小説「警視庁横断課課長 色川大輔」

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【「警視庁横断課課長 色川大輔」の紹介】

 ジャンルはコメディ。
 警視庁横断課というのは警視庁の何でも屋に近い存在。横断課には課長である主人公の色川大輔とその部下の下野兼也しかいない。
 大輔は結婚したいほど惚れた女性の母親が殺された事件を調査しながら、横断課の仕事をしていく。

【第1話 やばい取引】

 探偵事務所内に20代後半の男性が肘掛け椅子に座っている。その男性は探偵の灰谷 守(はいたに まもる)という。守はたらこ唇が目立つ男性だ。同じ部屋で掃除をしている20代後半の美女がいる。その美女は探偵助手の志保 早見(はやみ しほ)という。
 事務所に守も志保も知らないスーツを着た2人組が入ってきた。事務所に入ってきた2人組が初めての客なので、守はとても喜んだ。2人とも守に本物の警察手帳を見せ、先輩風の男性は色川 大輔(いろかわ だいすけ)と、後輩風の男性は下野 兼也(しもの けんや)と名乗った 。大輔はいかつい顔をしていて、兼也は整った顔立ちをしている。
 警察でも解決できない難事件を解いてほしいと思った守はワクワクした。しかし、守はいきなり手錠を兼也にかけられた。守は怒り、逮捕された理由を警察2人組に聞いた。守が逮捕された理由は女性保護法に違反したからである。女性保護法は日本に居住するすべての女性に対し、生活に十分な経済的支援を支給し、一方で、女性を雇用する者には罰則を適用する法律だ。女性保護法は、少子化が進んでいる日本で女性に子供を産んでもらおうと考えた政治家が作った。守は容疑者として、志保は参考人として警察署に連れて行かれた。守と志保は別々の部屋で取り調べが行われた。

 取調室のうちの1部屋で、志保と大輔が向かい合って座っている。志保が話し始める。
「私……労働なんてしていません」
「あなたが探偵事務所を掃除していたのはなぜですか?」
「それは……探偵の助手をすることが趣味だからです」
 志保はごまかした。大輔が志保に大輔のスマホの画面に注目するように促した。大輔が持っているスマホの動画には守と兼也が写っている。
「早く女性に労働させていたことを認めたらどうですか?」
 画面の中の兼也が怖い顔で言った。
「あれは労働じゃない」
 画面の中の守が言い返した。
「では何ですか?」
「志保は探偵助手の仕事をしなければならない呪いにかかっているんだ」
 大輔は志保に、志保と守の言い分が食い違っていることを指摘した。
「実は私…」
 志保はゆっくりと息を吸った。
「母を殺した犯人を突き止めるために探偵助手として働いているんです」
 志保は警察になりたくて警察学校にまで通ったが在学中に女性保護法ができて退学になってしまったという事情を大輔に話した。大輔は何年度に警察学校に入学したかということを志保に尋ねた。志保は3333年度だと答えた。すると大輔が目に涙を浮かべる。
「私のことわかってくれましたか?」
「私が警察学校に通っていた時、このような美人がいたのに気づかなかった。一生の不覚」
 志保はあきれた。別れ際に大輔が志保に名刺を渡す。
「待ってください」
 志保が大輔を呼び止める。
「デートのお誘いですか?」
 大輔は嬉しそうだ。
「違います」
 志保は心配そうな顔をしながら
「守はどうなるんですか?」
「懲役10年ぐらいだと思いますよ」
「守は悪くないです。悪いのは私の母を殺した犯人」
「私から提案があります」
 志保は賄賂を請求されるのではないかと思った。
「お母様を殺した犯人を私が捕まえたら結婚してください」
 志保は驚く。
「警察なんだから犯人を捕まえるのは当たり前でしょ」
「私と結婚したくないというのなら、灰谷さんは確実に刑務所行きですね」
「わかりました。もし母を殺した犯人をあなたが捕まえたら結婚してもいいです」
 大輔は志保に守が罰を受けないようにすると約束した。

 兼也は守のことを容疑者として怪しすぎると感じていた。
「志保さんから事情を聞きました。志保さんは呪いにかかって探偵助手の仕事が趣味になっているらしいですね。志保さんが趣味でやっているので労働には当たりません」
 大輔は嘘をついた。
 大輔と兼也は警視庁横断課に所属している。横断課は複雑な仕事を部門を越えて仕事できるように作られたが、今は何でも屋のような扱いをされている。
 横断課の課長である大輔は、横断課では志保の母親を殺した犯人を最優先で調査することを決定した。その決定に兼也は疑問を持った。その疑問に対し、大輔は志保の呪いを早く解くためだとさらに嘘をついた。
「不思議な呪いの解き方ですね」
 兼也が言い残した。

 警察から解放された志保は悲しそうな顔をし、大輔が自分の母親を殺した犯人を捕まえたら大輔と結婚する約束をしたと守に打ち明ける。守は大輔と兼也が犯人を捕まえる前に自分が犯人を捕まえてみせると志保に誓った。

【第2話 下着と虐げられる者】

   警視庁横断課の部屋で大輔と兼也がファイルをあさって調べ物をしている。横断課の部屋のドアが勢いよく開き、焦っている様子の刑事が現れる。
「連続殺人犯事件の捜査で人手が足りません。 至急応援に来てください」
 大輔は迷惑そうな顔をして
「ある事件を調べている最中で忙しいです。応援には行けません」
 刑事は残念そうな顔をしながら立ち去った。
大輔と兼也がいる警視庁・横断課の部屋のドアがまた勢いよく開き、焦っている様子の別の刑事が現れる。
「下着泥棒の捜査で人手が足りません。 至急応援に来てください」
大輔は真剣な顔をしている。
「すぐ行きます」

 パトカーの中で大輔と兼也が喋っている。
「いいんですか? 早見志保の母親の事件を調べるのを中断しても」
「たまには女性の下着を見て息抜き__いや、下着泥棒と志保さんのお母様が関係あるかもしれません」
「連続殺人事件の方が、早見志保の母親と関係あるのではないでしょうか?」
「そんなどうでもいいこと考えるのをやめて、早く下着泥棒の捜査をしますよ」

 大輔と兼也は下着泥棒の被害に遭った家の主人に警察手帳を見せる。家の主人は大悲山(だいひさん)という名前だ。大輔は大悲山にどんな下着を盗まれたのかを尋ねた。
「推理小説家・卑怒羅(ひどら)先生の直筆サインが入った超レアのトランクスです」
「トランクス?」
「はい私の宝物です」
 大輔はやる気のない顔をして
「男のトランクスなんてゴミだろう」
と思ってしまった。
「いいこと思いつきました」
 兼也が唐突に言った。
「犯人を捕まえる作戦を思いつきましたか?」
 大悲山が兼也に尋ねた。
「いいえ。推理小説家の卑怒羅先生に早見志保の母親の殺人事件を解決してもらうのは、どうでしょう?」
「ハヤミシホ??」
 大悲山はうろたえた。
「ナイスアイディアです」
 大輔は感激した。

 気を取り直して大輔は大悲山の妻と娘の下着はどのような下着なのかを尋ねた。 大悲山は妻と娘の下着は盗まれていないと答えた。大悲山は早く犯人を捕まえて自分の下着を取り戻すように大輔と兼也に懇願した。大輔は淡々と語る。
「男が履いたトランクスなんて取り戻す必要はないですし、そんなトランクスを盗んだ犯人も捕まえる必要がありません」
 大悲山が悲しそうな表情をした。
「そのトランクスが価値がマイナスだとしても、一応窃盗事件なので犯人を捕まえるべきではないでしょうか?」
 兼也が大悲山に追い打ちをかけた。大悲山がさらに悲しそうな表情をした。大輔は兼也に聞いた。
「誰かの家から飛び出してきたゴキブリを捕まえた人物を窃盗犯として検挙しますか?」
 兼也は即答した。
「しません」
「大悲山さんが履いたトランクスとゴキブリは同じ価値です」
 大悲山は泣いている。
「ひどい」
 兼也が大輔に尋ねた。
「今回は何もせず警視庁に帰るということですか?」
「そうではありません」
 「散々なこと言われたけど、捜査はしてくれるんだ」
 大悲山はほっとして心の中で言った。
「大悲山さんに対してお金の請求をします」
「は?」
「警視庁から大悲山さんの家までかかったガソリン代の金額を請求します」
「そんなぁ……」
 大悲山はがっかりした。

【第3話 交通安全教室を開く色川大輔は安全な人物なのか?】

 警視庁横断課の部屋で大輔と兼也がパソコンで調べ物をしている。大輔と兼也がいる警視庁・横断課の部屋のドアが開き、制服を着た警察官が現れる。警察官は大輔と兼也に頼んだ。
「中学校の交通安全教室を担当する者が急に病気になってしまって、代わりに担当してもらえませんか?」
 横断課は殺人事件や窃盗事件以外にも横断的に仕事をするので、このように頼まれるのはよくあることだ。
兼也は言い訳を始めた。
「今、殺人事件の調査をしていて忙しい__ 」
 大輔は兼也を遮った。
「行きますよ」
「先輩、どうしてですか?」
「未来の花嫁を見つける__いや、尊い命を失わせないために交通安全教室を開くべきです」

 大輔と兼也は警察官の制服を着て、中学校にやってきた。大輔と兼也の前には大勢の中学生がいる。大輔は自己紹介をした。
「こんにちは私は色川大輔と言います。恋人したい女性の年齢はいくつでも構いません」
 続いて兼也も自己紹介をした。
「こんにちは下野兼也と言います。これから交通安全教室を開きます」
早速、兼也は中学生たちに質問した。
「自転車が車道を通行する場合、右側通行が正しいのか左側通行が正しいのか分かりますか?」
大勢の中学生の中で丸坊主の少年だけが手を挙げている。兼也は丸坊主の少年に答えさせた。丸坊主の少年は言った。
「色川さんは百歳の女性でも恋愛対象になりますか?」
 大輔はにっこりと笑って
「美魔女なら恋愛対象になります」
 兼也は呆れていたが、気を取り直して
「自転車が車道を通行する場合、右側通行が正しいのか左側通行が正しいのか分かりますか?」
 大勢の中学生の中で丸坊主の少年とショートカットの少女だけが手を挙げている。兼也は丸坊主の少年を当ててはいけないと思ったので、ショートカットの少女に答えさせた。ショートカットの少女は言った。
「下野さんは十三歳の女性でも恋愛対象になりますか?」
「なりません」
 質問をされていない大輔が答えた。
「ちなみに私は十三歳の女の子でも恋愛対象になります。私は結婚できる年齢まで結婚を待つつもりです」
 また、兼也は呆れていたが、気を取り直して
「自転車が車道を通行する場合、左側通行が正しいです」
 兼也はスケッチブックを取り出し、スケッチブックの表紙をめくった。雨が降っていて男性が傘をさしながら自転車を運転しているスケッチブックの絵を、兼也が大勢の中学生に見せている。
「この絵の直すべきところはどこだと思いますか?」

 大勢の中学生の中で丸坊主の少年とショートカットの少女とポニーテールの少女の3人だけが手を挙げている。兼也は丸坊主の少年だけではなくショートカットの少女も当ててはいけないと思ったので、ポニーテールの少女に答えさせた。ポニーテールの少女は言った。
「絵の中の男性の顔です。不細工なのをイケメンに変えればと思います」
「違います。直すべきところは、自転車を乗りながら傘をさしているところです」
交通安全教室は終わった。
  パトカーの中で助手席に座っている大輔が運転している兼也に話しかけた。
「百歳の女性でも恋愛対象になるかと聞いた男子生徒を覚えてますか?」
「はい」
「あの男子生徒は、将来私の恋のライバルになるかもしれません」
兼也は呆れているが、それに構わず大輔は続ける。
「志保さんのお母様の事件を調査しながら、例の男子生徒が犯罪を起こさないかどうかよく見張ってください。恋のライバルを潰す__いや、彼がわいせつ罪を犯さないようにするためです」
「はい」
 警視庁横断課の部屋で大輔と兼也がファイルをあさって調べ物をしているときに、大輔は突然言い出した。
「ナンパ__いや、パトロールに行ってきます」
 スマホを使用しながら自転車を運転している女子高生を、大輔が見つけた。なんと大輔は
女子高生の後ろから胸を触った。胸を触られて驚いた女子高生は転びそうになった。転びそうな女子高生を大輔が受け止めたので、女子高生に怪我はなかった。女子高生は叫んだ。
「痴漢!」
 大輔は腕を組みながら
「これは透明人間の犯行ですね」
 その言葉に対して女子高生は怒鳴った。
「見え透いた嘘をつくな!」

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