日曜の午後、二時間ほどで案件の一覧画面ができた。登録も編集も検索も動く。自分で打ち込んだ十件が、ちゃんと表に並んでいる。ここまでは拍子抜けするほど早かった、という人は多いはずだ。
詰まるのはその次だ。月曜に同僚へ見せると、まず聞かれる。去年の分はどこに入るのか。誰が直したか分かるのか。締めた後に金額を直したらどうなるのか。どれも画面を見ただけでは答えが出ない。作れたのに、業務には乗せられない。
当方もAIを使って作っている。だから「AIでは無理だ」という話をするつもりはない。分かれ目は、設計と検算を人がやったかどうかだ。画面はAIが出す。そこに乗る決めごとのほうは、まだ誰も決めていない。今回は、その決めごとが四つあるという話を書く。
画面はすぐ出る。出てこないのは別のもの
案件を管理したい、と頼めば一覧と登録画面が数十分で出てくる。見た目も整っている。ここが速いのは本当で、当方が仕事で作るときも、最初のたたき台はこの作り方で出している。
出てこないのは、頼まなかったもののほうだ。締めた後の数字をどう扱うか。誰が何を見られるか。誰がいつ直したかを残すか。二人が同時に同じ行を触ったらどうするか。この四つは、頼まない限り出てこない。しかも一人で試している間は、四つとも表に出ない。
四つが表に出るのは、二人目が使い始めた日か、最初の月末だ。どちらもたいてい、もう業務に乗せた後になる。動くかどうかではなく、後で困るかどうかで見ておくと、この時間差を避けられる。
そのデータ、どこに入っているのか
四つの前に、確かめておきたいことが一つある。入力したデータが、どこに保存されているか。ここが決まっていないまま、動いて見えることがある。
入力した内容がブラウザの中に貯まっているだけ、という形だ。自分のパソコンで開いている限りは残る。翌日に開いても表示される。動いているので、保存先の話が最後まで出てこない。
気づくのは、別のパソコンで開いた日だ。空の一覧が出る。あるいは、ブラウザの履歴や閲覧データを消した日に、全部消える。戻す先がないので、入れ直すしかない。
確かめ方は簡単で、別の端末から同じ画面を開いてみてください。自分のスマートフォンで足ります。そこに同じデータが並ばないなら、保存先はまだ決まっていない状態です。
締めた後の数字は、動かさない
月末に締める業務があるなら、四つのうちここが一番効く。締めた後で、過去の行が書き換わる作りになっていないか。請求も、給与も、在庫の棚卸しも、いったん締めた数字を外に出したうえで回っている。その紙と画面が合わなくなると、話が止まる。
たとえば単価を変える。素直に作ると、単価の欄を上書きして終わりだ。すると先月の請求まで新しい単価で計算し直される。印刷して出した紙と、画面の数字が合わなくなる。単価も金額も、いつ時点のものかを持たせておくと、これは起きない。過去の計算結果が、後から動かなくなる。
直したい場合は、上書きではなく取り消しの記録を足す。元の行は残したまま、打ち消す行と、新しい行を並べる。手間が増えるように見えて、後から「なぜこの数字なのか」を説明できるのはこちらだけだ。
上書きは楽だが、上書きした瞬間から、それ以前の数字を誰も説明できなくなる。
二人目が使い始めた日に、まとめて出る
権限。ログイン画面は付くが、入った後に誰が何を見られるかは空のままになっていることが多い。全員が全部見えて、全部消せる。管理者と一般の二段で足りるので、そこだけ先に決めておきましょう。
履歴。誰がいつ何を変えたか。残っていないものは、後から誰も確かめられない。犯人を探すためではなく、数字が変わったときに、どの時点で何が起きたのかを追うために要る。金額を扱う画面なら、これは最初から入れておいたほうがいい。
同時の書き込み。二人が同じ行を開いて、順番に保存する。後から保存したほうで、前の人の入力が黙って消える。エラーも警告も出ない。一人で試している限り、この症状は一度も出ない。
直すたびに、動いていた所が変わる
もう一つ、作り続けていると、いずれ来る場面がある。ここを直してほしいと頼むと、確かに直る。ただ、前回頼んだ内容のほうが消えていることがある。動いていた検索が効かなくなる、直したはずの表記が戻っている。
原因は忘れるからではなく、どこまで戻せるかを決めていないからだ。前の版が手元に残っていれば、消えた時点で戻せる。残っていないと、記憶を頼りに作り直すしかない。ここで力尽きる人が多い。
やることは一つ。動いた時点のファイル一式を、日付を付けて別に取っておく。凝った仕組みは要りません。フォルダごとコピーして日付を付ける、それだけで戻せます。動いた状態を残さずに直し続けると、どこまで戻れるのかが分からなくなる。
ここまでで止めて、人に渡す
四つとも自分で決めて作り切る道もある。ただ、締めと権限と履歴と同時書き込みは、後から足すと作り直しに近くなる。業務に乗せる日が決まっているなら、決めごとが出そろった時点でいったん止めて、人に渡したほうが早いことが多い。
渡すときに持っていくものは三つ。作ったもの、入れたい項目、詰まった箇所。この三つがあれば、どこから引き取れるかはこちら側で判断できます。
詰まった箇所は、原因が分からなくて構わない。二人で開くと消える、先月の数字が変わってしまう、で足りる。むしろ原因を推測して伝えられると、そちらを先に確かめる手間が増えることがある。起きた事実だけを、そのまま渡すのが早い。
AIで作った時間は無駄にならない。やりたいことが画面の形になっている、というのは材料としてかなり強い。文章で書いた要望より、動く画面のほうが認識のずれが少ない。そこまで持ってこられているなら、残っているのは決めごとだけだ。
当方は元金融系のシステムエンジニアで、Excel・紙で回している業務を、月額のかからない買い切りのWebアプリにしている。AIで作りかけたものを引き取って、締め・権限・履歴のところを足して仕上げる形でもお受けしています。どこで詰まったのか自分でも説明がつかない状態で構いませんので、作ったものと入れたい項目だけ持って、ココナラのメッセージからご相談ください。