共有IDをやめる|アカウントと権限の分け方

共有IDをやめる|アカウントと権限の分け方

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事務所の共有パソコンに、IDとパスワードを書いた付箋が貼ってある。パートの方も、社長も、同じその一つで入る。誰が何を入力したかは、隣に座っていれば分かる。だいたいは。

困るのは、その「だいたい」が効かなくなったときだ。先月の請求額が一件だけ書き換わっている。いつ、誰が、何を見て直したのか。画面の更新者の欄には、全員が使っている同じ名前が並んでいる。ここで手が止まる。

先に書いておく。共有をやめるのに、明日から全員分のアカウントを用意する必要はない。人数で料金が増える作りなら、なおさら急がなくていい。分けるのは、人より先に操作のほうでいい。

共有IDは、だらしなさの結果ではない

共有のまま使っている会社を見ていると、理由はたいてい二つに絞られる。ひとつは料金だ。人数で課金される作りのものは、たまにしか触らない人の分まで毎月払うことになる。月に二度しか開かない人が三人いれば、その三人分が固定費として毎月出ていく。

もうひとつは、アカウントを発行できる人が社内にいないこと。作った業者に頼めば費用がかかるか、そもそも連絡が付かない。管理画面の入り方を知っていた人が、もう辞めている場合もある。こうなると、増やすより手元のIDを回したほうが早い。判断としては間違っていない。

だから「共有はやめましょう」と言われても動かない。正しさの問題ではなく、費用と手間の問題だからだ。動かすなら、お金も手続きもほとんどかからない範囲を先に決めてしまうほうが早いです。

共有IDには、もうひとつ副作用がある。パスワードを変えにくくなることだ。変えれば全員に配り直さなければならないので、たいてい変えないまま何年も使う。人が辞めても付箋はそのまま残るし、その人はまだ入れる。

困るのは、平時ではない

全員が同じIDで入っていても、日々の仕事は普通に回る。入力できるし、印刷もできる。困りごとが出るのは、少し前のことを後から確かめたくなった瞬間だけだ。だから普段は誰も不便を感じない。

消えた行を戻したい。締めたはずの月の数字が動いている。取引先と「言った・言わない」になり、いつの時点でそう入力されていたかを示したい。このとき手元にあるのが「更新者:営業部」だけだと、何ひとつ確かめられない。

そして記録は、必要になった瞬間には作れない。残っていないものは、後から誰にも確かめられない。これが共有IDの本当のコストで、平時には一円も見えないのがやっかいなところだ。

全部を分けなくていい。先に三つの操作から

現実的な順番はこうなる。閲覧と日々の入力は共有のままでいい。先に個人のIDへ移すのは、後から取り消しにくい操作だけです。全部を一度に分けようとすると、たいてい途中で止まって元に戻る。

具体的には、消す、締める、金額を直す。この三つは間違えたときの戻し方がそれぞれ違う。消したものは戻せないことが多く、締めた後の数字は動かすべきではなく、金額の変更は請求と支払いにそのまま出ていく。

ついでに書いておくと、消す操作そのものを弱くしておく手もある。行を本当に消さず、画面から見えなくするだけにしておく。こうすると「間違えて消した」は取り消せる事故になり、誰が消したかも残る。

先に個人IDにする操作

三つに絞ると、必要な個人IDは全員分にはならない。月次を締める人、金額を直す人、消してよい人。役割が重なっていれば、さらに少なくなる。その人数なら、人数で課金される作りでも払える金額に収まります。

権限は二段で足りることが多い

次に決めるのが段の数だ。管理者と一般。この二段で足りてしまう会社が、思っているよりずっと多い。段を増やす前に、いま困っている場面が本当に三段目を必要としているかを見てほしい。

三段目、四段目を作りたくなる気持ちは分かる。部署ごと、役職ごと、案件の担当ごと。ただ、段を増やすと、その設定は一度きりでは終わらない。人は異動するし、入るし、辞める。
権限を細かく分けた会社ほど、退職した人のIDがそのまま残っている。
段が多いほど、一人動くたびに「どこを直せばいいのか」を思い出す作業が発生する。面倒だから後回しになり、後回しが積もると、設定と実態が合わなくなる。合っていない権限設定は、無いのとほとんど同じだ。

「見せない」より「見えるが直せない」

権限を考えるとき、多くの人はまず「見せない」から入る。他部署の数字は見せない、過去の単価は見せない、担当外の顧客は見せない。分け方の話を始めると、たいていこの方向に進んでいく。

けれど実務で困っているのは、たいてい見られたことではなく書き換えられたことのほうだ。だとすれば、隠す必要はない。見えたままで、直せなくするだけで足りる場面が多い。

隠すか、直せなくするか

見せない側に回すべきものは、数えられるくらいしかない。給与、口座番号、人事の評価。それ以外は見えていたほうが仕事が早いし、隠した情報ほど「知っている人に口頭で聞く」という抜け道で結局は共有される。

段を増やす前に、記録で押さえる

それでも権限だけでは防ぎきれないものが残る。金額を直せる人は、直せる以上いつでも直せてしまう。ここを段の数でどうにかしようとすると、段が際限なく増えていく。

そこで、防ぐのをやめて、残すほうへ切り替える。誰が、いつ、どの値を、何から何に変えたか。この四つが揃っていれば、後から確かめられる。確かめられるなら、段を増やさずに済む。

四つのうち、抜けやすいのは「何から」のほうだ。変更後の値だけを記録している作りは案外多い。けれど後から知りたいのは、たいてい変わる前にいくらだったかで、それが無いと結局は元の資料を探すことになる。

締めた後の数字も同じ考え方でいい。上書きして直すのではなく、取り消しの記録を一行足して、その上に新しい行を足す。過去の数字がそのまま残るので、先月出した資料と今日の画面が食い違わなくなる。

この記録の作りは、後から足すのが一番やりにくい部分でもある。作り替えを考えているなら、画面の数を決めるのと同じ段階で、何を残すかも一緒に決めておいてください。

当方は元金融系のシステムエンジニアで、Excel・紙で回している業務を月額0円の買い切りWebアプリにする仕事をしている。ログインは標準に含み、権限は管理者と一般の二段まで(部署や役職ごとの細かい分け方は別途お見積り)、何を記録として残すかは着手の前に決めています。どこまで分けるべきか迷っている段階で構いませんので、ココナラのメッセージからご相談ください。
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