お得を我慢できるようになったのではなく、「目的」に戻れるようになった

お得を我慢できるようになったのではなく、「目的」に戻れるようになった

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コラム
「お得だから」「どうせ使うし、安いから買ったほうがいい」。

以前の私は、そんな理由で買い物を選んでしまうことが多くありました。

価格に心が動かされ、本来の「目的」や「今の暮らしに必要か」を深く考える余裕がないまま買い物をする。そして後になってから、「本当にこれでよかったのかな」と小さな後悔が残る。

そんな私の選び方が変わっていたことに気づいたのは、あるキャンプ用テントの出来事がきっかけでした。

数年前、キャンプブーム真っ只中で、コロナ禍でもあった頃、我が家はあるテントを購入しました。当時の我が家にとっては少し奮発した買い物でした。けれど、「家族で何度も遠くへ旅行に行く余裕はなくても、キャンプなら宿泊費用を抑えて何度も出かけられる」「私自身も子どもの頃に体験したキャンプの楽しさが、今でも鮮明に残っている」という明確な想いがあったのです。

それから1〜2年が経った頃、同じテントが当時の2割引き(8割ほどの価格)に値下がりしているのを目にしました。けれど、不思議なほど悔しい気持ちも、損をした感覚も湧いてきませんでした。私は「価格の安さ」にお金を払ったのではなく、「家族と一緒に過ごす時間」や「子どもの頃のような体験」という目的のために購入し、実際にたくさんの思い出を得られていたからです。

さらに5〜6年が経ち、我が家のテントはまだ十分使える状態でしたが、「そろそろもう少し広いものが欲しいな」と考えるようになりました。そんなとき、店舗で型落ちの展示品が、期間限定で7〜8割ほどの価格で売られているのを見かけたのです。

「安いし、どうせいつか買い替えるなら今買ったほうが得かもしれない」

昔の私なら、迷わず飛びついていたと思います。けれどそのときは一歩立ち止まり、そのテントを買わずに帰りました。家に持ち帰って考えてみると、私が求めていたのは「新しいテントで過ごす時間」ではなく、「単に安くなっていることへの焦り」だったと気づいたからです。

数ヶ月後、そのテントの定価自体が改定され、8割ほどの価格に下がりました。その知らせを見たとき、私は心から胸をなでおろしました。もしあのとき「安いから」という理由だけで買っていたら、間違いなく後悔していたと思います。

数年前の私は、心に余裕がなく、「お得だから」「安いから」という外側の基準に流されてばかりでした。今の私は、値段はもちろん気になりつつも、「それは本当に今の我が家に必要なのか?」「どんな目的があって使うのか?」と一度立ち止まって考えられるようになりました。

私は、買い物の満足度は商品の価格そのものでは決まらないと思っています。自分がそれにどんな目的を見出し、どんな価値を感じて選んだかという「内側の納得感」が決めるのだと感じています。

あの日、展示品のテントの前で「これは本当に必要な目的があるのか、単に安さに動かされていないか」と自分に問いかけてから帰った。その小さな一歩が、今の私の買い物の軸になっています。同じように「安いから」で迷っている方が、一度立ち止まるきっかけになればうれしいです。

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