「突然うさぎが倒れてバタバタした」
「体が硬直してひっくり返った」
「急に横になって小刻みに震えている」
うさぎと暮らしている飼い主さんにとって、「発作」は非常に衝撃的な症状です。
実際に見ても、
発作かわからない
パニックになってしまった
すぐにもとに戻ってきたので様子を見ていた
というケースも少なくありません。
しかし、うさぎの発作は一時的な異常ではなく、神経疾患や全身疾患の兆候であることがございます。
今回は、エキゾチックアニマル診療に15年以上携わる獣医師の立場から、
うさぎの発作とは何か
考えられる原因
危険な症状
動物病院で行う検査
自宅での対応
について、飼い主さん向けにわかりやすく解説します。
うさぎの「発作」とは?
発作とは、脳や神経の異常によって起こる突然の症状の総称です。
代表的なのは、
意識障害
突然倒れる
手足をバタつかせる
硬直する
うさぎの場合は症状がわかりにくいこともあります。
また、実際には発作ではなく、
強い痛み
前庭疾患(斜頸)
低血糖
極度の恐怖反応
など「発作のように見える」ケースもあります。
そのため、動画撮影ができれば診断に非常に役立ちます。
うさぎの発作が多い原因
① エンセファリトゾーン症
うさぎの神経症状で非常に重要なのが、エンセファリトゾーン症です。
Encephalitozon cuniculi という微細胞子虫感染によって、
斜頸
眼振
麻痺
発作
ふらつき
などの神経症状を起こします。
特に、
首が傾く
ぐるぐる旋回する
バランスを失う
のような症状がある場合には強く疑います。
ただし、抗体陽性=発症ではないため、症状や検査結果を総合的に判断する必要があります。
② 低血糖・全身状態悪化
食欲不振が続いているうさぎでは、低血糖や代謝異常によって発作のような症状が起きます。
うさぎは常に食べていないと胃腸の動きが止まってしまいます。
消化管うっ滞や重度ストレスによって全身状態が著しく悪化し、神経症状につながることがあります。
③中耳炎・内耳炎
うさぎは中耳炎が非常に多い動物です。
炎症が内耳や神経へ波及すると、
首が傾く
目が揺れる
バランスを失う
転がる
のような症状が現れます。
飼い主さんからは「発作を起こした」と表現されることも多いですが、実際には前庭障害であるケースもあります。
④脳疾患・腫瘍
高齢うさぎでは、
脳腫瘍
脳炎
血管障害
などもあります。
ただし、MRIなど高度検査が必要になる場合もあり、診断が難しいこともあります。
⑤強いストレスや恐怖
うさぎはとてもストレスに弱い動物です。
大きな音や急な環境変化、無理な保定などでパニック状態になり、
硬直
過呼吸
一時的な虚脱
が起きます。
実はもともと衰弱しているうさぎでは、ストレスが引き金になるケースもあります。
こんな症状の時はすぐに受診しましょう
意識混濁
意識が戻らない
転倒したまま起き上がれない
呼吸が荒い
首が大きく傾いている
食欲がない
目が左右や上下に揺れる
発作後にぐったりしている
うさぎは体調不良を隠す動物であり、症状が出たときすでに重症化していることもあります。
発作が起きた時に自宅でやるべきこと
しっかり安全確保
発作中は無理に抱き上げず、
落下防止
周囲の物をどける
静かな環境づくり
を優先してください。
暴れると、骨折や脊椎損傷につながる危険があります。
動画を撮影する
可能であればスマートフォンで動画撮影をしてください。
発作は診察室では再現されないことが多く、動画は診断の大きな助けになります。
無理に口へ何か入れない
人では「舌を噛まないように」と言われることがありますが、うさぎでは危険です。
口に物を入れることで誤嚥や外傷につながる可能性があります。
また、意識がないことが多いため、本人の意思を超えた力でかみつかれ、
飼い主さんが大けがする危険性もあります。
動物病院で行う検査
うさぎの発作では、原因を探すためにさまざまな検査を行います。
主な検査
神経学的検査
血液検査
レントゲン検査
CT検査
MRI検査
エンセファリトゾーン抗体検査
特にエキゾチックアニマルでは、飼育環境や食欲変化の情報が重要な診断材料になります。
小さく症状を隠す動物であるため、原因特定に至らないことも多いのが現状です。
治療について
原因によって治療は大きく異なります。
治療例
抗けいれん薬
駆虫薬
抗菌薬
消炎治療
強制給餌
輸液
酸素管理
などを組み合わせます。
うさぎは犬猫よりも状態悪化が早いことがあり、早期治療が非常に重要です。
獣医師から飼い主さんへ
うさぎの発作は、「一瞬だから大丈夫」と軽視できない症状です。
特に、
食欲低下を伴う
斜頸がある
バランス異常がある
その場合には、神経疾患が隠れている可能性があります。
うさぎはとても繊細で、体調不良を隠す動物です。
だからこそ、「少し変かも」という小さな違和感が大切になります。
突然の発作や異常行動が見られた場合は、慌てず安全を確保し、とにかく早くエキゾチックアニマル対応の動物病院へご相談ください。
大切なうさぎの命を守るためには、早期発見と早期治療が何より重要です。