補助金でAIツールを入れる前に、先に決めた方がいいことがあります。
それは、
どの作業を減らしたいのか。
誰の負担を減らしたいのか。
最終的に何が出れば成功なのか。
この3つです。
ChatGPT、Claude、Cursor、AI-OCR、RPA、業務管理システム。
今は便利そうなツールがたくさんあります。
しかも最近は、デジタル化やAI導入を支援する補助金の話も出てきています。
それを聞くと、
「うちもAIを入れた方がいいのかな」
「補助金が使えるなら何か導入したい」
「とりあえず便利そうなツールを探した方がいいかも」
と思う会社さんも多いと思います。
ただ、現役SEとして業務改善や自動化の相談を受けていると、ここでいきなりツール選びに行くのは少し危ないなと感じます。
なぜなら、ツールを入れても、減らしたい作業が決まっていなければ、結局は現場の手作業が残るからです。
はい。
AIが入ったのに、Excel転記はそのまま。
これ、普通に起きます。
補助金は目的ではなく手段
補助金はありがたい制度です。
導入費用の負担を抑えながら、ITツールやAIツールを入れられる可能性があります。
ただし、補助金を使うこと自体が目的になると、かなり危ないです。
本来の目的は、業務を楽にすることです。
ミスを減らすことです。
人が毎回やっている確認や転記を減らすことです。
売上や利益につながる時間を増やすことです。
でも、実際にはこうなりがちです。
補助金が使えるツールを探す。
便利そうだから導入する。
現場に使ってもらう。
でも入力ルールが合わない。
既存のExcelとつながらない。
結局、別で転記する。
担当者が二重管理になる。
これ、何のために入れたのかわからなくなります。
しかも二重管理って、地味に心を削ります。
新しいツールを開いて、今までのExcelも開いて、確認して、コピーして、貼り付けて、最後に「これ合ってる?」となる。
便利にしたはずなのに、仕事が増えている。
泣いていいやつです。
だから、補助金を使うかどうかの前に、まず業務の目的を決めた方がいいです。
AIを入れる前に決める3つのこと
AIツールやITツールを検討するとき、最初に決めたいことは大きく3つです。
1つ目は、減らしたい作業です。
たとえば、
請求書の転記を減らしたい。
CSV集計を自動化したい。
PDFから数字を拾いたい。
メール確認を減らしたい。
スプレッドシートへの入力を楽にしたい。
定型レポートを自動で作りたい。
このように、具体的な作業に落とす必要があります。
「AIを使いたい」だと広すぎます。
でも、
「毎月のCSV集計を自動化したい」
「請求書の金額確認を楽にしたい」
「メール添付のPDFを確認して一覧化したい」
ここまで言えると、かなり見積もりしやすくなります。
2つ目は、誰の負担を減らすのかです。
社長なのか。
事務担当なのか。
営業なのか。
現場担当なのか。
経理なのか。
EC運営担当なのか。
同じツールでも、使う人によって必要な画面や出力は変わります。
社長が見たいのは全体の数字かもしれません。
事務担当が困っているのは転記作業かもしれません。
現場担当が欲しいのはスマホで見られる一覧かもしれません。
ここを決めないまま進めると、誰にも刺さらないツールになります。
全員に便利なものを作ろうとして、誰にも使われない。
あります。
クッッッソあります。
3つ目は、最終的に出したいものです。
請求書なのか。
一覧表なのか。
PDFなのか。
ダッシュボードなのか。
通知なのか。
メール下書きなのか。
CSVなのか。
ゴールが決まっていると、作るべきものが見えます。
逆にゴールが曖昧だと、作業範囲も金額も期間もブレます。
AIツールを入れる前に、この3つだけは整理しておくのがおすすめです。
ツール選びより業務フローが先
業務改善で大事なのは、ツール名ではありません。
流れです。
今の業務がどう流れているか。
ここを見ます。
たとえば請求業務なら、
メールで請求書PDFが届く。
担当者がPDFを開く。
金額をExcelに入力する。
税率ごとに確認する。
上長がチェックする。
月末にまとめる。
請求一覧を作る。
会計ソフトや別帳票に転記する。
このような流れがあります。
この中で、どこに時間がかかっているのか。
どこでミスが起きるのか。
どこが属人化しているのか。
そこを見ないと、正しいツールは選べません。
たとえば、問題が「PDFの内容を読むこと」ならAI-OCRや読み取り処理が候補になります。
問題が「CSVを毎月整えること」ならPythonやGASの方が向いているかもしれません。
問題が「複数人で同じ情報を見ること」ならWebアプリやスプレッドシート連携が向いているかもしれません。
問題が「文章を整えること」ならChatGPTやClaudeが向いています。
つまり、AIを入れるかどうかではなく、作業に合う手段を選ぶことが大事です。
ここを間違えると、すごそうなツールを入れたのに、現場では使いにくいということになります。
AIに向く作業と向かない作業
AIは便利です。
ChatGPTで文章を整えたり、Claudeで仕様を整理したり、CursorやClaude Codeでコード作成を補助したり。
使い方によっては、かなり助かります。
ただ、全部をAIに任せればいいわけではありません。
AIに向いているのは、たとえばこういう作業です。
文章を整理する。
メール文面を作る。
議事録を要約する。
作業手順をわかりやすくする。
仕様のたたき台を作る。
問い合わせ内容を分類する。
逆に、ルールが決まっていて正確性が必要な処理は、PythonやGAS、Excel関数、VBAなどで仕組みにした方が安定することがあります。
CSVを読み込む。
金額を集計する。
税率ごとに分ける。
帳票に反映する。
ファイル名を整理する。
決まった時間に処理する。
メール通知する。
こういう処理は、AIというより自動化の領域です。
もちろん、AIと自動化を組み合わせることもできます。
たとえば、
ChatGPTでメール本文を下書きする。
PythonでCSVを加工する。
GASでスプレッドシートに反映する。
Excelで最終確認する。
必要なら人が判断する。
この組み合わせの方が、実務ではかなり現実的です。
AIだけで魔法みたいに全部解決するより、作業ごとに役割を分けた方が強いです。
小さな会社ほど最初は小さく始める
小さな会社ほど、最初から大きなシステムを作らない方がいいです。
理由は、業務の細かいルールが後から出てくることが多いからです。
最初は、
「CSVを集計できれば大丈夫です」
と言われていても、実際に作っていくと、
この業者だけ例外です。
この列は月によって名前が変わります。
この商品は別集計です。
この日は対象外です。
税率が違うものがあります。
印刷レイアウトは前のままがいいです。
みたいな話が出てきます。
はい。
現場あるあるです。
だから最初は、いきなり全部を自動化するより、1つの作業に絞った方がうまくいきます。
たとえば、
CSV取込だけ作る。
請求書反映だけ作る。
PDF一覧化だけ作る。
メール通知だけ作る。
既存Excelの集計だけ直す。
このくらいから始める方が安全です。
私も過去に、献立表の材料を合算して請求書に反映するようなExcel自動化の相談を受けたことがあります。
ぱっと見ると、材料を合算するだけに見えるんですけど、実際には合計値、税率合計、罫線、日付連動、フィルター、印刷レイアウトなど、守らないといけない部分がたくさんあります。
自動化は、動けば終わりではありません。
現場が今まで通り確認できること。
必要な帳票が崩れないこと。
担当者が迷わず使えること。
ここまで含めて、ようやく実務で使えます。
このあたりを雑にやると、便利ツールではなく「謎の不安定ファイル」が生まれます。
そして作った側も使う側も、そっと目をそらします。
終わってる。
見積相談の前にあると助かるもの
AI導入や業務自動化の相談をするとき、完璧な資料は必要ありません。
ただ、次のものがあるとかなりスムーズです。
まず、今使っているファイルです。
Excel、CSV、PDF、スプレッドシート、メール文面など。
実際のファイルがあると、どこを自動化できるか見やすいです。
次に、今の作業手順です。
誰が、いつ、何を見て、どこに入力しているのか。
これがわかると、削れる作業が見えてきます。
最後に、最終的に出したいものです。
請求書を出したいのか。
一覧表を作りたいのか。
レポート化したいのか。
メール通知したいのか。
ダッシュボードで見たいのか。
ここが決まると、Excelで十分なのか、GASが良いのか、Pythonが合うのか、Webアプリにした方が良いのか判断しやすくなります。
逆に、ここがないまま、
「AIで何かできますか?」
となると、正直かなり難しいです。
できます。
たぶんできます。
でも何を作るのが正解かは、業務を見ないとわかりません。
ここは正直に言います。
わからないです。
だから、最初はツールの名前ではなく、今の困りごとを見せてもらうのが一番早いです。
補助金を使うならなおさら先に整理したい
補助金を使う場合でも、結局大事なのは業務の整理です。
なぜなら、申請するにしても、導入するにしても、
何のために入れるのか。
どの業務を改善するのか。
導入後にどう使うのか。
どれくらい効果がありそうなのか。
こういう説明が必要になるからです。
もちろん、補助金の対象になるかどうか、申請できるかどうか、どのツールが登録されているかは、制度や支援事業者側の確認が必要です。
そこは専門の窓口や公式情報を確認してください。
ただ、その前段階として、
「うちの業務は何を改善したいのか」
を整理しておくことは、どの会社でもできます。
ここが整理されている会社は、見積相談も早いです。
相談内容が具体的なので、提案もしやすいです。
作業範囲も決めやすいです。
金額もブレにくいです。
納品後のズレも減ります。
逆に、ここが曖昧だと、便利そうなツールを入れて終わりになりがちです。
それではもったいないです。
小さな会社が先に決めること
小さな会社がAIツールやITツールを入れる前に決めることは、難しいことではありません。
まずはこの3つで十分です。
どの作業を減らしたいのか。
誰の負担を減らしたいのか。
最終的に何が出れば成功なのか。
これだけです。
たとえば、
月末のCSV集計を減らしたい。
事務担当の転記作業を減らしたい。
最終的に請求書に自動反映したい。
ここまで決まっていれば、かなり具体的な相談になります。
そのうえで、
Excelで対応するのか。
GoogleスプレッドシートとGASで対応するのか。
Pythonでファイル処理をするのか。
Webアプリ化するのか。
ChatGPTやClaudeを一部に組み込むのか。
この順番で考える方が現実的です。
AIツールを入れることが目的ではありません。
現場の作業が減ること。
ミスが減ること。
担当者が楽になること。
会社に数字や時間が戻ること。
こっちが本当の目的です。
手作業を見せてもらえれば整理できます
もし今、
Excelへの転記が多い。
CSVの集計に時間がかかる。
PDFやメール確認が手作業になっている。
請求書や帳票への反映が大変。
AIを入れたいけど、何から相談すればいいかわからない。
こういう状態なら、まず今の作業を整理するところからで大丈夫です。
完成イメージが固まっていなくても問題ありません。
今使っているファイル。
今の作業手順。
最終的に出したいもの。
この3つを見ながら、Excelで十分なのか、GASが向いているのか、Pythonが良いのか、Webアプリ化した方が良いのかを一緒に整理できます。
補助金を使うかどうかの前に、まずは業務のどこが詰まっているかを見る。
ここから始めるだけで、ツール選びの失敗はかなり減ります。
AIより先に、業務を分ける。
小さな会社のAI導入は、そこからで十分です。