五月の風が少し湿気を帯びてきた頃、フクシアが揺れている。
下向きに、静かに。まるで誰かに向けて頭を垂れるように、その小さな花は
咲く。赤や白、紫やピンク、色とりどりの花びらが重なり合って、まるで
女性の耳飾りみたいな形をしている。
英語では「Lady's-eardrop」、そう呼ばれているのも納得できる。華やかなのに、どこか控えめで、見ていると胸の奥が静かになっていく花だ。
フクシアの花言葉は「つつましい愛」と「信じる愛」。
この花言葉が生まれたのは、あの下を向いて咲く姿から来ているという。
自分を誇示しないで、ただそこに在る。それでも確かに美しい。
そういう愛のかたちを、この花はずっと体現してきたんだろうと思う。
あなたにも、そういう愛をどこかで経験したことはないだろうか。
派手ではないけれど、消えない気持ち。
口に出せないまま積み上がってきた時間。
相手に伝わっているのかどうか分からないまま、それでも信じ続けた日々。
そういう愛は、傍から見えにくい。
だからこそ、本人だけが静かに苦しんでいることが多い。
少し前に、一人の女性から相談があった。三年付き合った相手と、去年の秋に別れた。お互い仕事が忙しくなって、少しずつすれ違いが増えて、気づいたら終わっていた。でも忘れられない。連絡をしてみようとするたびに手が
止まる。これは単なる未練なのか、それとも本当に縁が続いているのか、
霊視で視てほしいと言われた。
視えたのは、白い糸のようなものだった。細いけれど、切れていない。
彼女の側から彼に向かって、まだ伸びていた。相手の方には、今は別の誰かの影があった。でもその影は浅い。根を張っていない。彼女との縁は、時期が
来れば動く可能性がある。ただ、彼女自身がその間に自分の軸を整えることが先だと視えていた。
そのことを正直に伝えた。すぐに復縁できると言えなかったのは、それが視えなかったからだ。でも彼女は泣きながら「ちゃんと教えてくれてよかった」と言った。信じる方向が定まると、人は前に進める。それを改めて感じた相談だった。
「つつましい愛」というのは、弱い愛ではない。
声に出さなくても在り続ける、強い愛のかたちだとわたしは思う。
ただ、その愛が実際にどこへ向かうべきなのか、相手との縁がいまどんな
状態にあるのか、それは自分一人で見極めるのが難しい。
感情の中にいるときは特にそうだ。
もし今、誰かへの気持ちをどうしていいか分からない状態にあるなら、
一度霊視で視てみることを選択肢に入れてみてほしい。
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あなたの「信じる愛」が、
ちゃんと正しい方向に向かっていることを願っています。
白神龍玄