身に付いた習慣の『居心地の良さ』を手放すとき。次のステージへ進むための、少し痛みを伴う変換期の超え方。

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その日の朝も、いつも通りに本を開きました。
読み進めながら、ふと気づきます。「あ、これ知ってる。これも知ってる」。ページをめくる手は軽いのに、なぜか胸の奥がざわりとした。楽に読めているのに、それが少し怖かったのです。
新しい学びや習慣を始めたばかりの頃は、毎日が新鮮な刺激に満ちています。本を読んでも、仕事のスキルを学んでも、最初は新しい知識がどんどん自分の中に積み上がっていくのが純粋に楽しいものです。
しかし、それを何ヶ月も熱心に続けていくと、だんだんとある変化が訪れます。それまでは「新しい知識のインプット」だったものが、いつの間にか「すでに知っていることの復習」へとフェーズが変わっていくのです。
毎日のルーティンとして完全に定着し、歯磨きと同じように「やっていて当たり前」のレベルにまで身に付いたとき、実は私たちは、ある静かな分岐点に立たされています。

『勉強している感じ』という心地よさの誘惑
習慣が身に付くこと自体は、素晴らしいことです。脳にとっても、すでに慣れた作業をこなすだけなので大きなストレスがかかりません。毎日のそのルーティンを終えるだけで、「今日もちゃんとやるべきことをやった」という充実感(やってる感)は十分に得られます。
しかし、この「やってる感」こそが、実は次のステップへ進むときの最大の罠になります。
ルーティンが快適であればあるほど、その居心地の良さから抜け出すのが本当に難しくなるのです。
心のどこかでは、うすうす気づいているはずです。「今の自分は、もうこれ以上負荷がかかっていないんじゃないか」「今のこの時間は、ただ知っていることをなぞって安心しているだけかもしれない」
今の習慣のままでいれば、楽だし、罪悪感もない。けれど、次のステージに行くためには、せっかく定着したこれまでの習慣を一度「変える(あるいは手放す)」必要がある。またゼロから新しい方法を探したり、まだ見ぬ知識に触れて「あぁ、自分はまだこんなことも知らなかったのか」と、あの最初の一歩の泥臭い負荷を自分にかけ直さなければなりません。
頭では「ステップアップが必要だ」と分かっていても、これまでの居心地よさを捨てるエネルギーは想像以上に大きく、この変換のタイミングは本当に大変で、億劫に感じてしまうものです。

変換期を乗り越える「半分何もしない」という技術
では、この「必要だけど、とても大変な変換のタイミング」を、どうやって乗り越えればいいのでしょうか。
ここで多くの人がやってしまいがちなのが、「これまでの習慣を続けながら、さらに新しい学びを上乗せしようとする」ことです。しかし、定着したルーティンを守るだけでもエネルギーを使っているのに、そこに新しい負荷を足してしまっては、心も体もパンクしてしまいます。
私の場合は、この変換期が来たと感じたら、無理に新しいことを詰め込もうとはしません。まずは、その習慣に充てていた時間を「半分何もしない時間」にすることから始めます。あえて時間をバッサリと削り、生活の中に意図的な「余白」を作るのです。
「サボっているんじゃないか」とソワソワする気持ちも生まれます。でも、この「あえて何もしない時間」を作ることこそが、次のステップへ進むための最大のノウハウだと私は考えています。
その余白があるからこそ、「今の自分に、本当に必要なことは何だろう?」と落ち着いて考え直すための『余力』が生まれるからです。

余力があって初めて、新しいOSが立ち上がる
人間の脳や心は、常にタスクで満杯の状態では、新しい方法を探したりするクリエイティブな活動ができません。習慣の変換が「とても大変」だと感じるのは、古い習慣で頭がパンパンのまま、新しいことをしようとしているからなのです。
時間を半分引き算し、余力を確保する。そうして生まれたクリアな頭で、初めて次のステップが見えてきます。
完全に定着した過去の習慣は、すでにあなたの無意識の引き出しにしっかりと仕舞われているので、少し時間を削ったくらいで消えてしまうことはありません。
私がコンテンツの中で「思考OS・行動OS・豊かさOS」という形で整理してきたのも、突き詰めればこの「余力をどう設計するか」という問いに行き着きます。気になる方はページをのぞいてみてください。

大変さを感じるのは、あなたが次の段階に行く準備ができたサイン
習慣を変える瞬間、私たちはどうしても特有の「重たさ」や「大変さ」を感じます。
でも、それはあなたがサボろうとしているからでも、意志が弱いからでもありません。定着した心地よさを超えて、「次の段階に行く準備が完全に整ったからこそ起きている、健全な成長痛」なのです。
もし今、毎日のルーティンに対して「やってる感はあるけれど、少し物足りないな」「復習ばかりになっているな」と感じるものがあるなら、それはOSをアップデートする絶好のタイミングです。
焦って新しいタスクを詰め込む必要はありません。まずは、その時間を半分にして、ぼーっとする余白を作ってみてください。
その余白から生まれた余力が、あなたをまた新しい、ワクワクするような学びの景色へと自然に連れ出してくれるはずです。
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