原稿が本にならないのは、入稿という工程が残っているからだ

原稿が本にならないのは、入稿という工程が残っているからだ

記事
ビジネス・マーケティング
原稿が完成しても、本にはならない。あいだにEPUBがある。

📝 書き上げた達成感のまま、Kindleに出す手順を調べ始める。
そこで、原稿ファイルをそのまま渡せるわけではないと知る。
電子書籍にはEPUBという形式がある。Kindleに出すには、その形に整える必要がある。
ここまでは調べれば分かる。問題はその先だ。
どの道具を使えばいいのか。どこまで自分でやるべきなのか。調べても一つに定まらない。

🌀 無料の変換ツールを入れて試してみる。
開くと、目次のリンクが効かない。画像の位置が本文からずれている。
表紙は別に用意するらしい。推奨サイズも解像度も条件が決まっている。
解説記事をいくつか開く。どれも前提にしている知識が少しずつ違う。自分がどの記事から読めばいいのかが分からない。
原稿は完成しているのに、作業は一歩も進んでいない。

⚠️ つまずく箇所には、よく知られたものがある。
本文のレイアウトが崩れる。余分な空白ページが残る。目次のリンクが切れる。
WordやCanvaから直接アップロードすると、改ページが反映されずページがずれることもある。
目次のリンクが効かないときは、目次のあとの空白ページが原因になっていることがある。
原因が分かっていれば数分で直せる。知らないと、原因の特定から始まる。
縦書きの原稿だと、さらに崩れやすい。余白や改行がガタガタになる、という話も出てくる。

📮 提出しても、その場で結果は出ない。
解説サイトによれば、審査結果の通知が来るまでに24〜72時間かかる。
つまり、直したものが通るかどうかを確かめるのに、毎回1日から3日が要る。
試して直す間隔が長いので、原因の切り分けにも時間がかかる。1回の失敗が、そのまま数日の停滞になる。

🤐 周りに聞ける相手もいない。
職場で副業の話はしにくい。友人に相談してもEPUBという言葉の説明から始まる。
検索して出てくる情報だけが頼りだ。でも、その情報が自分の状況に当てはまるのかを判断する基準を持っていない。
合っているのか間違っているのかが分からないまま、手だけを動かすことになる。

🧩 ここでつまずくのは、知識が足りないからというより、この工程だけ性質が違うからだ。
目次を考えるのも本文を整えるのも文章の仕事。入稿はファイル形式の仕事になる。
求められるのは書く力ではなく、仕様に合わせる作業だ。
文章を書いてきた延長線上には、この技能がない。だから最後になって、まったく別の分野に放り込まれる。

📉 しかも、この工程は本を1冊出すまで必要にならない。
日常のどこにも出てこないので、覚えても次に使うのは何か月も先だ。今回のために調べたことは、次の1冊のときにはあらかた忘れている。
1回きりの学習に週末を使う。それが分かっているから、着手も遅れる。
覚えたことが残らないという点でも割に合わない。
目次の作り方や文章の整え方は、次に書くときにも使える。変換ツールの操作は、その道具を使い続けないかぎり価値が消える。
動いたのか動いていないのかも、出してみるまで確かめられない。

⏳ 結果、原稿は完成しているのにデスクトップに置かれたままになる。
書けなかったわけじゃない。最後の変換だけが終わっていない。
半年たって開き直すと、今度はどこまで調べたのかを思い出すところからやり直しになる。
そのころには、変換ツールの版が上がっていて、画面も操作も変わっている。調べ直しがもう一度発生する。

🗂 扱うファイルが増えていくのも効いてくる。
原稿、変換前の中間ファイル、変換後のEPUB、表紙画像、商品説明のテキスト。
段階ごとにフォルダを分けて管理する話が、実際にまとめた人の手順には出てくる。
文章を書く話より、どこに何を置くかの話のほうが長くなる。
どれが最新版かを自分で覚えておく必要があり、1週間空くとそれも薄れる。

🎯 止まっている場所を、能力の話にしないほうがいい。
原稿が完成しているなら、書く工程はもう終わっている。
残っているのは、仕様に合わせる工程だ。性質がまったく違うので、同じ物差しで自分を測る意味がない。
書く工程と、仕様に合わせる工程は、必要な集中の種類が違う。片方が得意でも、もう片方が得意になるわけではない。

✅ 今日できる確認もひとつ。
書き上げた原稿ファイルを開いて、章の区切りがどこにあるかを見ておく。
区切りがはっきりしていれば、形式に整えるときの材料はもう手元にある。
はっきりしていなければ、入稿の前に片づける作業がひとつ残っている。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す