安心・安全の上に、すべてがある
安心・安全。
それは、あるときには何も感じず、失ったときにはじめて気づくものです。
地震が起きてから耐震強度に関心を持つように、トラブルが起きてから初めて「安心ってありがたかったな」と思う人も多いでしょう。
でも、安心・安全があるからこそ、人は新しい挑戦ができる。創造的な仕事に取り組める。心を開いて話し合える。
つまり、「安心・安全」は、すべての発展的な活動の“土台”なのです。
「心理的安全性」ってどういうこと?
では、人と人とのコミュニケーションにおける「安心・安全」とは、どんな状態なのでしょうか?
私はそれを、「伝える:受け止める=50:50」のバランスが取れている状態だと考えています。
たとえば、「伝える:受け止める=80:20」になってしまうと、どうなるでしょう?
伝える側が一方的に話し、受け止める側が聞くばかりの状態では、相手の本音は見えてきません。
「どうせ言っても分かってくれない」と感じてしまえば、人はもう伝えることをやめてしまいます。
逆に、「伝える:受け止める=20:80」の状態でも問題があります。
これは営業の場では「傾聴が大事」とされ、成約という成果を見越して意識的に行われる場合がありますが、日常の人間関係では、受け止める側のストレスが蓄積されてしまいます。
心の中では「本当は違うと思うんだけどな…」と感じながらも、それを飲み込んでしまう。
きっと、そのモヤモヤは表情にもにじみ出ているはずです。
お互いの“努力”で成り立つ安心・安全
では、どうすれば「伝える:受け止める=50:50」に近づけるのでしょうか?
「話す方が正しい」「聞く方が大事」という一方的な価値観ではなく、両者がそれぞれ努力することが大切です。
まずは、自分のタイプを知ることから始めてみてください。
あなたは普段、話す方が得意ですか? それとも、聞く方が得意ですか?
それが分かったら、反対側の努力を意識してみましょう。
話す側の努力
伝え方の工夫:受容 → 承認 → 事実 → 行動 → 激励
声のトーン:信頼感を与える話し方
表情:思考のクセが表情に出る。自分を振り返る
聞く側の努力
受容:否定せずにまず受け入れる
承認:「そう思ったんだね」と気持ちを認める
傾聴:話の中にある“本音”を探ろうとする姿勢
どちらが上、下ではありません。
コミュニケーションの安心・安全は、一方の努力では成立しないのです。
自分の“現在地”を知ることから始めよう
まずは、自分がどんな傾向にあるのかを知ること。
それが、安心・安全な関係づくりの第一歩です。
伝えることに偏っているのか、受け止めすぎているのか。
その「ゆらぎ」に気づくことが、あなたのコミュニケーション力を一段深めてくれるでしょう。