これ迄に7回連載した5Sは、私の改善指導のベースであり、企業に確実且つ迅速に利益をもたらす有益な活動です。
その根拠は過去の記事をご覧頂くとして、今回はSEQDCの「C原価低減」に関して記述します。
早速ですが、ナゼ原価低減をしますか?
原価低減をしないと、どうなりますか?
経営者は「コストダウン、コストダウン」と、繰り返し発しますが、コストダウンの意義を整理してから原価低減に取り組みましょう。
尚、今回の記事は、新任リーダー、若手社員、新入社員の教育研修などに活用して頂ける内容なので、組織活性化に向けて有効に使ってください。
最初に押さえておきたいのは、「売上」「原価」「利益」の3要素です。
売上 商品を提供して得られる、会社に入って来るお金=収入
原価 商品を提供するために発生する会社が使う(出て行く)お金=支出
利益 売上と原価の差でプラスならば黒字、マイナスならば赤字という
この3要素の関係を、金額例を入れて次の3パターンで示します。
「売上¥100」=「原価¥80」 +「利益¥20」
「原価¥80」 =「売上¥100」-「利益¥20」
「利益¥20」 =「売上¥100」-「原価¥80」
企業は様々な工夫を重ねて、自社の商品を消費者に選んでもらい、買ってもらうために必要な努力します。
一方の消費者は、多くの企業及び様々な種類の中から、自分の希望に合った商品を探して、希望に合えば購入します。
ここで、消費者(商品を買う側)の心理を考えます。
消費者は同じ商品ならば、できるだけ安く買いたいと考えます。
例えば、全く同じスマホならば、買う側は自分の希望に合ったお店やサイトを探し、手間を掛けてまでも、できるだけ安く買おうとします。
一方、商品を提供する側である経営者は、できるだけ多くの利益を得ようと考えます。
利益を多く出して、それを材料費、設備費、外注費、社員の賃金、研究開発費、種々の経費などの支払いに使い、更に納税することで地域及び社会に貢献します。
両者に次の要求があることをまとめます。
消費者 「できるだけ安く買いたい」
経営者 「できるだけ利益を多くしたい」
双方の要求は、多くの方が理解できる内容だと思います。
さて、質問です。
「消費者の心理」と「経営者の考え」の双方の要求を同時に満足するために、企業はどうしたら良いでしょうか?
ヒント 経営活動には売上、原価、利益の3つの要素がありました。
そうです、原価を下げれば(安くすれば)同時に満足できます。
原価を下げることを原価低減と言い、企業活動の重要なテーマになります。
これ迄のところを、次の現状と設問を用いて確実に理解しておきましょう。
《現状》
売上100円 原価80円 利益20円
これを現状とした上で2つの設問に答えてください。
尚、「売上」という言葉がしっくり来ない場合は、「売値」と表現を変えてもOKです。但し、「売上」=「売値」とします。
《設問1》
企業側が、次の様に設定にした場合の原価はいくらになりますか。
売上95円 利益25円
企業がこの設定にした理由は、既述のとおり消費者と経営者の双方の要求に応えるためであり、売上を5円安くし、利益を5円増やしました。
《設問2》
上記の《設問1》で出した原価は、《現状》の原価に比べて、どれくらいの原価低減が必要になりますか。
(5分 考えてください)
《設問1》
答え 原価は70円
解説 前出の「原価」=「売上」−「利益」の計算式より、
売上95円−利益25円=原価70円となります。
《設問2》
答え 原価低減は10円
解説 《現状》の原価80円−《設問1》の原価70円=10円となります。
この《設問2》で算出された10円が原価低減の目標値になり、「現状の80円を70円にするためのアイディアをみんなで考えよう」となり、原価低減の活動が始まるのです。
従って、消費者と経営者の要求を同時に満足させるために、企業は原価低減に取り組みます。
また原価低減をしないと、双方の要求が満たされないことから、企業が衰退し存続できない可能性があるのです。
この原価低減をコストダウンと言い、SEQDCの「C」になります。
尚、設問に対して、正解/不正解ではなく、ここで正しく理解しておけば全員が100点満点なので、この機会に確実に押さえておいてください。
これまでに原価低減の必要性を再確認しましたが、改善活動を全員参加で進めたい、且つ継続的に実行したい場合には、多少面倒でも、今回の様な社員との丁寧な接し方を大事にしてください。
必要性を納得しておくと、主に次のような場面で効き目アリです。
・原価低減を強力に進める必要がある時
・原価低減が思った通りに進まない時
過去に掲載した、20240529版の記事「定時で年収アップ!」では、原価低減の必要性を加えたことで円滑に進みました。
また、原価低減に行き詰った時や活動が停滞気味の場面では、今回のような基本に立ち帰ることで、打開できる可能性が拡がります。
ここで、次の注意点を記しておく必要があります。
今回のケースは「競争の原理」に伴う考え方であり、「原価積み上げ方式」を想定したものではないことをご理解ください。
前者は、競争に勝てる(買ってもらえる)売上を決め、次に必要な利益を定め、最後に残った金額を原価とするので、「売上」−「利益」=「原価」で表されます。
私たちの身の周りにある多くの商品は、「競争の原理」によって3つの要素が構成されるので、「売上¥100-原価¥120=利益△¥20」と赤字になるケースもあります。(補:△はマイナスの意味です)
一方の後者は、掛かる原価を認め、そこに必要な利益を乗せた額を売上とするので、「原価」+「利益」=「売上」で表されます。
「原価積み上げ方式」は、存在価値や希少価値の高い商品、ブランド力の高い商品などで採用される場合があり、
皆様の会社でも、他社には無い画期的な商品を開発すれば(既に商品化していたら失礼をお許しください)、こちらの可能性が出てきます。
これ迄に、原価低減について記して参りましたが、最後の質問です。
皆さんは、どんなやり方で原価低減をしていますか?
どこに着眼して原価低減に着手しますか?
原価低減には、「正しい原価低減」と「間違った原価低減」があることをご存知でしょうか。
「間違った原価低減」はリスクが伴うので、
「正しい原価低減」を実行することが大変重要ですが、この続きは、次回とします。