こんにちは。tamakimakiと申します。
私は現在、イラストレーターとして活動しておりますが、フリーランスに転身するまでは、在京キー局の報道部で主に社会系のニュースを扱う報道記者として働いておりました。
そういった経歴もあり、私はココナラの電話相談サービスにて「優しい元報道記者が取材形式でお話し伺います」という商品を出品しているのですが、たまに、以下のようなご相談をいただきます。
「会社の上司が周囲に行っているパワハラの証拠を持っているのだが、ニュースとして取り上げる方法はないか」
「とある企業の不正に気づいてしまった。告発したいが、どのようにしたらいいか教えて欲しい」
などなど…
そこで「テレビ局や新聞社などのマスメディアに取材をしてもらいたい時、どうアプローチしてマスコミの興味を引きつけたら良いか」コツを書き記していこうかと思います。
尚、この記事を読むことで、必ずマスコミから取材をしてもらえる、という確約ができるものではございませんが、在京キー局で10年弱、さまざまなニュースを取材してきた元報道記者の一人の見解として、少しでも悩みを抱える方のお役にたてるのであれば幸いです。
目次
①ニュースとして取り上げられやすい事案
②ニュースとして取り上げにくい事案
③マスコミが欲しい情報
④マスコミはどのようにして情報収集をしているのか
⑤押さえておきたいマスコミの習性
⑥おわりに
①どのような事案がニュースとして取り上げられやすいか
★今までにない、新しい、意外で珍しい情報
★世間一般に大きな影響(利益・不利益)を及ぼす可能性のあるもの
★世間一般の興味・関心が集まると思われるもの
★事件化しているもの
★映像や画像などがあり事象としてのインパクトが強いもの
★子どもが何らかの被害を受けている事案、子どもが主体となって取り組んでいる事案
※「世間一般に」というのはとても重要なポイントで、例えば、本人かその家族、あるいはその親戚や友人、知人の内に影響を受けている人がいる程度の身近さをイメージすると良いかと思います。
【今までにない、新しい、意外で珍しい情報】とは
→「世界初」とか「今季初」とか「過去最大」とか、これまでにない要素がある事案。新しくて、珍しいもの。唯一無二のもの。
会社が開発した商品やシステムなどをマスコミに売り込みたいとき、「特許を取った」とか「ギネス記録をとった」みたいな分かりやすい唯一無二感を出すと、記者の目に留まりやすい
【世間一般に大きな影響を及ぼす可能性のあるもの】
【世間一般の興味・関心が集まるもの】とは
この二つは、つまり同じような事案に収束するのですが、社会的影響が大きいもので、生活や安全お金、権利に関わる事案。多くの人に影響があるということは報じる意味も価値も高くなるわけなので、イメージしやすいかと思います。
利用者数の多い商品やサービス、有名企業や著名人(知名度の高い事柄)の不祥事、不適切な対応などについての情報はニュースとして取り上げやすく、記者の目にも留まりやすいので、「誰が」あるいは「何が」→「どうした」の主語の部分を大きくできるだけ大きくして売り込み方をするのが良いかと思います。あるいはSNSでバズっている情報とかと関連づける(以下に大衆の関心が高いかというところをアピールすると良い)
【事件化しているもの】とは
そのままの意味で、既に警察や捜査当局が動いていたり、関わっている事案。
小さな事案でも、被害を訴える方が、警察へ被害届を出しているか、あるいは相談をしているかが重要。少しでも警察を巻き込んでいるものであれば、マスコミは事案の裏取りがしやすく、尚且つ、当局が間に入り、きちんと捜査をするため、どういった経緯で事案が発生し、どちらが加害者でどちらが被害者なのか、などを明確に判断しやすい。
また、警察は関与していなくても、例えば役所が関わっていたり、弁護士が関わっていたりなど、公表する発言に責任を持てる機関が関わっていると、裏どりしやすくて良い。
【映像や画像などがあり事象としてのインパクトが強いもの】
自然現象(突風とか、雹とか)、災害(火事、地震とか)、事故(交通事故、イベントの事故)、時事性のあるトラブル(花火大会の影響で駅が大混雑して電車が止まったとか)、犯罪行為の瞬間(暴力、窃盗、セクハラ、痴漢、いじめ、虐待など)、明らかに悪質なイタズラ(車とか外壁に落書き、窓に向かって石を投げるとか)
そういった類の映像や画像はマスコミの興味を引きつけます。特に映像の情報力は強いのです。衝撃的な映像(または画像)はそれだけでマスコミがニュースにしたがるので、そういった類の売り込みは比較的容易な印象です。
以上を踏まえ、マスコミがニュースとして取り上げやすい事案とは、兎にも角にも、新しく、珍しく、世間への影響が大きく、裏どりしやすく、わかりやすい(数字で表せたり、視覚的にわかりやすい)ものだといえます。あと、後述させていただきますが、これらに加えて時事性もとても重要なポイントです。時事性とは、なぜ今、このタイミングで、その事案を報じるのか、という観点です。
②どのような事案はニュースとして取り上げにくいか
私は記者時代、よく視聴者の方からの“情報提供”という形で、さまざまな「ニュースとして取り上げてほしい」「取材してほしい」というご相談を受けました。一方で、①で記述したものでなければニュースとしての優先度は落ちていくわけです。
では「著名な企業の不正でなければ全く報道されないのか?」「たくさんの人が利用しているものでなければ…」「被害者が少なければ…取り合ってくれないのか?」と聞かれたら、決してそうわけでもありません。
利用者数が少なくて、被害も小さくて、それでも何かしらの特異点があり、番組D(ディレクター)や記者の目に留まり、報じる価値を見出され、何か他のニュースと関連付けて報じる方向へ持っていこうと舵を切ることも往々にしてあります。
とはいえ、毎日いただくたくさんの“情報提供”。その多くはニュースすることができないで終わります。
ニュースにできない情報提供が、どういったものかというと
・根拠、証拠のない暴力や虐待、パワハラなどの訴え
・根拠、証拠のない企業や組織の不正の訴え
・会社で開発した商品を取り上げて欲しい
・子どもが加害者の場合の事案
・消費者による特定の企業(商品、サービスなど)への一方的な批判
・警察が関与しない程度のトラブル
※ここでいう『根拠』や『証拠』とは、動画、写真、音声データ、その他資料など客観的に事案を確認できる物のことを指します。身体的なことであれば診断書などでもいいですし、詐欺被害などであればその相手とのやりとり(メールやSNSのメッセージ、着信履歴など)、送金記録などなど
【根拠、証拠のない暴力や虐待、パワハラなどの訴え】
【根拠、証拠のない企業や組織の不正の訴え】
売り込みたい事案の根拠あるいは証拠は絶対に必要と思っておいた方がいいです。逆にそれがないと、報道機関も何を以て情報の信憑性を担保していいのか分かりません。特に被害・加害などの立場が明確に分かれる事案であれば、一方の言い分だけを鵜呑みにして報じることなど、報道機関としてできないわけです。
そういった意味で、根拠、証拠がなければ、ほとんどの場合、静観されることになります。
【会社で開発した商品を取り上げて欲しい】
「会社で開発した商品やサービスを取材してほしい」「社会にいい活動をしているので取材して欲しい」などの売り込みもよく受けていましたが、特定の商品、サービス、営利活動をむやみに取り上げることは、場合によってはそれらを宣伝をすることと同義になるので、慎重に取り扱います。おまけにその類の売り込みは数も多いので、本当にわかりやすくすごいものでなければ記者の目に留まりません。
【子どもが加害者の場合の事案】
子どもが関わる事案については、きちんとした報道機関であればかなり慎重な判断を取る姿勢になります。特に子どもが加害者の立場にある場合は、児童の健全な成長を保護する必要があり、簡単には手を出しません。いじめの告発などが、その代表的な例です。いじめなどの加害者は、ニュースとして報じられるとネット上で個人を特定するような動きが活発化し、いわゆる私刑を受けます。報道機関として、それを無闇矢鱈に誘発することは許されないわけです。いじめの告発については被害者もいるので、その情報自体を無碍に扱うこともできません。なので、とても難しい案件です。悪質性だけで判断されることはなく、社会的な影響やプライバシー保護の観点も検討されます。
【消費者による特定の企業(商品、サービスなど)への一方的な批判】
これも情報提供としてはかなり多い類です。概ね投稿者がクレーマーと思われて終わりです。
不正や不適切な対応などがあり(ご自身が不利益を被り)、それをマスコミへの情報提供として持っていく場合は、特定の企業や団体、人物、モノやサービスの批判だと思われないよう丁寧なアプローチが必要です。
少なくとも被害届を出しているとか、市役所の担当課や消費者センターに相談しているなど、ご自身のアクションがなければ概ね静観されます。
【警察が関与しない(またはそれに準ずる)程度のトラブル】
例えば、騒音被害などのご近所トラブル、道路族やら動物の多頭飼育やら。警察に通報する程でもないけど(あるいは通報したが取り合ってもらえない)「ちょっと迷惑だな」と思う程度の身近なトラブルは、マスコミもあまり関わろうとしません。
なぜなら、そのような事案では「どっちもどっち」という形が多かったり、迷惑をかけている側の権利・主張があったりなど、善悪をはっきりつけづらい側面があるからです。
警察も手を出しにくいようなトラブルには、よっぽど特異な点がない限り、マスコミも積極的に首を突っ込みません。
マスゴミと揶揄されることの多いマスコミですが(実際そういった側面を持っていることも事実ですが)、やはり無責任に何も考えずネタに群がっているわけではありません。記者やディレクターは、そのニュースが社会に与える影響や、報じる意味や価値を考えながら、情報を精査しているわけです。
例えば、詐欺に遭ったAさんが、詐欺師Bを捕まえたいと思い、警察に相談しましたが、警察は取り合ってくれません。そのため、その被害をニュースなどに取り上げてもらい、告発したい、と考えたとします。
Aさんは、詐欺師Bとのこれまでのやりとり(LINEなどの画面)、詐欺師Bの顔写真、詐欺師Bへの送金記録を証拠として持っており、被害届は受理してもらっています。これを持って、報道機関に情報提供を行おうとしました。
しかし、報道機関にメールやSNSでのDMを送っても反応がありません。
何が足りないのかというと、それは【時事性】だったりします。
なぜ今、このタイミングで、この詐欺について報じるのか
これをクリアしないとニュースとして扱いにくいこともあります。なぜならば、詐欺被害というのは毎日毎日、本当にたくさん発生しているからです。一つ一つをニュースにしていたらキリがありません。
なので、対策としては、SNSで同じ被害に遭った人を探し、バズっている投稿が無いかというのを確認していきます。
今の時代、記者はたいてい、毎朝、毎時間、ネットでバズっているネタをチェックしているので、バズに絡めた情報提供は反応されやすいです。
③マスコミが欲しい情報
社会的に大きな影響がある事件(あるいはトラブル)などは、ほとんどの場合で警察が関与し、そして広報されます。
視聴者からの情報提供を発端にニュースになる事案もありはしますが、全体で見ると、数は多くないといでしょう。
マスコミが視聴者からの情報提供で求めているのは、なんといっても、「その時」「その現場に居合わせた人しか得られない」情報です。もっとわかりやすくいうと、すごい動画や写真、音声データです。
例えば、官僚のパワハラの音声とか。
医者のセクハラの様子とか。
警察の不祥事(例えば市民に乱暴している様子)とか
権力や地位がある「人」「組織」、あるいは利用者の多い業界第一線にある「モノ」や「サービス」の「不祥事」「不適切」な動画や写真、音声データ、その他、関係者しか持ち得ない証拠などの書類が欲しいわけです。
こう断言しちゃうと、下世話ですね。マスゴミだと叩かれそう…
いや、私はもうマスコミ関係者ではないですよ。
④マスコミはどのようにして情報収集をしているのか
マスコミの情報源は
・報道他社(新聞、テレビ報道)の記事
・警察や消防、官庁や各企業の広報部など、関連当局(公式)からの広報
・各記者が持っている情報源からの情報提供(こちらは専門性も情報の精度も高い情報提供)
・SNS
・視聴者からの情報提供
概ねこれです。
そして昨今のマスコミはありとあらゆるSNSを四六時中、監視しているといっても過言ではありません。
私が記者だった頃は、手が空いている時、例えば「#拡散希望」みたいなハッシュタグを1時間に一回くらいのペースで確認し、いろんな人のSOSやトラブルを探っていたりしました。
1時間で何百と投稿されるハッシュタグから見つけ出されるニュースの種は、割とたくさんありました。
なので、マスコミに取材をして欲しいと思うような事案がある場合は(事案にもよりますが)、まずSNSへの投稿を初手に選ぶことをお勧めします。
バズれば必ず記者やディレクターは、あなたの情報を見てますよ。
また、視聴者からの情報提供についても一つ。
テレビでいうと、同じテレビ局の報道部であっても、各番組、各部署、各班、それぞれにSNSアカウントを持っていたりします。公式マークがついているものが分かりやすいですが、そうでない、非公式のアカウントも入れると、1社あたり十数程度。さらに、朝の情報番組、昼のワイドショーなどの番組も合わせると、ものすごい数になります。特に情報番組は、各コーナーごと、各曜日ごとにアカウントを持っていたりするので、1社だけでも、相当な数になることが想像できるのではないでしょうか。
あなたが、マスコミに取材してほしい事案があり、情報提供を考えているのでしたら、1社1アカウントで終わらせるのは勿体無いです。SNSのダイレクトメッセージなどを利用して、その情報に触れる記者・ディレクターの数を増やす目的で絨毯爆撃のようにたくさん送った方がいいです。
テレビであれば夕方3時間のニュース枠、これを毎日埋めないといけないわけなので、ネタを血眼で探しているディレクターにあたれば、ラッキーと言えます。
⑤押さえておきたいマスコミの習性
2つあります。
・独自ネタへの貪欲さ
・情報提供には慎重
です。
これらは実は、相反する場合も多く、矛盾していると思われる方もいるかもしれません。
まず、【独自ネタへの貪欲さ】についてです。
一般の方からの情報提供で、この独自ネタにつながる情報はかなり大切にされます。
小技ですが、もし、マスコミに取材してほしい事案があり、情報提供を検討されている場合は、「御社にしか提供していない情報」であることを伝えると反応が良くなることもあります。※ただし嘘はつかないように気をつけましょう
次に【情報提供には慎重】についてです。
多くの善良な方の情報提供も、一部の悪質な情報提供者がいるために、寄せられるありがたい情報を一つ一つ精査しないといけないのです。
たくさんの人の目に触れるニュースを作る報道機関ですから、その情報の信憑性も確かでなければいけません。自ら歩いてきた情報、まずは疑ってかかるのがテレビマンなのです。
というわけで、一般の方からの情報提供を大変ありがたく、本当に求めているくせに、情報提供してもらったら、それはそれで、まずはその情報が本当なのかを疑わなければいけない。これがマスコミの習性というわけです。
そういうわけで、投稿者に対して、対応する記者やディレクターが少しでも不信感を抱いた時点で、その情報をニュースとして取り扱う可能性が一気に下がります。
⑥おわりに
私は主に、社会系のニュースを担当する記者でしたが、日々、エンタメ系もゆるふわネタも、ネットで話題のニュースも、経済系も、とにかく幅広いジャンルのネタを取材し、原稿を書いたり、たまには映像編集(技術的なことではなく、テロップを作ったりとか、尺を調整したりとか)をしたりしていました。
「マスコミに取材してほしい!」と思っている方に、どういうアプローチが良いか、お伝えすることで、お役に立てることがあるかもしれません。
一人で抱え込んでいたり、どうしたらいいのか悩んでいたり、単純に誰かに話を聞いて欲しい、と思うことがあれば、どうぞお気軽に、お電話ください。
もちろん、「それが必ずニュースになる」というお約束はできませんし、そもそも、現時点ではニュースになる可能性が低い、ということもあるかもしれません。ですが、「優しく」お話伺います。
最近はイラストレーターとしての仕事も安定してきており、決まった時間に電話を受けることが難しい場合も多いため、もしお電話をご検討の場合は、どうぞメッセージなどからご相談くださいね。
この記事が誰かのお役に立てますように。
tamakimaki