「ちょっとした一言が、ずっと頭から離れない」
「相手の表情を見て、自分は嫌われたのかもしれないと思ってしまう」
「一度失敗すると、また失敗する気がして不安になる」
こんな経験はありませんか?
周りの人は気にしていないように見えるのに、自分だけが何度も考えてしまう。
頭では「考えすぎだ」とわかっていても、なかなか気持ちを切り替えられない。
もしかすると、そこには自分でも気づいていない「考え方のクセ」が関係しているかもしれません。
今回は、私たちが無意識に繰り返している思考パターンについて、一緒に考えてみたいと思います。
1.考え方のクセとは?
私たちは毎日、たくさんの出来事を経験しています。
その一つひとつについて、意識して考えているわけではありません。
過去の経験や身につけてきた価値観などをもとに、無意識に物事を判断していることがあります。
例えば、友人にメッセージを送ったのに、なかなか返事が来なかったとします。
そのとき、あなたはどう考えますか?
Aさんは、
「忙しいのかな。時間があるときに返事が来るだろう」
と考えます。
一方、Bさんは、
「何か気に障ることを言ったかな?」
「もしかして、嫌われたのかな?」
と考え、不安になってしまいます。
同じ出来事でも、受け取り方によって気持ちは変わります。
もちろん、相手の気持ちや状況は、この段階ではわかりません。
それでも、私たちは無意識に意味づけをしてしまうことがあるのです。
こうした繰り返しやすい考え方のパターンを、ここでは「考え方のクセ」と呼びます。
考え方のクセ自体が悪いわけではありません。
ただ、そのクセによって自分が苦しくなっている場合には、少し立ち止まってみることが大切です。
2.自分を苦しめやすい3つの考え方
ここでは、日常生活で起こりやすい思考パターンを3つ紹介します。
① 物事を悪い方向に考えてしまう
例えば、職場で上司の表情がいつもより険しかったとします。
すると、
「自分が何か失敗したのかな?」
「怒っているのは、自分のせいかもしれない」
と考えてしまいます。
しかし、上司が疲れていた可能性もありますし、別の問題を抱えていたのかもしれません。
まだわからないことまで、悪い方向に結びつけてしまうと、不安が大きくなってしまいます。
② 一度の失敗ですべてを判断してしまう
仕事で一つミスをしたとき、
「自分は仕事ができない人間だ」
「何をやってもうまくいかない」
と思ってしまうことはありませんか?
一つの失敗が、自分のすべてを否定する理由になってしまうのです。
でも、失敗したことと、仕事ができない人間であることは同じではありません。
うまくできなかったことがあったとしても、できていることや、これから学べることもあるはずです。
③ 相手の気持ちを決めつけてしまう
相手からの返事がそっけなかったとき、
「自分のことが嫌いなんだ」
「きっと迷惑に思われている」
と考えてしまうことがあります。
しかし、相手が実際にどう思っているのかは、本人にしかわからない部分があります。
自分の想像を事実だと思い込むと、必要以上に傷ついたり、相手を避けたりすることにつながるかもしれません。
こうした考え方に気づくことが、悩みを整理する第一歩になります。
3.なぜ、考え方のクセが身につくのか?
考え方のクセには、過去の経験や育ってきた環境、現在の人間関係など、さまざまな要因が関係することがあります。
例えば、子どもの頃に失敗を強く責められることが多かった人は、
「失敗してはいけない」
「間違えると怒られる」
と考えるようになるかもしれません。
その結果、大人になってからも失敗を必要以上に恐れたり、人から注意されることに強い不安を感じたりすることがあります。
また、過去に人間関係で傷ついた経験があると、相手の表情や言葉に敏感になることもあります。
ただし、同じ経験をしても、身につく考え方は人それぞれです。
そして、今の悩みがすべて過去の経験から生まれているわけでもありません。
大切なのは、自分の考え方を責めることではなく、
「自分は、どうしてこう考えることが多いのだろう?」
と、自分自身を理解しようとすることです。
4.考え方のクセに気づくための3つの質問
では、どうすれば自分の考え方のクセに気づけるのでしょうか?
何かに悩んだとき、次の3つを自分に問いかけてみてください。
質問①:実際に起きたことは何だろう?
例えば、「上司から仕事の確認を頼まれた」ということが事実です。
「自分は仕事ができないと思われている」というのは、自分の解釈かもしれません。
事実と解釈を分けてみましょう。
質問②:自分は何を考え、何を感じているのだろう?
「失敗したと思われるのが怖い」
「嫌われるのが不安」
自分の考えと感情に目を向けてみます。
質問③:ほかの見方はできないだろうか?
「確認を頼まれたのは、ミスを防ぐためかもしれない」
「相手は、私を否定したかったわけではないのかもしれない」
無理に前向きな答えを出す必要はありません。
ほかの可能性も考えてみることで、今までとは違った見方ができることがあります。
なお、実際に不適切な言動や職場の問題がある場合には、自分の受け取り方だけを変えようとする必要はありません。状況そのものを見直すことも大切です。
5.考え方を変える前に、まず気づくこと
私たちは、自分の考え方を変えようとすると、
「もっとポジティブにならなければ」
「こんなことで悩んではいけない」
と、自分に言い聞かせてしまうことがあります。
しかし、無理に考え方を変えようとすると、かえって自分を追い込んでしまうこともあります。
まずは、
「自分はこういうとき、不安になりやすいんだな」
「相手の反応を悪い方向に考えてしまうことがあるんだな」
と気づくだけでも、一歩前進です。
自分の考え方のクセを知ることは、自分を否定するためではありません。
自分がどんなときに苦しくなり、どんなことを大切にしているのかを理解するためです。
そして、自分の考え方に気づくことができれば、これまで無意識にしていた反応に対して、別の選択肢を持てるようになるかもしれません。
最後に
悩んでいるとき、私たちは目の前の問題を何とか解決しようとします。
もちろん、それも大切なことです。
でも、ときには問題そのものだけでなく、
「自分は、なぜこんなに不安になるのだろう?」
「なぜ、いつも同じように考えてしまうのだろう?」
と、自分の心に目を向けてみることも大切です。
自分の考え方のクセに気づくことは、自分を知るための一つのきっかけになります。
すぐに変わらなくても大丈夫です。
焦らず、自分の気持ちを理解することから始めてみませんか?
あなたには、つい繰り返してしまう考え方のクセはありますか?
そのクセに気づくことが、新しい自分に出会う第一歩になるかもしれません。
次回は「本当の気持ちに気づいていますか?」というテーマで、怒りや不安の奥にある気持ちについて考えていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。