FXで勝てるようになるために、「もっと勉強しなければ」
と考えたことがある方は多いと思います。
テクニカル分析を勉強する。
環境認識を勉強する。
新しいインジケーターを覚える。
プライスアクションを学ぶ。
資金管理について勉強する。
もちろん、知識を増やすこと自体が悪いわけではありません。
特にFXを始めたばかりの頃は、必要な知識を身につけることは重要です。
しかし、ある程度勉強した人の場合、「知識を増やすことが、逆にトレードを難しくしている」ことがあります。
今回は、なぜそんなことが起こるのか、「再現性」という視点から考えてみたいと思います。
知識が増えれば、判断材料も増える
例えば、最初は移動平均線だけを使っていたとします。
判断することは比較的シンプルです。
しかし、勉強していくうちに、
・水平線
・トレンドライン
・ダウ理論
・MACD
・RSI
・フィボナッチ
・ローソク足
・マルチタイムフレーム分析
など、さまざまな知識が増えていきます。
すると、一つのチャートを見ても、
「移動平均線では買い」
「でもRSIでは買われすぎ」
「4時間足では上昇トレンド」
「1時間足では下降している」
「水平線では反発しそう」
「ローソク足を見ると少し弱い」
というように、いくつもの解釈ができるようになります。
知識が増えたことで、以前より詳しくチャートを見られるようになった。
これは間違いありません。
しかし同時に、「結局、買えばいいのか、売ればいいのか、見送ればいいのか分からない」という状態になることがあります。
「分析できること」と「判断できること」は違う
私はここを分けて考えることが大切だと思っています。
チャートについて詳しく説明できることと、
実際の相場で一貫した判断ができることは同じではありません。
例えば、ある人が10種類の分析方法を知っていたとします。
それぞれについて正しい知識を持っていたとしても、「どの情報を優先するのか」が決まっていなければ、実際のトレードでは迷います。
ある日は4時間足を優先する。
別の日には1時間足を優先する。
ある日は水平線を重視する。
別の日にはローソク足を重視する。
すると、本人としては同じ手法を使っているつもりでも、
毎回違う基準でトレードしている
ということが起こります。
知識が多いほど「入る理由」を作れてしまう
これは、ある程度FXを勉強した人ほど注意した方がよい部分だと思います。
知識が増えると、エントリーする理由を見つける能力も高くなります。
例えば、本来なら見送る場面でも、
「ここには水平線がある」
「フィボナッチが重なっている」
「短期足でダイバージェンスが出ている」
「ローソク足の形が良い」
など、探せば何かしらの根拠を見つけることができます。
つまり、知識が増えることで、「自分がエントリーしたいという判断を、後から正当化することもできてしまう」ということです。
これは非常に厄介です。
本人としては感情でトレードしているつもりはありません。
むしろ、「ちゃんと根拠を持ってエントリーした」と思っています。
しかし、毎回使っている根拠が違えば、再現性のあるトレードとは言いにくくなります。
負けるたびに知識を追加すると、さらに複雑になる
もう一つよくあるのが、負けた原因を「知識不足」だと考えてしまうことです。
例えば、ある手法で負けたとします。
そこで、「もっと環境認識を勉強しよう」と新しい分析方法を追加する。
また負ける。
今度は、「ローソク足の知識が足りないのかもしれない」
とプライスアクションを追加する。
さらに、「フィボナッチも使った方が精度が上がるかもしれない」と追加する。
こうして少しずつ条件が増えていきます。
その結果、最初は3つの条件で判断できていたものが、いつの間にか10個以上の要素を考えなければエントリーできなくなっている。
そして、判断するたびに迷うようになります。
これは「知識が足りない」のとは反対の問題です。
知識が多すぎて、判断の仕組みが複雑になりすぎているのです。
勝っているときの自分は、意外とシンプルかもしれない
ここで一度、自分の勝ちトレードを振り返ってみると面白いことがあります。
例えば10回のトレードを並べてみたところ、
成績が良かったトレードには、
・上位足の方向が明確だった
・重要な水平線付近だった
・決まったローソク足の形が出た
という3つの共通点しかなかった。
一方、負けたトレードでは「あれも根拠になる」、「これも根拠になる」と判断材料を増やしていた。
このようなこともあり得ます。
もしそうなら、改善方法は、さらに新しい分析方法を勉強することではありません。
むしろ、自分が再現しやすい条件だけを残すことかもしれません。
「何を見るか」より「何を見ないか」
FXを勉強していると、「何を見れば勝てるのか」を考えることが多くなります。
しかし、ある程度知識が増えた段階では、「何を見ないのか」を決めることも重要だと思っています。
例えば、
「環境認識は日足と4時間足だけ」
「エントリー判断では水平線とローソク足だけを見る」
「RSIは判断材料に使わない」
「条件が3つそろわなければ見送る」
というように、自分が使う情報を限定します。
これは知識を捨てるという意味ではありません。
知識として知っていても、実際のトレード判断には使わないという選択です。
むしろ、たくさん知っているからこそ、「自分には何が必要なのか」を選べるようになります。
トレードの再現性は「足し算」だけでは作れない
私は、トレードを改善するとき、「何を追加すればいいか」だけでなく、
「何を減らせばいいか」という視点も大切だと考えています。
・判断材料を減らす
・通貨ペアを減らす
・トレードする時間帯を絞る
・エントリーパターンを限定する
・苦手な相場ではトレードしない
こうして選択肢を減らすことで、同じような状況では、同じような判断をしやすくなります。
これは再現性を高める一つの方法です。
「もっと勉強する」の前に、一度立ち止まってみる
FXで結果が安定しないと、「まだ自分には何か足りない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、ある程度勉強してきた方の場合、問題は知識不足ではなく、持っている知識を整理できていないことにあるかもしれません。
そんなときは、新しい手法や分析方法を探す前に、
・自分は何を見てエントリーしているのか
・毎回同じ基準で判断できているか
・使っていない知識まで判断に持ち込んでいないか
・勝っているトレードにはどんな共通点があるか
・本当に必要な判断材料はいくつなのか
を一度振り返ってみるとよいと思います。
FXでは、知識が多い人が必ず勝つわけではありません。
大切なのは、持っている知識の中から必要なものを選び、自分が繰り返し実行できる形にすること。
私はこれも、「再現性を作る」ということの一つだと考えています。
現在、複数の実際のトレードを確認し、判断の癖や改善ポイントを分析する「トレード添削」と、環境認識や判断基準を整理して、その人に合ったトレードの形を作っていく「個別コンサル」を提供しています。
「いろいろ勉強してきたのに、逆に何を基準にトレードすればいいのか分からなくなった」
という方は、新しい知識を追加する前に、一度、今持っているものを整理してみるのも一つの方法だと思います。