「無理してない?」に、笑って頷いてしまう夜のこと

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こんばんは。
ことのはです。

「無理してない?」

そう聞かれたとき、あなたはどう答えているでしょうか。

私はたいてい、笑ってしまいます。「大丈夫ですよ」と言って、少しだけ声を明るくして。

相手は心配してくれている。だから、心配のままでは返したくない。そう思って、無事なほうの顔を先に出します。

嘘をついているわけではありません。その瞬間は、本当に大丈夫なのです。

けれど、その日の夜。

洗濯物をたたむ手が、ふっと止まる。

畳みかけのタオルを膝に乗せたまま、しばらく動けない。何を考えていたのかも、あとから思い出せない。

あれは、昼間に「大丈夫」と言った分が、遅れて戻ってきた時間だったのだと思います。

【頷いてしまう人ほど、ちゃんとやってきた人】

「無理してない?」に頷ける人は、自分の状態を見ていないわけではありません。

むしろ逆で、見えているから頷いています。

ここで本当のことを言えば、相手は困る。困らせたら、この人はきっと何かしようとしてくれる。その手間まで想像できてしまうから、先に引き受けてしまう。

気を遣っているのではなく、相手の次の動きまで見えているのです。

それは、これまで何度も人と向き合ってきた人にしか身につきません。

「弱いから言えない」ではないのです。

ちゃんとやってきたから、たまに息が切れる。

そのくらいのことなのだと、私は思っています。

【「気づいてもらえない」のではなく、「気づかせていない」】

ここから先は、少し言いにくいことを書きます。

誰にも気づかれていない気がする夜。その感覚の正体は、気づかれないことではないかもしれません。

気づかれないように、上手にやってしまっている。

笑って頷く。声を明るくする。次の話題に移す。ひとつひとつは小さな動作ですが、積み重なると、まわりからは本当に大丈夫に見えます。

だから誰も何も言わない。言われないから、余計にひとりになる。

これは、あなたが冷たくされているという話ではありません。あなたの技術が高すぎる、という話です。

【それでも、頷き方を変えなくていい】

では、正直に言えばいいのか。

そう簡単でもないと思います。

「実はしんどいです」と言える相手がいるなら、とっくに言っています。言わないのは、言える場所が今はないからで、それは今夜どうにかなるものではありません。

だから、頷き方を変える必要はありません。

かわりに、頷いたことを、自分だけは覚えておいてください。

今日、何回「大丈夫」と言ったか。

そのうち何回が、本当に大丈夫だったか。

数えなくていいのです。ただ、言ったという事実が自分の中を通っていったことだけ、通り過ぎさせずに見ておく。

それだけで、夜のひとりは少し形を変えます。

【カードの話を、ひとつだけ】

タロットに「ペンタクルの8」というカードがあります。

職人が、机に向かって同じ形のものを打ち続けている絵です。

完成した作品は壁に掛けられていて、本人はそちらを見ていません。次のひとつに手を動かしている。

このカードが告げるのは、成果ではなく、積み重ねのほうです。

そして、この絵の中に、職人を見ている人は描かれていません。

誰にも見られていない部屋で、手だけが動いている。

けれどカードは、それを「無駄な時間」とは呼びません。出ていないだけで、積まれてはいる——そう読みます。

あなたの「大丈夫」も、たぶん同じところに積まれています。

【今夜のひとつ】

眠る前に、ひとつだけ。

今日いちばん長く息を止めていたのは、どの場面だったか。

思い出せたら、そこで一度、長く吐いてみてください。

吐き終わるまでが、今日の終わりです。

周りが何と言うかは分かりません。

けれど私は、あなたが積み重ねてきたものを知っています。

誰にも気づかれなくていい。その積み重ねだけは、私が見ている。

ことのは

ひとりで抱えている気持ちを、誰にも知られずに相談したい夜は、
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