文字は内容に「声」を与える|はじめてのデザイン講座 DAY 29

文字は内容に「声」を与える|はじめてのデザイン講座 DAY 29

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デザイン・イラスト
同じ言葉でも、太く角張った文字と、細く繊細な文字では受ける印象が違います。文字は内容を表示するだけでなく、言葉へ声色を加えるデザイン要素です。

書体より先に目的を決める

フォント一覧を開く前に、目的、対象者、伝えたい印象、使用場面を決めます。「はじめての読書会」を初参加の地域の方へ知らせるなら、参加への不安を和らげる親しみや安心感が必要です。

三つの書体の傾向

角ゴシック体は、明快、現代的、合理的、力強い、身近という印象に使われる傾向があります。丸ゴシック体は、柔らかい、親しみやすい、穏やか、安心できる印象の候補です。明朝体は、上品、繊細、伝統的、知的、落ち着き、高級感などに使われます。

角ゴシック体は、身近さや力強さから、「安価」「男性向け」という印象を感じさせることがあります。一方、明朝体は、線の細さや繊細な形から、上品さや女性らしさを感じさせることがあります。

ただし、その印象は使うシーンによって変わります。角ゴシック体そのものが「安価」「男性向け」を決定づけるわけではなく、明朝体も「高級」「女性向け」と決まっているわけではありません。骨格、太さ、字面、文字間、色、写真、言葉によって受ける印象は変わります。太い明朝体は重厚に、細く整ったゴシック体は現代的で上質に見えることもあります。

「女性向けなら明朝体」「男性向けならゴシック体」とだけ覚えると、対象者を一つのイメージに決めつけてしまいます。その結果、商品や企画が本来伝えたい印象と書体の印象が合わず、制作意図が伝わらないこともあります。

印象と読みやすさを両方見る

短い言葉を見つけやすいことを視認性、文章を続けて読みやすいことを可読性と呼びます。目的に合う印象でも、スマートフォンで線が消えれば告知として機能しません。実際に使う大きさと背景で確認します。

実務条件で三案を比較する

「はじめての読書会」の見出しを三つの書体で作ると、次のような比較ができます。

・太い角ゴシック体:SNSで発見しやすいが、募集の強さが前へ出る場合がある
・丸ゴシック体:初参加の緊張を和らげやすいが、丸みが強いと子ども向けに見える場合がある
・明朝体:本や落ち着きとの関係を伝えやすいが、細いウェイトは縮小時に注意が必要
今回は、安心を優先するなら丸みを抑えた丸ゴシック体、本との関係を優先するなら、かなが柔らかく細すぎない明朝体を候補にします。

採用案だけでなく、ほかの案を見送る理由まで説明すると、好みではなく目的から判断したことが明確になります。

今日の10分課題

「はじめての読書会」を角ゴシック体、丸ゴシック体、明朝体で作り、大きさと色をそろえて比べます。それぞれの印象を三語書き、初参加の人へ安心感を伝える案を選んでください。

3つの自己確認

1. 目的と対象者を先に決めましたか。
2. 印象を決めつけず比較しましたか。
3. 実際の大きさで読めますか。
次回は、骨格や字面まで観察してフォントを選びます。

64歳からデザインを学び始め、現在はWebと印刷物のデザインを制作しています。このシリーズでは、デザイン経験がない方にも分かる言葉で、デザインの基本と作り方をお伝えします。

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