去り際

去り際

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「汚れきった女だよ⋯」

長い沈黙の後に、
彼女はようやく、
ひと言だけ吐き出した。

その後の沈黙も、
静かな時間のまま、
私と彼女の無言の会話は続いていた。

「そんなことはない」
「自分をそんなふうに言わないで」

彼女は、
そんな言葉を待っていたのだろうか。

でも、
あのひと言の奥にあったのは、
許されたい気持ちだったのか。

壊れてしまいたかったのか。

それとも、
苦しいと、
ただ静かに伝えたかっただけなのか。

やがて彼女は席を立ち、
私の前から静かに去っていった。

「また来るね」

最後に残ったその声だけが、
今も妙に耳に残っている。

彼女が帰ったあと。
机の上には、
生年月日を書き留めた紙と、
数字をなぞった跡だけが、
静かに残っていた。
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