ツールをまたぐたびに、コピペが1回挟まる。
🔧 何冊か出していると、自分なりの手順ができてくる。
章立てはこの道具。本文の整形は別の道具。表紙は画像生成。最後に変換ツールでEPUBにする。
それぞれ単体では使い慣れていて、迷うところはない。
手順が固まっているのは、試行錯誤の結果でもある。
何冊か出すうちに、自分に合う道具の組み合わせが決まってくる。1つずつは最適なものを選んでいる。
📚 実際、役割ごとに道具を分けるのは広く紹介されているやり方だ。
企画と構成、そして執筆はこのAI。長文の執筆は別のAI。リサーチはまた別。表紙はデザイン系のサービス。
構成づくり、ドラフト生成、推敲補助と役割分担するのが主流だ、という記述もある。
表紙を作るツールだけでも、複数が並べて紹介されている。
分けること自体は合理的で、問題はそのあいだにある。
📋 受け渡しのたびに、貼り付けが発生する。
ひとつの道具から出したものを、次の道具に貼り付ける。
書式が落ちる。改行が変わる。記号が置き換わる。
貼るたびに小さな崩れが起きて、そのたびに直す。
1回あたりは数分の作業だ。だから問題として認識されにくい。
ただ、1冊につき受け渡しが何度も発生し、それが冊数だけ繰り返される。
冊数が増えるほど、この部分が全体に占める割合が上がっていく。
⚠️ 事故が起きるのも、たいていここだ。
前の版を貼ってしまう。章をひとつ飛ばす。直したはずの箇所が古いまま残る。
作業自体が単調なので注意が続かず、間違えても気づきにくい。
気づくのが出したあとになることもある。
読者からの指摘で初めて分かると、直して出し直す手間に加えて、印象の面でも損をする。
📮 直しても、その場では確かめられない。
解説サイトによれば、審査結果の通知が来るまでに24〜72時間かかる。
貼り付けの崩れが原因で差し戻されると、直して再提出し、また1日から3日待つことになる。
1回の見落としが、そのまま数日の停滞になる。
🔍 確認の作業も単調だ。
すでに何度も読んだ文章を、間違い探しのつもりでもう一度読む。
集中が続かないので、確認したはずの箇所を見落とす。
確認を増やしても、精度がその分上がるわけではない。むしろ、確認したという記憶だけが増える。
🗂 道具ごとに置き場所が分かれることも効く。
原稿はここ。画像はあのフォルダ。変換後のファイルはダウンロードの中。
実際にまとめた人の手順を読むと、原稿、下書き、最終原稿と段階ごとにフォルダを分ける話が出てくる。そこに表紙画像、商品説明、EPUBが加わる。
冊数が増えると、どの本のどの版がどこにあるかが分からなくなる。
📉 慣れているぶん、改善の対象として見えにくい。
手順が固まっていると、そこに時間がかかっていること自体を疑わなくなる。
書く速度を上げる工夫はしていても、受け渡しの回数を減らす工夫はしていない。そういう状態になりやすい。
1冊あたりの所要時間が下がらない理由が、ここにあることは多い。
⏱ 細かい修正が積み上がると、時間の中身も変わる。
崩れを直す時間は、本をよくする時間ではない。
同じ1時間でも、直しに使うのと書くのに使うのとでは、残るものが違う。
作業の総量は変わらないのに、成果として残る割合だけが下がっていく。
🧠 覚える対象が道具の数だけ増えるのも効く。
道具ごとに指示の書き方が違う。画面の構成も違う。設定の場所も違う。
1つを使いこなしても、次の工程では別の癖を覚え直すことになる。
しかも道具の側は更新される。しばらく空けると、画面も操作も変わっている。
冊数を出していても、工程ごとには久しぶりの操作になることがある。
🤝 手順を人に説明しにくいのも、この形の副作用だ。
道具が4つに分かれていると、どこまで進んだかを共有するのに4か所の話をすることになる。
誰かに手伝ってもらう場面でも、前提を伝える手間が大きい。
結果として、全部を自分で抱えることになる。冊数の上限が、そこで決まる。
🎯 だから、比べるべきは書く速度ではない。
書いていない時間が1冊あたりどれだけあるか。そこが見えていないと、伸びしろの場所も分からない。
冊数を増やすほど、この差は開いていく。
✅ 今日できることもひとつ。
直近の1冊で、道具から道具へ貼り付けた回数を思い出してみる。
その回数が、いま削れる可能性のある部分だ。
数えてみて少ないと感じるなら、いまの手順は悪くない。多いと感じるなら、そこが1冊あたりの時間を押し上げている。