ちょっと横道の話題として現物給与の話
時々話題になる、コンビニやスーパーの売れ残り弁当問題。「もったいない!」と思う人も多いでしょう。廃棄するくらいなら、従業員が持って帰ればいいのに……。でも、これが許されない理由はいくつかあります。
一番よく言われるのは「食中毒の危険」ですね。確かに、販売期限が切れた食品を持ち帰らせて、もし食中毒が発生したら会社の責任問題になりかねません。しかし、それだけではありません。実は「現物給与」として課税対象になる可能性があるからです。
そもそも現物給与とは?
現物給与(げんぶつきゅうよ)とは、会社が従業員に対して現金ではなく、モノやサービスで給与を支払うことを指します。たとえば、
会社が従業員に無料で社宅を提供する
会社が無料で食事を提供する
会社が従業員に自社の商品をタダで配る
これらは「給与の一部」とみなされ、所得税や社会保険料の対象になるのです。
では、売れ残り弁当を持ち帰るのも現物給与になり得るのでしょうか?
売れ残り弁当が「給与」に?
例えば、コンビニのオーナーが「どうせ捨てる弁当だから、自由に持ち帰っていいよ」と言った場合。これは一見、好意であり、廃棄物を減らす良いアイデアに思えます。
しかし、税務署の視点では「従業員に対する利益供与」になり得ます。つまり、「タダで食事を提供する=給与を支払っている」と判断され、従業員はその分の税金を払わなければならない可能性があるのです。
具体的な現物給与の面白い例
現物給与には、いろいろなユニークなケースがあります。
① 牧場の牛乳
牧場で働く従業員が「うちの牛乳、飲み放題!」となった場合。これも現物給与になる可能性があります。「毎日3リットルの牛乳を飲む=実質給与が増えている」と見なされることも。
② パン屋の売れ残りパン
あるパン屋では、閉店後に売れ残ったパンを従業員に配っていました。しかし税務署の指摘により「パンを無料で提供=現物給与」とみなされ、廃棄処分にせざるを得なくなったとか。
③ 社員食堂の無料ランチ
会社によっては、社員食堂で無料ランチを提供しているところもあります。ただし、一定の条件(従業員全員に提供されることなど)を満たさないと「給与扱い」となり、課税対象になることがあります。
④ 旅館の余った布団
旅館の従業員が「古くなった布団を持ち帰る」のも、場合によっては現物給与になるとか。中古の布団でも価値があると判断されると課税対象になるのです。
現物給与を避ける方法は?
「じゃあ、どうすれば売れ残り弁当を従業員にあげられるの?」と思うかもしれません。いくつか合法的な回避策もあります。
有償で販売する
たとえば「売れ残り弁当を50円で販売する」などの形にすれば、市場価格より大幅に安くても現物給与とみなされにくくなります。
全員に公平に提供する
一部の従業員だけでなく、希望者全員に同じ条件で提供すれば、現物給与ではなく福利厚生の一環とみなされる可能性があります。
寄付する
従業員に配るのではなく、フードバンクなどに寄付することで有効活用できます。
まとめ
売れ残り弁当を「もったいないから持ち帰ってOK」とするのが難しいのは、食中毒のリスクだけでなく、現物給与として課税される可能性があるからです。
実は身の回りには、意外なものが現物給与になり得るケースがたくさんあります。牛乳、パン、ランチ、布団……一見「タダでもらって当然」と思うものでも、税務署の視点では「給与扱い」になることがあるのです。
会社のルールや税制をしっかり理解して、もったいない精神と法律のバランスを取ることが大切ですね。