20回試して微妙だったので、次の手法に移る。FXの手法探しは「やめる条件」から決める

20回試して微妙だったので、次の手法に移る。FXの手法探しは「やめる条件」から決める

記事
マネー・副業
先週見つけた手法を、20回ほど試しました。
勝ったり負けたり。悪くはないけれど、なんとなく微妙です。
そこへタイムラインに「勝率85%の順張り手法」が流れてきます。
気づいたら新しいインジケーターを入れて、また1回目から数え直している。
私も何年もこれをやっていました。今日は、なぜこれが終わらないのかという話をしていきます。
1.手法探しが終わらないのは、意志ではなく回数の問題です
よく「軸がないからブレる」と言われます。私はこの説明があまり好きではありません。責めているだけだからです。
実際に起きているのは、もっと機械的なことだと思っています。
手法を試す回数が増えるほど、まぐれで良く見える手法が必ず1つは出てくる。それを本物だと思って乗り換える。この繰り返しになります。
つまり、探す行為そのものが「偽の当たり」を量産しているということです。
では、少しずつ解説していきます。
2.私の13営業日の記録。利益の半分が2日に集中しています
まずは自分の記録から見ていきます。
7月20日から8月7日までの13営業日、毎朝9時台のドル円だけを記録しています。合計は365.0pipsでした。
8月3日が104.4pips、7月31日が79.5pips。この2日だけで183.9pipsです。
183.9 ÷ 365.0 = 50.4%
13日のうち2日で、半分を取っていました。 残りの11日の平均は16.5pipsです。
つまり、同じ手法を同じ時間に同じ手順で回しても、成果の出方は日によってまったく違うということです。
ではもし、この手法を7月20日から7月30日までの9日間だけ試していたら、どう見えたでしょうか。合計96.6pips、1日あたり10.7pipsです。
たぶん「微妙だな」と思って、やめていました。
私の記録なので母数は小さいです。ただ、短く試してやめる判断が、どれだけ運に左右されるかは分かってもらえると思います。
3.手法を7個試すだけで、実力ゼロでも「当たり」が1本出ます
ここからは海外の研究で裏づけていきます。
アメリカの数学者ベイリー氏を中心とした研究チームが、この問題を数式で示しました。数学の学会誌に載った論文になります。
シャープレシオという指標があります。リターンをリスクの大きさで割った数字で、1を超えると一般に優秀とされます。
この研究によると、実力がゼロの手法でも、7個の設定を試せば、2年間のバックテストでシャープレシオ1の手法が1つは出てくるそうです。そして実際の相場に持ち出すと、成績はゼロに戻ります。
5年分のデータでも、試してよいのは45個まで。7個です。今月試したインジケーターの数を、少し思い出してみてください。
もう1つあります。アメリカの研究チーム、サリバン氏らは、テクニカルルールを7,846本つくって100年ぶんの株価指数で検証しました。
いちばん成績の良かったルールは、後半10年でも年14.4%のリターンを出しています。単独で統計処理すると、まぐれである確率は0.4%でした。
ところが「7,846本の中から1本を選んだ」ことを計算に入れると、その確率は34.1%に跳ね上がります。
成績は1ミリも変わっていません。変わったのは、試した本数を数に入れたかどうかだけです。
4.20回で勝率65%は、コイン投げでも起こります
では、実際の数字で説明していきます。
勝率50%、つまりコイン投げと同じ実力しかない手法を考えます。これを20回試したとき、13勝以上、つまり勝率65%になる確率は13.2%でした。
7回か8回に1回は起きる、ということです。
ここに「手法を10個試す」を掛け合わせます。
1 −(1 − 0.132)の10乗 = 75.6%
実力ゼロの手法を10個試せば、4回に3回は「勝率65%の手法」が手に入ります。 20個なら94.1%。ほぼ確実に見つかります。
ちなみに勝率50%と55%を統計的に区別するには、ざっと380回前後の試行が要ります。20回では何も分かりません。
私たちは20回で判断して次へ行っています。ここが根っこだと思っています。
5.昔勝てた手法は、嘘ではなく劣化しています
「昔は勝てた手法」という言い方があります。これ、けっこう正確な表現でした。
アメリカのセントルイス連邦準備銀行の研究者ニーリー氏らの研究チームが、為替のテクニカルルールを長期で追いかけています。分かったのは次の2点です。
    1. 1970年代と80年代の超過収益は本物だった。データをこねくり回した結果ではない
    2. その儲けは、1990年代の初めから半ばにかけて消えた
つまり、教えている人が嘘をついているわけではないということです。勝っていた時期は実在した。ただ、同じことをやる人が増えて旨みがなくなった。
野球で例えるなら、カーブを打てる打者が増えたら投手がカーブを投げなくなるのと同じです。打ち方の教科書が間違っているわけではありません。
もう1つ、耳の痛い研究があります。アメリカの研究チーム、セル氏らが9年ぶんの個人投資家の記録を追いました。
「経験を積むと上手くなる」は本当でした。ただし中身が違います。上達して見える部分のかなりの割合が、下手な人が途中で辞めたことによる見かけの改善だったのです。
生き残った人の記録だけを見ていると、上達のスピードを大きく見誤ります。SNSで見えている成功例も、この構造の上にあります。
6.検証に「終わり」を作る3つの条件
私がやっているのは、手法を選ぶ基準ではなく、やめる条件を先に紙に書くことです。
    1. 回数を先に決める  「100回やる」と決めて、そこに届くまでは評価しません。20回で良くても悪くても、途中で判断しないようにしています。
    2. 試す本数を数える  新しい設定を1つ試すたびに、正の字を書いています。5本目あたりで、自分が何を探しているのか分からなくなっていることに気付けます。
    3. 撤退ラインを数字で書く  「100回終えて期待値がマイナスなら捨てる」と決めておきます。ここを決めないと、負けている手法を延々と改造し続けることになります。
3つとも、始める前にしか決められないのが大事なところです。含み損を抱えてから決めたルールは、必ず自分に都合よく歪みます。
まずは1つでOKです。次に試す手法から、回数だけでも先に決めてみてください。
7.私の負けパターン
最後に、私がやってしまった手法探しの負けパターンをお伝えします。
    1. 15回目くらいで手法を「改良」する  連敗すると条件を1つ足したくなります。やると回数がリセットされるので、永遠に検証が終わりません。
    2. 検証記録を付けずに「感覚では勝ってた」で判断する  これがいちばん多かったです。記録がないと、都合のいい回だけ覚えています。
    3. 検証中に別の手法の動画を見る  見た瞬間に、今やっている検証がつまらなく感じます。検証期間中は情報を入れないようにしています。
回数を先に決める。これが大事だと改めて気付きました。
8.まとめ
覚えて帰ってほしいのは、次の3行です。
    1. 手法を7個試すだけで、実力ゼロでも「当たり」が1本出てくる
    2. 20回で勝率65%は、コイン投げでも7回に1回起こる
    3. 上手くなったように見える人の記録には、辞めた人が入っていない
今日やることは一つだけです。
次に試す手法の「回数」と「やめる条件」を、始める前にメモへ書いてください。それだけで、探し続ける構造からは一歩抜けられます。
以上が、手法探しが終わらない理由になります。ここまでご覧いただき、誠にありがとうございました。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す