温める漢方を飲んでも、お腹の冷えが進んだ理由

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※実際の相談例をもとに、個人が特定されないよう背景や時系列の一部を変更・再構成しています。

先日、長年の冷えに悩んでいる方から、SNSを通じて相談を受けました。

その方の冷えは、強い精神的ストレスを受けた頃から始まったそうです。

最初は主に手足の冷えでした。歩くと少し温かくなるものの、じっとしていると足先が冷えてしまい、現在は電熱靴下を使うほどになっていました。

中医学では、四肢の末端が冷える状態を「四逆」と呼ぶことがあります。

強い緊張やストレスが続くと、自律神経の働きによって末梢の血管が収縮し、手足に血流が届きにくくなることがあります。中医学的には、肝の気が滞り、気血が四肢まで十分に巡らない状態として捉えることができます。

この方の手足の冷えも、発症時期から考えると、最初はストレスによる「巡りの悪い冷え」だった可能性があります。

手足だけでなく、お腹まで冷えるようになった

問題は、その後です。

年月が経つにつれて冷えの範囲が広がり、最近では手足だけでなく、お腹や背中にも強い冷えを感じるようになっていました。

腹部膨満、ガス、便秘や下痢などの胃腸症状もあり、夏でも電熱腹巻きを使わなければ過ごしにくいほどだったそうです。

医療機関では、

・当帰四逆加呉茱萸生姜湯
・大建中湯
・当帰湯

など、冷えや腹部症状に使われる漢方薬が処方されていました。

処方の方向性を見る限り、医師も手足の冷えだけでなく、腹部の冷えや胃腸の働きの低下を考えていたのだと思います。

それでも、冷えは次第に腹部まで進んでいました。

漢方が間違っているとは限らない

漢方を飲んでも改善しないとき、つい「薬が合っていないのではないか」「もっと強く温める漢方が必要なのではないか」と考えたくなります。

しかし、処方の方向性には大きな不自然さがありません。

そこで私は、別の可能性を考えました。

漢方で身体を温めようとしている一方、日常生活の中に、それ以上に身体や胃腸を冷やす習慣が残っているのではないか。

たとえば、冷たい飲み物、生野菜、食事量の不足、過度な糖質制限などです。

一度だけ冷たい物を口にした程度なら、それだけで慢性的な冷えの原因になるとは考えにくいでしょう。

しかし、すでに胃腸が弱り、腹部の冷えが強くなっている人が、毎日同じ負担を繰り返していたらどうでしょうか。

温める漢方を飲みながら、食事では毎日反対方向の刺激を加えている可能性もあります。

「健康的な食生活」が盲点になることもある

そこで普段の食事内容を詳しく聞いてみました。

すると本人は、タンパク質の確保、節約、脂質の調整、胃腸への負担軽減を考えて、かなりストイックに食事を管理していました。

一見すると、とても健康意識の高い食生活です。

本人も「胃腸に負担をかけないように考えた食事」だと思っていました。

しかし、実際の献立を一日単位で並べてみると、昼は主食を抜き、夜はほぼ毎日同じ食品を食べるという、かなり特徴的な構成になっていました。

そして、その毎晩の食事の中に、腹部の冷え、膨満、ガス、下痢を悪化させている可能性のある習慣が隠れていました。

健康によいとされる食品でも、体質、体調、食べる量、温度、頻度によっては、現在の身体に合わないことがあります。

大切なのは「この食品は健康によいか、悪いか」と単純に分類することではありません。

今の身体に対して、どのような食べ方をしているのかを見ることです。

次回は、この方が毎晩食べていた献立と、なぜそれが腹部の冷えにつながった可能性があるのかを、中医学と現代医学の両面から整理します。

※中医学的な見立ては、医療機関で行う診断とは異なります。強い腹痛、嘔吐、血便、体重減少などがある場合は、食事だけで判断せず医療機関へ相談してください。
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