富士山を眺めながら、東京のてっぺんへ。 ― 百名山・雲取山は、石尾根がすべてを語っていた ―

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コラム
「今日は頂上までは無理かもな…」
そんな弱気な予感を抱えながら、私は留浦(とずら)駐車場をあとにしました。
出発時刻は午前9時。登山としては遅めのスタート。

でも、この日――
雲取山は、やさしくて、力強い山でした。

■ 登山口までの道で“先客”に出会う
駐車場から登山口までは徒歩で約40分。
車道沿いを歩く道のりですが、ここにも“冒険”がありました。

ふと前を見ると、野生のサルが7〜8頭、のんびりと道を横切っていたのです。
逃げる様子もなく、人間をチラリと見てはまた草をついばむ彼ら。
どうやらこの辺では“常連さん”のようです。

「いよいよ山に入るんだな」
そんなスイッチが自然と入る、ちょっとした非日常の始まりでした。

■ 片道12km。思ったよりも、足が進む。
今回のルートは、七ツ石山を経由せず、留浦から雲取山山頂へ一直線ルート(片道約12km)。
往復で24kmと聞くとハードそうですが、
実際は道も整っていて、急登や足場の悪さもなく、とても歩きやすいコースでした。

自然とペースも安定し、「これはいけるかもしれない」と自信が芽生えてきます。

■ 石尾根で、富士山と出会う。
中盤に差しかかるころ、視界が一気に開ける場所があります。
そこが、この登山のハイライト、石尾根(いしおね)。

風が抜け、空が広がり、そして――
くっきりと姿を現した富士山。

あの瞬間の感動は、言葉にしきれません。
ただ静かに、そこに立ち尽くし、「ああ、来てよかった」と深く実感しました。

■ 東京の最高地点に立つ
そしてついに、12時30分、雲取山の頂上へ到着。
標高2,017m。東京・埼玉・山梨の県境にまたがるこの場所は、どこか静かで、神聖。

人もまばらで、風の音だけが耳に残る。
「東京に、こんな場所があったなんて」
そんな驚きと感謝が、自然と湧いてきました。

■ 歩数は45,000歩。なのに軽やか。
下山は13時スタート。駐車場には16時20分に無事帰着。
この日の歩数は、なんと約45,000歩。

数字だけ見るとかなりの運動量ですが、
不思議と「疲れた」より「楽しかった」のほうが大きい。
それだけ、景色にも道にも癒やされていたんだと思います。

■ 雲取山は、“尾根の美しさ”で語る山。
今回の登山をひとことで言えば、「石尾根に尽きる」。
尾根から見えた富士山、吹き抜ける風、空の青――
すべてが静かに、確かに心に残るものでした。

登山初心者でも安心して登れ、
それでいて“本物の山”の味わいをしっかり感じられる。
それが、雲取山の魅力です。

■ サルと富士山と東京のてっぺんと。
野生のサルに迎えられて始まり、
富士山に見守られて登頂し、
45,000歩かけて無事に戻ってくる。

この24kmは、ただの移動距離ではなく、心を整える時間でした。

東京から行ける、“ごほうび登山”。
ぜひ一度、体験してみてください。
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