「疲れた……」
ある女性が、ぽつりとこぼした言葉です。
毎日、会社と家の往復。
会社ではいつも笑顔で、一生懸命に仕事をこなす。
誰かに何かを頼まれると、なかなか断れない。
「あなたがいてくれて助かるよ」
「頼りにしてるからね」
そんな言葉をかけられると、つい頑張ってしまう。
親からも、友達からも、同僚や上司からも。
昔から、人に頼られることは嫌いではありませんでした。
むしろ、嬉しかったのです。
自分が誰かの役に立てることが、喜びでもありました。
けれど、気がつけば、毎日くたくた。
家に帰ったら、もう寝るだけ。
明日も仕事だから、早く寝なくちゃ。
休みの日も、疲れを取るだけで終わってしまう。
いつも笑顔でいたはずなのに、その笑顔の裏側が、少しずつ曇っていくようでした。
「ちょっと休みたいな……」
でも、そんなことを言ったら、わがままだと思われる?
頼まれたことを断ったら、嫌われる?
そう考えると、また笑顔をつくってしまうのです。
■ 浄化をしたら、今度は焦り始めた
そんな自分を変えたくて、彼女は浄化を始めました。
心に積み重なったものを手放し、絡まっていた思考を少しずつ整理していく。
何度か繰り返すうちに、自分が何に苦しんでいたのか、何を抱え込みすぎていたのかが、見えるようになってきました。
ところが、不思議なことが起こります。
心が整理されるほど、今度は焦り始めたのです。
「何かしなくちゃ」
「このままじゃダメだ」
「何かを成功させなくちゃ」
せっかく気持ちが整理されたのだから、今度こそ前に進まなければ。
そう思うのに、身体も心もついてこない。
やる気があるような、ないような。
何かを始めたい気持ちはあるのに、動き出す力が出てこない。
そして、ようやく気づいたのです。
ああ、私、疲れきっていたんだ。
■ 重荷を下ろしたあとにも、必要なことがある
例えば、重い荷物を背負って、長い道のりを歩いてきた人がいるとします。
ようやく荷物を下ろせたら、きっとほっとするでしょう。
でも、荷物を下ろした瞬間に、疲れまで消えるでしょうか。
足はくたくた。
お腹もすいている。
まずは腰を下ろして、温かいものを飲んだり、食事をしたり、ゆっくり眠ったりしたいですよね。
心も、これと似ているのかもしれません。
浄化によって、抱えていた重荷を下ろす。
けれど、長い間頑張り続けてきた自分自身には、まだ休養が必要だった。
そして、これから歩いていくための力も。
重荷を下ろすことと、自分自身を養うことは、別のことだったのです。
■ 自分一人で、全部なんとかしなくてもいい
疲れたとき、私たちは食事を見直したり、ゆっくり休んだりします。
ときには栄養ドリンクを手に取ったり、体調に合わせて医師や薬剤師に相談し、漢方薬などの力を借りたりすることもあります。
自分でできることを大切にしながら、必要なときには人の手を借りる。
それは、ごく自然なことですよね。
心についても、私は同じように考えています。
自分の気持ちを整理すること。
好きなものを食べること。
心地よい時間を過ごすこと。
何もしたくない日には、何もしないこと。
そうした小さな積み重ねは、とても大切です。
でも、何もかも一人で抱え込まなくてもいい。
話を聞いてもらうことも、誰かに支えてもらうことも、自分を大切にする方法のひとつです。
今までずっと、誰かに頼られる側だった人ほど、自分が誰かを頼ることには慣れていないのかもしれませんね。
■ 再生は、もう一度頑張るためのもの?
私は、浄化の先にあるものとして「魂の再生」を大切にしています。
ただ、ここでいう再生は、昔の元気な自分に戻ることではありません。
まして、もっと頑張れる人になることでもありません。
これまで生きてきた時間も、経験も、積み重ねてきたものも、そのままでいい。
今の自分に必要な力を養い、少しずつ満たしていく。
そして、その力を、今度は自分の喜びのためにも使っていく。
それが、私の考える再生です。
誰かの期待に応えるためだけではなく、
「今日は、これが食べたいな」
「久しぶりに、あそこへ行ってみたいな」
「ちょっと、やってみようかな」
そんな気持ちが、自然に生まれてくるように。
私は、無理に元気になってほしいとは思いません。
元気にならなきゃ、前向きにならなきゃと、また自分を追い立ててしまったら、今までと同じですから。
■ 今度は、あなた自身のためにも
秋の整え鑑定室では、浄化についてお話ししてきました。
そして、冬の整え準備室では、その先にある「満たすこと」についてもお伝えしていきたいと思います。
冬の木々は、葉を落として静かに春を待ちます。
何もしていないように見えても、根は生きていて、次の季節へとつながっています。
人も、いつも何かを成し遂げていなくていい。
立ち止まる時間があってもいい。
今まで、誰かのために一生懸命頑張ってきたのなら。
これからは、あなた自身のためにも、その力を使ってほしいのです。
浄化は、背負ってきたものを下ろすこと。
再生は、これからの自分を養い、満たしていくこと。
自分の力だけでは難しいと感じるときには、誰かの手を借りたっていい。
無理に元気になる必要はありません。
ただ、今のあなたが、少しだけ前を向きたくなったとき。
その一歩を踏み出すための、小さな元気を届けられたら。
私は、そんな想いで「魂の再生」を大切にしています。
心結