「もっと幸せになりたい」
そう思うとき、私たちはつい、今とは違う何かを求めたくなります。
環境が変わったら。
悩みがなくなったら。
欲しかったものが手に入ったら。
もちろん、現実の状況がよくなることは大切です。
ただ、同じ一日を過ごしていても、何に気づき、
どんな気持ちを受け取るかによって、心に残るものは少し変わります。
私が考える「幸せ体質」とは、
いつも明るく、何でも前向きに受け止められることではありません。
つらいことをつらいと感じながらも、
その日の中にあった喜びや安心まで見失わずにいられること。
うれしいときには、
その気持ちを急いで打ち消さず、きちんと受け取れること。
そんな心の習慣を、ここでは「幸せ体質」と呼びたいと思います。
嫌な出来事ばかり思い出す心の動き
一日を振り返ったとき、
嫌だったことや失敗したことばかりが浮かぶことはありませんか。
できたこともあったのに、失敗したところだけが気になる。
楽しい時間もあったのに、
最後に言われた一言ですべてが台なしになったように感じる。
そんな心の動きは、後ろ向きな性格だから起こるとは限りません。
人の心は、安心できるものよりも、
困ったことや危険につながりそうなものを先に見つけようとします。
だから、嫌だったことが強く心に残るのも、自然な心の動きです。
大切なのは、嫌なことが心に残りやすいからこそ、
ほかにあったものも意識して見てみることなのだと思います。
うれしさも悲しさも、同時にあっていい
以前、楽しみにしていた推しのコンサートへ行ったときのことです。
ステージの上で見せてくれた笑顔がうれしくて、
心があたたかくなっていました。
ところが、
その帰りに、せっかく購入できた限定グッズを落としてしまいました。
気づいたときには手元になく、
落とした可能性のある場所にも問い合わせましたが、見つかりませんでした。
かなり落ち込みました。
その一方で、
推しの笑顔を見て心があたたかくなったことも、
私の中に確かに残っていました。
ひとつの気持ちが、ほかの気持ちを消してしまうわけではありません。
そのときの自分の中にあった気持ちを、どれも置き去りにしないことです。
気にかけているものは、少しずつ見つけやすくなる
新しいバッグが欲しいと思い始めた途端、
街で似たバッグを持つ人が増えたように感じることがあります。
実際に急に増えたのではなく、
以前からあったものが目に入りやすくなっただけなのでしょう。
日常の小さな喜びも、これと少し似ています。
「今日は何がうれしかっただろう」
「ほんの少しでも、ほっとした瞬間はあっただろうか」
「嫌だったこと以外に、心に残っているものはあるだろうか」
そう問いかけることで、
何もなかったと思っていた一日の中に、
別の場面を見つけられることがあります。
苦手な用事を、なんとか終えられた。
断りたかった誘いを断れた。
今日は少し早く休むことにした。
思いがけず、誰かからやさしい言葉をかけてもらった。
帰り道に見た空がきれいだった。
どれも、人生を大きく変えるような出来事ではありません。
それでも、自分にとっての安心や喜びになっていることがあります。
そうした小さな心の動きにも、少し目を向けてみてください。
良い出来事を、急いで小さくしない
うれしいことがあっても、私たちはすぐに次へ進もうとします。
「でも、まだやることがある」
「もっと良い結果を出さないと」
「この程度で満足してはいけない」
そう考えて、
せっかく生まれた喜びを、自分で急いで閉じてしまうことがあります。
うれしいときにうれしいと感じることは、
怠けることでも、向上心を失うことでもありません。
安心したら、少し息を吐く。
うれしかったら、その気持ちに数秒とどまる。
自分なりに頑張れたなら、「今日はここまでできた」と受け取る。
良い出来事を大きく見せる必要はありません。
ただ、自分の中に生まれた喜びを、すぐに否定しないことです。
それだけでも、
「良いことはあったはずなのに、何も残っていない」
と感じる日は少し減るかもしれません。
感じたことを言葉にすると、自分の体験になる
うれしいことや安心したことがあっても、
気づいただけでは、すぐに流れていってしまうことがあります。
そんなときは、短い言葉にしてみます。
「友達が笑ってくれて、うれしかった」
「予定通り終わって、ほっとした」
「無事だとわかって、安心した」
「認められて、少し誇らしかった」
「助けてもらえて、ありがたかった」
きれいな文章にしなくてもかまいません。
言葉にすることで、
その出来事が「自分はこう感じた」という体験として心に残ります。
人と比べると、自分の幸せは見えにくくなる
人の楽しそうな姿を見ていると、
自分に足りないものが急に増えたように感じることがあります。
誰かの幸せは、外から見えやすいものです。
特別な場所へ出かけたこと。
仕事で成果を出したこと。
大切な人に愛されていること。
欲しかったものを手に入れたこと。
一方で、自分の幸せは身近すぎて、見落としやすいことがあります。
今日は人に合わせすぎなかった。
疲れている自分に気づけた。
好きな音楽をゆっくり聴けた。
予定のない午後に安心した。
誰かに見せたくなるような出来事ではなくても、
自分の心を支えてくれるものはあります。
大切なのは、
人と比べなくても感じられる、自分なりの幸せを知っていることです。
にぎやかな場所で元気になる人もいれば、静かな時間に安心する人もいます。
誰かと過ごすことで満たされる日もあれば、一人でいることで落ち着く日もあります。
そんな自分なりの幸せが、日々の心を支えてくれるのだと思います。
「良いことを探そう」が苦しくなる日もある
小さな幸せに目を向けることは大切です。
けれど、
どんな日にも「良いことを見つけなければ」と思うと、
それ自体が負担になることがあります。
疲れきっている日。
悲しいことがあった日。
何を見ても心が動かない日。
そんな日にまで、
「感謝できることを探さなくては」
「幸せを感じられない私はだめだ」
と思う必要はありません。
幸せ体質になるために、幸せを感じる努力を続けなくてもよいのです。
「今日は何も考えたくない」
「今はつらい」
「幸せを探す余裕がない」
そう気づき、ありのままの自分を思いやり、大切に扱うことも、
幸せ体質のひとつなのだと思います。
一日の終わりに、ひとつだけ振り返る
一日の終わりに、少しだけ自分の心を振り返ってみます。
「今日、心が動いたことはあっただろうか」
うれしかったことだけでなくてもかまいません。
悲しかった。
悔しかった。
少し安心した。
思ったより頑張れた。
何も感じる余裕がなかった。
どれも、その日の自分にあった本当の気持ちです。
余裕がある日は、もうひとつ問いかけてみてもよいかもしれません。
「その中に、ほんの少しでも自分を支えてくれたものはあっただろうか」
何も浮かばない日には、無理に探さなくても大丈夫です。
幸せ体質になるには?
幸せ体質とは、
いつも明るく過ごせることではなく、その日にあった気持ちを、
自分のものとして受け取っていける心のあり方なのだと思います。
嫌だったことが強く心に残る日もあります。
そんなときは、つらさや悲しさをそのまま認めながら、
同じ一日の中にあった喜びや安心にも目を向けてみる。
うれしさも、悲しさも、失望も、小さな希望も。
いくつもの気持ちは、それぞれのまま心の中にあってよいのです。
そして、うれしかったことや、ほっとしたことに気づいたら、
急いで次へ進まず、その気持ちを少し味わってみる。
短い言葉にすることで、
「自分はこう感じた」という体験として、心にも残りやすくなります。
また、
人と比べなくても感じられる、自分なりの幸せを知っていることも大切です。
誰かに見せたくなるような出来事でなくても、
自分の心がゆるむ時間や、安心できるものは、日々の自分を支えてくれます。
幸せを探す余裕がない日には、
「今日は疲れている」「今はつらい」と気づき、
その自分をいたわることも、心を大切に扱うことのひとつです。
幸せ体質は、特別な出来事を待つことで生まれるのではなく、
今ある気持ちに気づき、自分なりの喜びや安心を受け取り、
自分を大切に扱う日々の中で、少しずつ育っていくものなのだと思います。
まずは今日、心が少し動いたことを、ひとつだけ言葉にしてみてください。
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毎日の問いに取り組みながら、
自分の感じ方や考え方、人との関わり方に目を向け、
最後に「今の私の取扱手引き」を作っていきます。
相手の反応が気になって、
自分の気持ちが分からなくなってしまうとき。
本当は何を感じているのか。
何を大切にしたいのか。
どう関わっていきたいのか。
そんなことを、少しずつ整理していく時間として使っていただけたらと思います。