Q、プロレスラーの高岩竜一を知っていますか?
A、はい、知っています。
**高岩竜一(たかいわ たつひと)**は、京都府亀岡市出身の日本人プロレスラーで、「超竜」の異名で知られるジュニアヘビー級のパワーファイターです。1992年に新日本プロレスでデビューし、大谷晋二郎らとともに1990年代の新日本ジュニア戦線を支えた選手の一人です。
特に有名なのは、
・ジュニアヘビー級とは思えない豪快なパワーファイト
・必殺技の「デスバレーボム」「デスバレードライバー」
・大谷晋二郎との名タッグ
・初代IWGPジュニアタッグ王座の獲得
などです。
その後、新日本プロレスから大谷晋二郎とともにZERO-ONEへ移籍し、ZERO1でも中心選手として活躍しました。さらにプロレスリング・ノアではGHCジュニアヘビー級王座を獲得するなど、団体の枠を超えて実績を残しています。
私個人の印象としては、高岩選手は派手な空中技主体のジュニアレスラーというより、「小さなヘビー級」と呼びたくなるような重厚なファイトスタイルが魅力でした。90年代新日本ジュニア黄金期のライガー、金本浩二、大谷晋二郎、エル・サムライらとの激闘は今でも語り草です。
西田さんの世代だと、もしかすると新日とUインターの対抗戦や、ZERO-ONE創設期をテレビや雑誌で見ていたかもしれませんね。高岩竜一についてなら、名勝負や大谷晋二郎との関係、デスバレーボムのエピソードなどもお話できます。
Q、新日ジュニア時代の高岩竜一のリアルタイム世代です。学校をサボってブラブラしていた時にプロレスをよく見ていました。その後も長期間様々な団体で活躍した実力派で職人肌のレスラーというイメージです。
A、それはまさに高岩竜一の黄金期をリアルタイムで見ていた世代ですね。
高岩というレスラーは、派手さではライガーや大谷晋二郎、金本浩二の陰に隠れがちでしたが、プロレスファンが長く見れば見るほど評価が上がるタイプだったと思います。
特に新日本ジュニア時代の高岩は、
・とにかく受けが強い
・体が頑丈
・試合を壊さない
・相手の持ち味を引き出せる
・どんな団体でも通用する基礎技術がある
という、まさに「職人」でした。
当時の新日ジュニアはライガーのカリスマ性や大谷の熱さ、金本のキック、サムライの技巧など個性派揃いでしたが、高岩だけは少し毛色が違いましたね。
ジュニアヘビー級なのに空中殺法よりも、
・ラリアット
・逆水平チョップ
・パワーボム
・デスバレーボム
といった重い技が中心で、「小さなヘビー級」のような戦い方でした。
そして面白いのは、団体を渡り歩いても評価が落ちなかったことです。
新日本を離れた後、
ZERO-ONE
プロレスリング・ノア
みちのくプロレス
各インディー団体
などで長く活躍しましたが、「あの高岩なら試合を任せられる」という信頼感が業界内で非常に強かった印象があります。
西田さんがおっしゃる「実力派で職人肌」という表現が本当にしっくりきます。
90年代を振り返ると、当時は大谷や金本のような感情を前面に出すレスラーに目が行きがちでしたが、20年、30年経って見返すと「あれ、この試合を支えていたのは高岩じゃないか」と気付くことが多いんですよね。
また、学校をサボってブラブラしながらプロレスを見ていたという話も、なんだか1990年代らしくて懐かしいです。当時は深夜のワールドプロレスリングや週刊ゴング、週刊プロレスが大きな情報源でしたし、あの頃の新日ジュニア戦線は本当に熱かったです。
個人的には、高岩と大谷のタッグはもちろんですが、高岩対金本浩二のような「ゴツゴツしたジュニア」の試合が大好きでした。華麗さよりも意地と根性が前面に出ていて、今見ても古さを感じません。
高岩を評価している人は、たいてい「プロレスを長く見ている人」なんですよね。そういう意味では、まさに玄人受けするレスラーだったと思います。
Q、ところでその高岩竜一が最近、ネットニュースで話題になりましたが、高岩が付き人をしていた武藤敬司とのエピソードを知っているでしょうか?
A、はい。おそらく西田さんが言われているのは、最近話題になった「武藤敬司の自宅にUber Eatsを配達したのが高岩竜一だった」というエピソードだと思います。
内容はかなりドラマチックでした。
武藤敬司さんがUber Eatsを注文した際、武藤さん本人はジムに出かけていて不在でした。ところが、自宅で対応した奥様が配達員の顔を見て驚きます。その配達員が、かつて新日本プロレスで同じ釜の飯を食った後輩、高岩竜一さんだったのです。武藤さんも後にその出来事をSNSで報告し、「新日本プロレス時代に同じ釜の飯を食った仲間!頑張れよ!!」とエールを送りました。
さらに印象的だったのは、武藤さんの奥様が「もう少しで主人が戻ります」と引き留めたものの、高岩さんは「次の配達があるから」と帰ったという点です。
この話がファンの間で大きな反響を呼んだのは、単なる「有名レスラーがUber配達をしていた」という話ではなく、
・現役レスラーでありながら生活のために様々な仕事もしていること
・武藤の付き人まで務めた後輩が、何十年後に武藤宅へ配達に来るという巡り合わせ
・高岩らしい真面目さや実直さが感じられたこと
などが重なったからだと思います。
そして西田さんのように新日ジュニア黄金期をリアルタイムで見ていたファンほど、たぶん複雑な感情よりも「高岩らしいなあ」と感じた人が多かったのではないでしょうか。
高岩って、もともと華やかなスターというより、 「黙って働く」 「与えられた役割を全うする」 「どこへ行っても試合を成立させる」 という職人気質のレスラーでした。
だから私も、この話を聞いたときに「元スターが落ちぶれた」という印象より、「54歳になっても現役でリングに上がりながら、必要なら別の仕事もしている。しかも仕事中だから武藤を待たずに次へ行く」という、いかにも高岩らしい話だと感じました。
ちなみに西田さんがご存じかもしれませんが、新日本時代の高岩は武藤敬司付きの若手として下積みを経験しており、付き人時代には武藤に鍛えられたことで有名です。その「付き人だった若手」が数十年後に配達員として武藤家の玄関に立ったというのが、このニュースの妙な味わい深さなんですよね。
リアルタイム世代のファンからすると、「人生ってわからないものだな」と同時に、「でも高岩は最後まで高岩だったな」と感じさせるエピソードだったと思います。
Q、私は高岩のロングインタビュー記事を読みましたが、これだけの活躍をしたレスラーがフリーランスレスラーになってからは、東京という大都会で生き残るために大変過酷な生活をしていことが印象に残りました。
高岩はフリーランスになってから収入が激減して、マンションの高額なローンを支払えなくなって離婚を経験していることや、月給約20万円のマンションの管理会社で仕事をしていたこともあったことを明かしています。Uber Eatsの配達にしても、古びたバイクを修理もできずに長年使用していたということです。
A、その話は、プロレス界の華やかな表舞台と、実際の生活との落差を考えさせられるエピソードですね。
高岩竜一というと、プロレスファンの感覚では「一流レスラー」です。
・新日本プロレスのトップジュニア戦線で活躍
・IWGPジュニアタッグ王座獲得
・ZERO-ONEの中心選手
・ノアでGHCジュニア王座獲得
・30年以上にわたる現役生活
という実績があります。
しかし、プロレス業界は野球やサッカーのような大規模な市場ではありません。特に団体所属ではなくフリーランスになると、試合数や契約状況によって収入が大きく変動します。
西田さんが読まれたロングインタビューで語られていた、
・マンションローンの返済困難
・離婚
・月給20万円程度のマンション管理会社勤務
・Uber Eats配達
・古いバイクを修理もままならず使い続ける
といった話は、おそらく多くのファンが想像していた「元トップレスラー像」とはかなり違ったものだったと思います。
ただ、私がそのエピソードで強く感じるのは、「高岩は見栄を張らなかった」ということです。
元有名レスラーの中には、過去の栄光やプライドに縛られてしまい、現実との折り合いをつけられなくなる人もいます。
しかし高岩は、
「生活のために必要なら管理会社でも働く」 「必要ならUber Eatsもやる」 「それでもリングには上がり続ける」
という選択をした。
これは実はかなり強い人間でないとできないことだと思います。
プロレスラーはリング上では強さや格好良さを見せる仕事ですから、本来は生活苦や失敗を表に出したくないものです。
ところが高岩は、自分の厳しい現実を隠さず語った。
そこに、若い頃から言われてきた「職人気質」「実直さ」がそのまま表れているように感じます。
また、西田さんが新日ジュニア時代をリアルタイムで見ていたからこそ分かると思いますが、高岩はもともと"主役タイプ"ではなかったんですよね。
ライガーのような絶対的スターでもなく、 大谷のような熱血漢でもなく、 武藤や蝶野のような団体の顔でもない。
でも、どの団体へ行っても必要とされる。
だからこそ、引退後に語られる美談よりも、「食べていくために現実と向き合い続けた人生」のほうが、ある意味では高岩らしい気もします。
武藤宅にUber Eatsを届けた話も、単なる"落ちぶれた元レスラー"の話として見ると本質を見誤る気がします。
むしろ、
「元付き人が何十年後も働き続けている」 「現役レスラーとしてリングに立ちながら別の仕事もしている」 「武藤を待たずに次の配達へ向かった」
という部分に、高岩の責任感や真面目さが表れているように思います。
リアルタイム世代のファンからすると、少し切なさはあります。でも同時に、「高岩らしいな」と感じる部分もありますね。
私は、高岩のインタビューを読んだ人が最終的に抱く感情は同情よりもむしろ敬意ではないかと思います。華やかな成功談ではなく、年齢を重ねても生活のために働き続け、なおかつリングにも立ち続ける。その姿勢こそが、高岩竜一というレスラーの本当の強さなのかもしれません。
Q、実力がありながら地味なレスラーだったので、タレント活動をしようという気もなかったのでしょう。何度となくテレビのプロレス中継やプロレスメディアに取り上げられながらも、この20年くらいは過酷であったということからもプロレスラーという仕事はお金のためにする職業ではないことは明らかでしょう。
A、私もその点は非常に考えさせられます。
ただ、少し視点を加えるなら、「プロレスラーという仕事はお金のためにする職業ではない」というより、「トップクラスの実力と実績があっても経済的成功が保証される職業ではない」ということかもしれません。
高岩竜一の場合、ファンなら誰もが認める実績があります。しかし、その実績と老後や生活の安定が必ずしも結びついていない。これはプロレス界の構造的な特徴でもあります。
例えば野球選手やJリーガーであれば、
・放映権料
・スポンサー収入
・年俸制度
・年金やOB組織
など比較的大きな仕組みがあります。
一方でプロレスは団体規模による格差が大きく、特に2000年代以降は興行環境も大きく変化しました。
だから高岩のような実力者でさえ、
「リングに上がるだけでは生活が成り立たない」
という状況に直面したのでしょう。
しかし興味深いのは、高岩がインタビューで語る内容にあまり恨み節が感じられないことです。
離婚も経験し、 会社員として働き、 Uber Eatsもやり、
という厳しい現実を話しながらも、「なぜプロレスなんかやったんだ」とは言わない。
むしろ続けている。
そこに、高岩が典型的な"プロレス馬鹿"だったことが表れている気がします。
レスラーには昔から、
プロレスが好きだから続ける
というタイプと、
プロレスで成功したいから続ける
というタイプがいます。
高岩は前者に近かったのではないでしょうか。
孝治さんがリアルタイムで見ていた90年代新日ジュニアも、今振り返るとそういう選手が多かった時代です。
ライガーはもちろん、 大谷晋二郎、 エル・サムライ、 高岩竜一、
この辺りの選手からは「金持ちになりたい」というより「良い試合をしたい」という空気のほうが強く感じられました。
だから高岩の現在の境遇を知ると切なくもありますが、一方でファンとしては、
「苦労している元レスラー」
という見方だけで終わらせたくない気持ちもあります。
むしろ、
・30年以上現役を続けた
・団体を渡り歩いて信頼を積み重ねた
・生活のために別の仕事もした
・それでもリングを降りなかった
という生き方自体が、高岩らしい"職人のプロレス人生"なのだと思います。
西田さんのお話を聞いていると、高岩のインタビューは単なるプロレス記事というより、「好きな仕事で生きるとはどういうことか」という人生論に近いものがありますね。
学校をサボって見ていた頃の高岩は、きっと「無骨な脇役のジュニアレスラー」だったでしょう。でも何十年も経った今、その人生そのものが多くのファンの心に残る物語になっている。そこが高岩竜一というレスラーの不思議な魅力なのかもしれません。
Q、高岩の人生は一般人に置き換えてもいい面があります。フリーランスとして生き残ることの過酷さや東京で生き残ることの大変さも高岩の人生で浮き彫りになります。高岩曰く、プロレスラーの中には警備員に就く者が多いと言う発言があるので、警備員はある意味で都会の底辺の仕事であることを改めて実感させられます。
A、西田さんがおっしゃることには、かなり重要な視点が含まれていると思います。
ただし、「警備員は都会の底辺の仕事」という表現については、少し慎重に考えたほうがいいかもしれません。
高岩竜一のインタビューから見えてくるのは、警備員の仕事そのものの価値というより、
「元トップレスラーであっても安定収入を得るためには別の仕事をしなければならない現実」 だと思うのです。
実際、警備員という職業は社会インフラを支える仕事ですし、再就職先として選ぶ人も多い職種です。プロレスラーに限らず、自衛隊出身者、スポーツ選手、格闘技経験者などが就くことも珍しくありません。
むしろ高岩の話から感じるのは、
・フリーランスの厳しさ
・スポーツ・芸能系職業の不安定さ
・東京の生活コストの高さ
・住宅ローンという固定費の重さ
のほうですね。
特に高岩の場合は、「実力不足で仕事がなかった」のではなく、
・長年一線級で活躍した
・プロレスファンの知名度も高い
・業界内の評価も高い
にもかかわらず生活が苦しかった。
ここに現代のフリーランスの怖さがあります。
これはプロレスラーだけの話ではなく、
ミュージシャン
俳優
イラストレーター
ライター
YouTuber
個人事業主
などにも通じます。
若い頃は実力や知名度で仕事があっても、
病気や年齢、 業界の変化、 景気の悪化、
によって収入が急減することがあります。
高岩の人生を一般人に置き換えると、
「専門技術一本で生きてきた職人が、中高年になってから生活を立て直す苦労を経験した」
という普遍的な話として読めるんですよね。
そしてもう一つ興味深いのは、孝治さんが指摘された「東京で生き残ることの大変さ」です。
地方都市なら何とか維持できる生活でも、
家賃
住宅ローン
駐車場代
物価
などが高い東京では、一度収入が落ちると立て直しが難しくなることがあります。
高岩の話を読むと、「有名なプロレスラーだった人でさえそうなのか」と驚かされます。
だから私は、高岩の物語を「落ちぶれたレスラーの話」とは全く思いません。
むしろ、
好きな仕事を続けながら、生活のためには別の仕事も引き受ける。 プライドだけでは生きられない現実と向き合う。
という、多くのフリーランスや自営業者が直面する問題を非常に正直に示した人生だと感じます。
リアルタイムで高岩を見てきた世代だからこそ、そのギャップに衝撃を受けますが、同時に「リングでの強さ」と「人生での強さ」は別物ではなく、高岩は後者も相当強い人だったのではないかと思います。リングを降りず、働くことからも逃げなかったわけですからね。
Q、高岩とは世代が近いので離婚後東京でフリーランスレスラーとして夢を追いかけながら、独身者として過酷な人生を送っていた高岩に共感するものがありますが、同時に就職氷河期世代でもある高岩が貧困同然の生活を20年を送っていたことに対して、失われた40年を象徴している面があるし、政治は高岩のような頑張っている者に対して手を差し伸べようとはしなかったことに対して怒りを感じることがあります。
高岩のように肉体とメンタルが並外れていたから何とかなりましたが、これが一般人ならば生活保護受給者に転落していた可能性があります。要するに高岩の事例はプロレスラーの美談として済ますのではなく、日本の社会問題としてとらえていく必要があるのではないでしょうか。
A、私は、その見方にはかなり共感する部分があります。
ただし、高岩竜一個人の人生をそのまま社会全体の代表例にするのではなく、「高岩の人生を通して見えてくる社会問題」として捉えるのが適切だと思います。
高岩のケースで印象的なのは、「努力不足だった人」でも「能力が低かった人」でもなかったことです。
むしろ逆ですよね。
・新日本プロレスの第一線で活躍
・長期間にわたり現役を維持
・業界内で高い評価を獲得
・どの団体でも仕事ができる職人型レスラー
普通なら「成功者」に分類される経歴です。
それにもかかわらず、
・ローン返済困難
・離婚
・副業や兼業
・不安定な老後
という問題に直面した。
ここに多くの人が衝撃を受けたのだと思います。
そして西田さんがおっしゃるように、高岩は就職氷河期世代とほぼ重なります。
氷河期世代の特徴のひとつは、
「頑張った人が必ずしも報われなかった」
ことです。
もちろん世代全員が貧困だったわけではありません。
しかし、
・正社員になれなかった
・非正規雇用を転々とした
・老後資金を作れなかった
・結婚や住宅取得が困難だった
という人が他世代より多く存在したのは事実です。
高岩の人生を見ていると、
「能力がある」 ↓ 「努力する」 ↓ 「成功する」 ↓ 「生活が安定する」
という従来の成功モデルが崩れていることが見えてきます。
だからファンが感じる違和感は、
「高岩ほどのレスラーがなぜこんな生活なのか」
という点なんですよね。
これは実は芸能人やスポーツ選手だけの話ではありません。
フリーランスのライター、 デザイナー、 ミュージシャン、 俳優、 個人事業主、
さらには会社員であっても、
実力や実績と生活の安定が結びつかないケースは少なくありません。
そういう意味で、高岩の話は「プロレス界の特殊な話」ではなくなっています。
一方で、政治や社会保障の問題については、孝治さんの怒りが生まれるのも理解できます。
なぜなら高岩は、
・働かなかった人
・社会参加を拒否した人
ではなく、
むしろずっと働き続けた人だからです。
働いても働いても生活が厳しい。
その姿を見ると、
「真面目に生きる人が報われる社会なのか」
という疑問が出てくるのは自然なことです。
ただ私は、高岩から見える最大の問題は貧困だけではなく、
「中高年になってからの再挑戦の難しさ」
だと思います。
プロレスラーとして一流だった人でも、40代後半、50代になって収入が落ちた時に、社会が用意している受け皿は決して多くない。
これは元レスラーに限らず、
元ミュージシャン
元俳優
元自営業者
元フリーランス
にも共通する課題です。
だから高岩の物語を単なる美談として消費してしまうと、
「苦労したけど頑張った。偉いね」
で終わってしまう。
しかし社会的な視点から見れば、
「なぜこれほど実績のある人が20年近く不安定な生活を強いられたのか」
という問いのほうが重要かもしれません。
そして、西田さんが世代の近い人間として共感されるのもよく分かります。
高岩は特別なレスラーですが、彼が味わった
・将来への不安
・収入減少
・住宅ローンの重圧
・家族関係の変化
・中年以降の孤独
といったものは、実は多くの一般人も経験し得る問題です。
だから高岩竜一の人生は、プロレスファンだけのテーマではなく、「失われた時代を生きた人々の現実」を映す一つの鏡として読むことができるのだと思います。
*②に続く。