FXのトレードを振り返るとき、多くの人が最初に確認するのは「負けたトレード」ではないでしょうか。
・なぜ負けたのか
・エントリーが早かったのか
・損切りが近すぎたのか
・環境認識を間違えたのか
もちろん、負けトレードを分析することは重要です。
ただ、トレードの再現性を高めたいのであれば、もう一つ見ておきたいものがあります。
それが、「実際にはエントリーしなかった場面」です。
今回は、なぜ「見送ったトレード」を振り返ることが重要なのかについて書いてみたいと思います。
「負けた理由」だけでは、自分の得意な場面は分からない
負けトレードを分析すると、「ここは入るのが早かった」とか、「この環境ではエントリーしない方がよかった」といったことが分かります。
しかし、それだけでは、「自分はどんな場面ならトレードしやすいのか」までは、十分に分からないことがあります。
例えば、10回のトレードを振り返って、
・トレンドが明確な場面では比較的うまくいく
・レンジでは判断がブレやすい
・ 値動きが急になった場面ではエントリーが遅れる
・ 上位足と下位足の方向が一致しているときは判断しやすい
という傾向があったとします。
ここまでは、実際にエントリーしたトレードからもある程度分かります。
しかし、「本当は得意な場面だったのに、自信がなくて見送った」というケースがあったらどうでしょうか。
そこには、別の情報が含まれています。
見送ったトレードには「自分の判断」が残っている
見送ったトレードというと、「何もしていないから、分析する意味がない」と思われるかもしれません。
しかし、実際にはそうではありません。
見送ったということは、その時点で何らかの判断をしています。
例えば、
・条件が一つ足りなかったから見送った
・環境認識に自信が持てなかった
・エントリーが遅れたので見送った
・仕事中だったので見送った
・値動きが急だったので怖くて入れなかった
などです。
そして、その後チャートがどうなったのかを確認します。
すると、「自分はなぜ見送ったのか」と「実際にはその後どうなったのか」を比較できます。
ここに、自分のトレードを改善するヒントがあります。
「見送って正解だった」のか「見送る必要がなかった」のか
見送ったトレードを振り返るとき、単純に「その後上がったから、入ればよかった」と考えてしまうのは危険です。
例えば、エントリーを見送った後に価格が上昇したとしても、「だから自分の判断は間違いだった」とは限りません。
その時点では、
・上位足の方向が不明確だった
・エントリー条件が十分に揃っていなかった
・損切りまでの距離が大きかった
・重要な価格帯の直前だった
など、見送る合理的な理由があったかもしれません。
結果だけを見るのではなく、「その時点の情報だけで判断したら、見送る基準は妥当だったのか」を見ることが大切です。
逆に、「条件は十分に揃っていたのに、なんとなく怖くて見送った」のであれば、別の問題が見えてきます。
「見送りすぎ」も再現性を下げる
トレードでは、「無駄なエントリーを減らそう」という話がよくあります。
これは非常に重要です。
ただし、見送れば見送るほど良いわけでもありません。
例えば、本来なら自分の得意な条件が揃っているにもかかわらず、
・まだ不安だから
・もう少し確認してから
・前回負けたから
という理由で毎回見送っていたら、今度はエントリーの機会を逃してしまいます。
つまり、エントリーしすぎることだけが問題なのではありません。
必要以上に見送りすぎることも、自分のトレードを崩す原因になります。
重要なのは、「どこで入るか」だけではなく、「どこなら入らないのか」
そして、「どこなら安心して入れるのか」まで整理することです。
見送ったトレードを記録すると、自分の「得意な環境」が見えてくる
個人的には、ここが見送ったトレードを記録する大きなメリットだと思っています。
例えば、見送った場面を20回ほど並べてみたとします。
すると、
・このパターンは見送っていることが多い
・この時間帯は判断できていない
・この通貨ペアでは自信が持てない
・上位足と下位足の方向が揃っていないと見送る傾向がある
など、いろいろなことが見えてきます。
さらに、その後の値動きも確認します。
すると、「見送っている場面の多くは、実際にトレードしなくてよかった」ということもあれば、「実は、自分が得意な条件まで見送ってしまっている」ということもあります。
この違いはかなり重要です。
「勝てる場面」ではなく「自分が判断しやすい場面」を探す
FXでは、「どこなら勝てるのか?」ということを考えがちです。
しかし、個人的には、「どこなら自分が一貫した判断をしやすいのか?」という視点も重要だと思っています。
例えば、ある人にとっては、
・トレンドが明確
・上位足と下位足の方向が一致
・ 押し目・戻りが明確
・ エントリー条件がシンプル
という環境が判断しやすいかもしれません。
一方で、
・レンジの中
・ 急激な値動き
・複数の時間足で方向が違う
・重要な価格帯の近く
では判断が難しくなるかもしれません。
この場合、「苦手な環境でも判断できるようになる」ことだけが改善ではありません。
そもそも苦手な環境をトレード対象から外すという選択肢もあります。
これは逃げではありません。
自分が再現しやすい条件に絞るという、トレード設計の一つです。
「見送り」を記録すると、ルールの改善にもつながる
もう一つ重要なのが、ルールが本当に機能する形になっているかを確認できることです。
例えば、「トレンドが弱いので見送った」という記録が何度も出てくるのであれば、そもそも「トレンドが弱い」とは何なのかを明確にした方がいいかもしれません。
「値動きが荒いから見送った」のであれば、どの程度の値動きなら「荒い」と判断するのか。
「なんとなく嫌な感じがした」のであれば、その「嫌な感じ」の正体は何なのか。
実は、曖昧なルールを、実際に判断できるルールへ変えていく作業にもなります。
これは、再現性を高めるうえで非常に重要です。
「入らなかったこと」を失敗にしない
見送った後に価格が大きく動くと、「入っておけばよかった」と思ってしまいます。
しかし、すべての値動きを取る必要はありません。
FXでは、「取れなかった利益」より「自分のルールを守れたか」を見ることも大切です。
見送るべき場面で見送れたのであれば、その後に価格が大きく動いたとしても、それは必ずしも失敗ではありません。
反対に、「本当は条件が揃っていたのに、感情的に怖くなって見送った」のであれば、その原因を振り返る価値があります。
つまり、「見送り=正解」でも、「見送り=失敗」でもありません。
その判断が、自分の基準に沿ったものだったのか。
ここを見ることが大切です。
まずは「見送ったトレード」を5回だけ記録してみる
もし普段、負けトレードだけを振り返っているのであれば、一度、見送った場面を5回だけ記録してみるのもおすすめです。
例えば、
・ なぜ見送ったのか
・ そのときの環境はどうだったか
・本来のエントリー条件はどこまで揃っていたか
・その後、価格はどう動いたか
・今振り返っても見送りは妥当だったか
この5つを簡単に記録してみます。
そして5回を並べてみる。
1回ずつ見ていると分からなかったことが、複数並べることで見えてくるかもしれません。
「自分はこの環境を避けている」
「この条件なら比較的自信を持って判断できる」
「実は必要以上に見送っている」
といった傾向です。
これは、勝ちトレードや負けトレードだけでは見えにくい部分です。
トレードの再現性は「入る技術」だけでは作れない
トレードの改善というと、「もっと良いエントリーポイントを探す」とか、「勝率の高い手法を探す」という方向に意識が向きやすいです。
しかし、実際には、いつ入るかだけでなく、いつ入らないかを決めることも重要です。
さらに、自分がどんな環境なら判断しやすいのかを知ることも重要です。
そのためには、負けたトレードだけでなく、
「見送ったトレード」も自分のデータとして残しておく。
そうすると、自分のトレードが少しずつ客観的に見えてきます。
最終的には、「何となくこの場面は嫌だ」ではなく、「この条件だから見送る」という判断に変わっていきます。
裁量をなくすことが目的ではありません。
裁量を使う範囲を整理し、自分が繰り返し判断できる状態を作ることが、トレードの再現性を高める一つの方法だと考えています。
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最後に
自分のトレードを改善しようとすると、どうしても「負けた理由」に目が向きます。
もちろん、それは大切です。
ただ、一度視点を変えて、「自分は、どんな場面を見送っているのか?」を見てみると、今まで気づかなかった自分の判断基準や、得意・不得意な環境が見えてくることがあります。
トレードは、エントリーした場面だけでできているわけではありません。
「入らない」という判断も含めて、一つのトレードです。
もし自分のトレードを振り返っても、何を改善すればいいのか分からない場合は、複数のトレードを並べて見ることで、単発の勝ち負けでは見えない「癖」が見えてくることがあります。
私のトレード添削でも、単純に「このエントリーは正解・不正解」と判断するのではなく、複数のトレードから共通する傾向や判断のブレを整理することを重視しています。