SEOと逆SEOサービスを提供していると、お客さんから
「被リンクは効果があるか」
とか
「被リンクを買ってもいいのか」
といった質問をよくいただきます
僕は一律に、
「安売りされているリンクには効果がない。」
と答えていますが、そのあたりの話は「被リンクの購入は本当に効果があるのか」をご参考されたい。
この記事は、
では、効果がないのに、なぜ今でも被リンク購入が信じられているのか
について綴りたいと思います。
PageRankの功罪:いまも続く数値信仰の話
実は、被リンクを買えば、上位表示できるという意味でのSEO的に良いと吹聴されている、その謎の正体というのは、
Googleが作り出したPageRankという概念です。
概念というべきか、制度というべきか、あるいは数値というべきか。
いずれにしても、よくも悪くも、PageRankがすべての原因です。
PageRankを前面に出していた昔
今でも被リンクは重視されており、Googleが提供しているサーチコンソールというツールでも被リンクの状況は確認できますが、
昔はそれとは別に、GoogleがPageRank(ページランク)という数値を公式に公表していました。
PageRankというのは、簡単に言えば、サイトのランクです。
昔、Googleは世の中のあらゆるウェブサイトの評価をPageRankという数値で計算し、それを公表していたのです。
人は数値化しやすいもに飛びつく
PageRankを決める要素はいろいろある中で、被リンク数が一番わかりやすかったというか、定量化しやすかったのです。
要は、数値として出せるのです。しかも、わかりやすいのです。
1つ、2つと数えられるからです。
でも、ほかの要素、例えばコンテンツの質などは、数値では表しにくい。相対的な部分もあるから、数値化は難しいのです。
だから、いろいろな要素がある中で、一番わかりやすい被リンク数がターゲットにされたのでしょう。
※ちなみに、もう一つはドメインエイジ(ドメインの年齢)ですが、これもかなり「数値」だけが暴走しているのですが、それはまた別の機会でお話します。
このPageRankは、今は公表をやめています。
なぜ公表をやめたかについては、Googleはその理由も公表していませんが
僕も含め、主流の見方としては、やはり、その数値の獲得自体を目的に操作する人がいるからではないかと推測しています。
なお、これは推測なので、これ以上の深追いはしませんけれども、
今なおPageRankは評価基準として残っているものの、
PageRankそのものの公表はやめたことだけ理解しておきましょう。
DRはあくまで第三者が作った指標にすぎない
GoogleがPageRankの公表を取りやめてから、PageRankの代わりのように扱われているのが、DR(Domain Rating)という数値です。
これは、Ahrefs(エイチレフス)という、Googleとはまったく関係のない企業が提供している、サイトの被リンクに基づいた信頼性や権威性を0〜100で表す独自指標です。
そう、PageRankの代わりのように扱われているその数値は、実は、第三者が作った指標にすぎないのです。
しかも、Ahrefsというのは、SEOツールを提供している企業です。
ということは、「公正な数値」を出すことよりも、「課金している顧客に有利な数値を出すこと」や「有料プランに加入させること」に対するインセンティブが強く働きます。
誤解を招かないように説明しておきますけど、Googleも同じです。
Google広告は、通常の検索結果の1位よりも前に表示されています。
今は「スポンサー」という表記がありますが、昔はありませんでした。
ですが、ここでのポイントは、Google広告に出稿しているかどうかは、リンク数、ひいては検索結果の順位とは直結しない、ということです。
でも、DRはそうではありません。
DRという数値がPageRankの代替のように扱われているのは、金になるからです。
先も言った通り、人は数値化しやすいものに飛びつきます。
人は自分のサイトの評価を知りたい。
その欲求を商売にしているのが、DRという数値を作り出したAhrefs(エイチレフス)なのです。
Googleは小手先でもそんな単純な数値では動かない
確かに、DRというのは、被リンク数をもとに評価される数値です。
しかし、問題は、Googleがその数値を参考にするのかということです。
ご留意いただきたいのは、DRという数値は意図的に上げられる、という点です。
そうです。
実際、被リンクを買えばDRは操作できるのです。
ここが、かなり重要なポイントです。
被リンクを買えば、DRは操作できます。
一方で、GoogleはPageRankの公表を取りやめました。
少なくともGoogleは、外から見える単純な数値が過度に信仰され、操作の対象になる状況を好まなかったのでしょう。
操作されうる数値を、検索エンジン、とりわけGoogleが、そのまま参考にするはずがありません。
つまり、DRを上げるサービスが存在している時点で、DRは被リンクの本当の価値を示す数値にはなりえないのです。
だって、Googleはこんな小手先で操作できるほど、甘くはありません。
もし本当にそんな小手先で順位が動くなら、コンテンツの質など関係なくなり、検索エンジンは崩壊してしまいます。
それは検索エンジンがどうしても避けたい状況ですし、
実際、検索エンジンの歴史には、そうした「小手先の操作によって崩壊した」というエピソードがありました。
次は、その話をします。
検索エンジンが崩壊した歴史
今では、Googleのようなインデックス型が主流ですが、かつては、ディレクトリ型というものがありました。
要は、リンク集です。
いくつかのカテゴリー、サブカテゴリーに分けられ、それに属するリンクがざらっと並べられているのです。
ヤフーがそうでした。
それに登録するには、実は、審査料という名目のお金がかかります。
逆に言えば、お金を払えば、登録ができてしまうのです。
もちろん、審査はあるものの、公序良俗に違反しなければ、大丈夫でした。
確かに、アダルト系とか特定のカテゴリーだと料金は高くなるのですが、違法でない限り、登録はできます。
その掲載順はというと、まずは新着が前に表示され、それ以外はあいうえお順です。
もうピンときた読者様もいらっしゃると思いますが、
そう、抜け道がありました。
まずは、サイトを作って登録をします。
そうすれば、新着順として一番前に載せてくれるので、カテゴリーによっても異なりますが、アクセスが通常の10倍~100倍にもなるのです。
しばらく経ってから、新着順から外されるのですが、その都度、また新しいサイトを立ち上げて、登録すれば、再び新着順に登録されて、ウハウハモードに突入します。
つまり、新しいサイトを作っては登録することを繰り返せば、ずっと新着順で稼げるのです。
僕の昔のお客さんの話ですが、オンラインの商売をしている方で、新着順に載せられた初日は、その前日の売上の40倍だったそうです。
1日だけで、1ヶ月分以上の売上を稼いでしまったのです。
これは、サイトオーナー側からすれば、その都度の審査料はかかりますが、それ以上のリターンがあるからハッピー。
検索エンジン(ヤフーね)もそれで儲かるからハッピー。
問題はユーザー側です。
検索結果というのは、果たしてユーザーのためにあるものか、ユーザーファーストなのか、というと、明らかに違うでしょう。
だから結局衰退したのでしょうね。
ディレクトリ型の検索エンジンとそのビジネスモデル。
本当のユーザーのことを考えていないですもの。
この話からでもわかるように、検索結果の品質をいかに確保するのは、検索エンジンにとって極めて重要な課題です。
本当にユーザーにとって、有益なサイトを上位に表示する。
それに尽きます。
そうした検索品質に貢献しない小手先を許してしまうと、検索エンジンの信頼性が損なわれる結果、ユーザーが離脱するので、死活問題と言われるのです。
さて、こういった
Googleの技術者の集団 VS. リンクを売りつける業者
もしくは、
Googleの技術者の集団 VS. 容易く操作されている数値(DR)を提供している企業の技術者
どちらの技術が上か、僕は、Googleに賭けます。
「被リンクは民主主義」という説明が悪用されている
こうした業者の中には、
「Googleは『ウェブ上の民主主義は機能する。』という理念を掲げているのだから、被リンクの多さこそが正当な評価である」
と、お茶を濁すような説明をする者もいます。
確かに、Googleの公式サイトには「Google が掲げる 10 の事実」のひとつとして【ウェブ上の民主主義は機能する。】と明記されています。
しかし、この文脈をそのまま被リンク販売の正当化に使うのはかなり無理があるので、
そうした説明をする者は、「ウェブ上の民主主義」の本来の意味を理解できていないか、あるいは情弱を騙そうとしている悪質な業者のどちらかでしかありません。
僕は被リンクの購入そのものを批判しているわけではありませんし、効果があると主張する人の意見を否定するつもりもありません。
それはあくまで個々の見解ですから。
しかし、被リンクの購入根拠をGoogleが掲げているネット上で機能する民主主義を引き合いにすると、僕はどうしても、批判したくもなります。
民主主義とは、多数の意思表示、すなわち投票によって支持を集める仕組みです。
それになぞらえれば、被リンク数は投票数にあたるのでしょう。
すなわち、被リンク数は民主主義における投票数です。
しかし、問題はここからです。
その投票を「買う」行為が正当化されるかといえば、現実の政治で言えば、票の買収にあたるので、選挙法違反です。
政治の世界では法律で規制されますが、インターネットの世界ではGoogleがアルゴリズムによってこれを制御しています。
Googleにとって検索結果の品質を維持することは死活問題です。
ユーザーファーストを実現するために、優秀な技術者を揃え、日々アルゴリズムを改善し続けています。
そのGoogleの技術と、被リンクを安価で大量に販売している業者の手法。
どちらが上かは、自明でしょう。
今でも被リンク購入が信じられている理由
長くなりましたが、今でも被リンク購入が信じられているのは、
すなわち、PageRank以来の数値信仰と、「被リンクは民主主義」という説明の悪用が、いまだに生き残っているからです。
ちなみに、英語で検索すれば、こうした被リンク販売サービスは、日本で販売されている価格の10分の1以下で見つかります。
これ以上だと商売の邪魔にもなりかねないので控えますが、興味のある方は、AIの力も借りながら調べてみるとよいでしょう。
余談ですが、Googleが掲げる「ウェブ上の民主主義」を引き合いに出して被リンク販売を正当化すること以外に、僕がどうしても許せないことがもう一つあります。
それは、こうした海外の被リンクを転売しながら、「SEO専門家」や「エンジニア」を自称することです。
極端に言えば、カップ麺をそのまま出している人が、自分を料理人だと言い、職業欄にシェフと書いているようなものです。
それをどう評価するかは人それぞれですが、少なくとも僕にはどうしても無理です。