれます。
検討の手助けもしてくれます。
面倒な文章作成も手伝ってくれます。
それでも、機械設計の仕事には、実際の設備や現場を理解したうえでの判断が欠かせません。
チャッピーに相談するのは大歓迎。
ただし、上司から「あなたはどう思うの?」と聞かれたときには、自分の言葉で答えたいものですね(笑)。
AIを使いこなす設計者になるのか。それとも、AIの回答を読み上げるだけの設計者になるのか。
これからの機械設計者に問われるのは、そんな違いなのかもしれません。
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機械設計の仕事や新人教育について、日々感じたことを発信しています。
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