顔色を見る人生、卒業します

顔色を見る人生、卒業します

記事
コラム
顔色を見る人生、卒業します

その癖はいつ、なぜ始まったのか


アイリス綾




目次

はじめに4

第一章 その「クセ」に、名前をつける6

第二章 記憶をたどる――いつから、始まったのか10

第三章 なぜ、大人になっても手放せないのか15

第四章 場面別に見る、顔色をうかがう癖18

第五章 顔色をうかがう自分を、責めない22

第六章 少しずつ、手放していくために25

第七章 淡々と、こだわりなく、粛々と30

第八章 その繊細さを、力に変えていく33

よくいただくご質問35

おわりに37

著者プロフィール38













はじめに



会話の途中、ふと相手の眉のあたりに視線が吸い寄せられたことはないでしょうか。声のトーンがほんの少し変わっただけで、心臓がきゅっと縮む。既読がついたのに返信が来ないだけで、何十通りもの「嫌われる理由」を頭の中で組み立ててしまう。誰かと同じ部屋にいるだけで、無意識のうちに空気を読み、相手の機嫌を確認し、自分の言葉を差し替える。

これは、性格の問題でも、気にしすぎという一言で片づけられるものでもありません。私はこれまで、コミュニティサイトや電話鑑定を通じて三千件を超える有料鑑定を行い、学生から経営者、政治に関わる方まで、実に幅広い方々のお話を伺ってきました。そのなかで繰り返し出会ってきたのが、まさにこの「人の顔色をうかがう癖」というテーマです。

多くの方が、この癖を「自分の弱さ」だと思い込んでいます。けれど鑑定の場で丁寧にお話を伺っていくと、ほとんどの場合、その癖には始まりがあります。もっと言えば、それは弱さではなく、かつてのあなたが生き延びるために選び取った、極めて高度な戦略だったのです。

私自身、二十六年間を金融機関という組織の中で過ごしました。数字と評価と人間関係がせめぎ合う場所で、上司の機嫌、同僚の顔色、取引先の温度感を読み続ける日々です。同時に二十年にわたり、高齢者施設を中心としたボランティアでの心理カウンセリングにも携わってきました。人生の終盤に差し掛かった方々が、静かに振り返る言葉の中には、「もっと早く、自分の顔色ばかりうかがう生き方をやめればよかった」という後悔が、驚くほど頻繁に登場します。

小林正観さんや片山鶴子さんの教えに触れる中で、私は「淡々と、こだわりなく、粛々と」という生き方の指針にたどり着きました。これは感情を殺すことでも、我慢を美徳にすることでもありません。むしろその逆で、握りしめていたものを一つずつ手放し、身軽になっていくための考え方です。人の顔色をうかがう癖もまた、手放すことができるものの一つです。

これまで鑑定でお話を伺ってきた方々の職業は、実に多岐にわたります。会社員、経営者、医療や福祉の現場で働く方、子育ての最中にある方、そして政治や公的な立場に関わる方々まで、立場も年齢も異なるにもかかわらず、「人の顔色をうかがってしまう自分」に悩む声だけは、驚くほど共通していました。それだけこの悩みは、特別な誰かだけのものではなく、多くの人が静かに抱えている、普遍的なテーマなのだと感じています。

この本では、まず「顔色をうかがう癖」がいつ、どのようにして始まったのかを、発達心理学や家族関係の視点も交えながら丁寧にひもといていきます。そのうえで、なぜ大人になった今もその癖が続いてしまうのか、そのメカニズムを解説し、最終的には少しずつその癖を手放し、自分の顔色で生きていくための具体的なステップをお伝えします。

読み終える頃には、あなたは自分を責める理由を一つ、手放しているはずです。過去のあなたがなぜそうするしかなかったのかを理解したとき、初めて人は前に進むことができます。どうぞ、ご自身のペースで、淡々と読み進めてみてください。

内容は下記から
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す