「Fortniteはバトルロイヤルを遊ぶゲーム」という印象を持っている方は多いと思います。
しかし現在のFortniteは、Epic Gamesが制作したゲームだけを遊ぶ場所ではありません。
世界中のクリエイターが独自のゲームや体験を公開し、プレイヤーを集め、条件を満たせば収益を受け取れるプラットフォームへと変化しています。
その中心にある制作ツールが、UEFNです。
今回は、具体的な制作方法やプログラミングの解説ではなく、
・UEFNとは何か
・いつ始まったのか
・どのくらいの市場規模なのか
・クリエイターはどのように収益を得るのか
という、UEFN市場の全体像を紹介します。
UEFNとは?
UEFNは、Unreal Editor for Fortniteの略称です。
ゲーム開発で広く使われているUnreal Engineの機能を、Fortnite向けのゲーム制作に利用できるようにしたPC用の開発ツールです。
UEFNで制作したゲームは、単独のスマートフォンアプリやPCゲームとして販売するのではなく、Fortnite内の「島」や「ゲーム」として公開されます。
プレイヤーはFortniteを起動し、ゲーム一覧の「ディスカバリー」や専用の島コードなどから、クリエイターが制作したゲームへ参加します。
つまり開発者側から見ると、すでに多くの利用者がいるFortniteの中へ、自分のゲームを直接公開できる仕組みです。
UEFNでは、地形、建物、照明、映像表現、アニメーション、VFX、UI、独自の3D素材などを編集できます。
さらに、Epic Gamesが開発しているプログラミング言語「Verse」を利用し、独自のルールや進行システムを作ることもできます。
Epic GamesはUEFNを、Unreal Engineの強力な機能を利用しながら、制作した体験をFortniteへ直接公開できるエディターとして説明しています。
UEFNはいつ始まった?
UEFNは、2023年3月22日にパブリックベータとして公開されました。
それ以前にも「Fortniteクリエイティブ」という制作環境はありましたが、UEFNの登場によって、より本格的なゲーム制作が可能になりました。
UEFNの公開と同時に、Epic GamesはCreator Economy 2.0と呼ばれる新しい収益分配制度を開始しました。
これにより、対象となるクリエイターは、自分が公開したゲームでのプレイヤー行動に応じて報酬を受け取れるようになりました。
制作されている内容も、単純な対戦マップだけではありません。
たとえば、
・対戦ゲーム
・ホラーゲーム
・RPG
・タイクーン・経営ゲーム
・レース
・脱出ゲーム
・パーティーゲーム
・ソーシャル空間
・企業やブランドのプロモーション体験
など、Fortnite内にはさまざまなジャンルのゲームが公開されています。
UEFN市場の規模はどれくらい?
Epic Gamesの公式発表によると、UEFNの公開から約1年となる2024年3月までに、8万以上のUEFN島が公開されました。
同じ期間に、クリエイターへ支払われたエンゲージメント報酬は、3億2,000万ドル以上と発表されています。
さらに2024年10月時点では、公開されたUEFN島は13万4,000以上に増加。
2023年3月の制度開始以降、クリエイターへ支払われた金額は、累計4億7,900万ドルに達したとEpic Gamesが公表しています。為替によって変わりますが、日本円では数百億円規模です。
ただし、この数字については注意が必要です。
4億7,900万ドルという金額は、2024年10月時点で公式に発表された数字です。今回確認したEpic Gamesの公式資料では、2026年現在の正確な累計支払額は明示されていません。
そのため、
現在も4億7,900万ドルで止まっている
という意味ではなく、
少なくとも2024年10月時点で、その規模に達していた
という意味になります。
また、活動しているクリエイターの最新総数についても、今回確認した公式資料では明確な数字を確認できませんでした。
1人または1つの開発チームが複数の島を公開できるため、「13万4,000島=13万4,000人」でもありません。
正確な人数は公表されていませんが、個人クリエイターから専門のゲーム開発スタジオまで、世界中の開発者が参加している市場です。
クリエイターはどうやって収益を得る?
UEFNの主要な収益源の一つが、エンゲージメント報酬です。
Fortniteのアイテムショップや、対象となる現金購入から生まれた純収益のうち、40%が「エンゲージメントプール」に入ります。
その報酬プールが、独立系クリエイターのゲームと、Epic Games自身が運営するゲームへ配分される仕組みです。
ただし、単純なプレイ回数だけで報酬が決まるわけではありません。
現在の公式資料では、主に次のような要素が報酬計算に使われています。
・プレイヤーが実際に遊んだ時間
・後日、そのゲームへ戻ってきたか
・新しいプレイヤーをFortniteへ呼び込んだか
・長期間離れていたプレイヤーを復帰させたか
・アイテムショップでの消費前後に遊ばれているか
つまり、一時的に大量のアクセスを集めるだけでなく、プレイヤーが継続して遊びたくなるゲームを作ることが重要です。
公開後も、
・サムネイル
・ゲーム開始直後の分かりやすさ
・進行速度
・報酬や成長要素
・プレイヤーが離脱する場所
・アップデート内容
などを分析し、改善していく必要があります。
ゲーム内でアイテムを販売する仕組みも登場
現在のFortniteには、エンゲージメント報酬に加えて、対象の島でアイテムや機能などをV-Bucksで販売できる島内取引も用意されています。
販売できるものには、たとえば、
・一度購入すれば継続して使える機能
・使用すると消費されるアイテム
・特定エリアへのアクセス権
・複数の商品をまとめたセット
などがあります。
通常、開発者は島内売上の「V-Bucks価値」の50%を受け取る設計です。
ただし、2026年1月9日から2027年1月31日までは促進期間となっており、開発者の取り分は100%へ引き上げられています。
これは店舗やプラットフォーム手数料を差し引いた後のV-Bucks価値を基準とするため、ユーザーが支払った金額の100%がそのまま開発者へ渡る、という意味ではありません。Epic Gamesの説明では、現在の100%期間は小売支払額のおよそ74%相当にあたります。
島内取引から得られる収益は、エンゲージメント報酬とは別に計算されます。
ゲームを公開すれば誰でも稼げる?
市場全体では大きな金額が動いていますが、ゲームを公開するだけで自動的に収益が発生するわけではありません。
Fortnite内には多数のゲームが存在するため、まずプレイヤーに見つけてもらう必要があります。
その後も、
・思わず押したくなるタイトルやサムネイル
・最初の数分で遊び方が理解できる設計
・繰り返し遊びたくなるゲームループ
・定期的な更新
・データを基にした改善
などが求められます。
UEFNは制作ツールですが、収益を目指す場合は、企画、開発、宣伝、分析、運営までを含めて、一つのゲーム事業として考える必要があります。
一方で、独自にゲームアプリを開発する場合と比較すると、
・Fortniteのキャラクター操作
・オンラインプレイの基盤
・PC・家庭用ゲーム機・モバイルへの配信環境
・既存のFortniteプレイヤー
・Epic Gamesが提供する素材や機能
などを利用できる点は大きな特徴です。
個人でも参入できますが、作品の規模によっては、企画、Verse実装、3D制作、UI、サムネイル、運営などを、複数人で分担するケースもあります。
UEFNは「マップ制作」から一つのゲーム市場へ
UEFNは、単にFortniteのマップを作るだけのツールではありません。
Fortniteという大規模なプラットフォーム上で、自分のゲームを公開し、プレイヤーを集め、改善し、収益化できる開発環境です。
2023年に始まった比較的新しい市場であり、制作機能や収益化制度は現在も更新されています。
大きな可能性がある一方で、競争もあり、成功するためにはゲームの完成度だけでなく、プレイヤーを集め、継続して遊んでもらう運営力も必要です。
Fortniteが「一つのバトルロイヤルゲーム」から「さまざまなゲームや体験が集まるプラットフォーム」へ広がるほど、UEFNを扱えるクリエイターや開発チームの役割も、さらに大きくなっていくと考えられます。
私はこれまでUEFNで12作品を制作し、累計約700万プレイ、公開可能な代表作品では最高同時接続9,303人を記録しました。
UEFNを始める前の疑問、ゲーム企画、Verse、既存島の改善、開発依頼については、出品サービスからご相談いただけます。