小規模保育園の給与改定、まず何を見る?最低賃金改定前の5チェック

小規模保育園の給与改定、まず何を見る?最低賃金改定前の5チェック

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小規模保育園の給与改定、まず何を見る?最低賃金改定前の5チェック
最低賃金の改定時期が近づくと、
「パート職員の時給をいくら上げるか」
という話になりがちです。
ただ、小規模保育園の給与改定では、パート時給だけを見て決めると、正社員との給与バランスが崩れたり、年間人件費が想定以上に増えたりすることがあります。
さらに保育園の場合は、一般企業と違って処遇改善等加算による賃金改善もあります。
そのため、給与改定を考えるときには、
最低賃金への対応
処遇改善等加算による賃金改善
法人独自の給与改善
を一度分けて整理することが重要だと考えています。
今回は、小規模保育園の給与改定で最低限確認しておきたいポイントを5つ紹介します。

1.パート職員の時給だけを見ない

最低賃金が上がれば、まず確認するのはパート職員の時給です。
もちろん必要な確認ですが、パートだけを引き上げ続けると、
「正社員との給与差が小さくなった」
「経験の長い職員と新人職員の給与差が縮まった」
ということが起こります。
したがって、
最低賃金をクリアすること
と、
園全体の給与バランスを整えること
は分けて考えた方がよいでしょう。

2.正社員の月給も時給換算してみる

月給制だからといって、給与水準に余裕があるとは限りません。
基本給や固定的な手当、所定労働時間などを確認して時給換算すると、パート職員との給与差が見えやすくなります。
例えば、
パート時給は最低賃金の上昇に合わせて毎年上がっている。
一方で正社員の給与は数年間ほとんど変わっていない。
こうした園では、気づかないうちに正社員とパートの時給換算差が縮んでいることがあります。

3.「1人5,000円アップ」ではなく年間負担を見る

例えば、正社員5人を月5,000円ずつ昇給するとします。
月額では、
5,000円 × 5人 = 25,000円
です。
しかし年間では、
25,000円 × 12か月 = 300,000円
になります。
さらに給与条件によっては、賞与や社会保険料等の事業主負担にも影響します。
給与改定は、
「1人いくら上げるか」ではなく、「園全体で年間いくら増えるか」
まで計算して判断することが重要です。

4.処遇改善等加算の現在の支給状況を確認する

ここは保育園の給与改定で特に重要なポイントです。
令和7年度から、従来の処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは一本化され、
区分1「基礎分」
区分2「賃金改善分」
区分3「質の向上分」
という3区分に整理されています。
そのため給与を見直す際には、
「今年パート時給を50円上げる」
だけではなく、
現在、処遇改善等加算による賃金改善を誰に・どのような方法で行っているのかも一緒に確認しておいた方がよいでしょう。
ただし、処遇改善等加算は「自由に使える人件費」ではありません。
現行制度では、区分2・区分3を合わせた加算による改善額のうち、2分の1以上を基本給または決まって毎月支払われる手当で改善するルールがあります。
区分3には対象職員や職位、研修などの要件もあります。
したがって、
「処遇改善があるから、時給アップ分を全部そこから出せばいい」
という単純な考え方ではなく、
低賃金対応として必要な給与水準
処遇改善等加算として現在行っている賃金改善
法人として独自に上乗せする給与改善
を整理して考えることが重要です。
なお、小規模保育事業A型・B型では、主任保育士は区分3による「直接の賃金改善」の対象にはできず、給与バランス上必要な場合の配分調整による改善のみ可能とされています。小規模保育C型は取扱いが異なります。
このように、小規模保育ならではの取扱いもあります。

5.給与改定案を1つだけ作らない

給与改定に唯一の正解があるわけではありません。
例えば、
A案:最低限必要な対応を中心にする
B案:正社員・パートの給与バランスまで調整する
C案:採用・定着も考えて給与水準を上げる
といった複数案を作って比較すると、判断しやすくなります。
その際には、
月額人件費、年間人件費、職員ごとの増加額、処遇改善等加算による現在の賃金改善との関係
まで整理すると、
「何となく5,000円上げる」
という判断から、
「この給与改定なら年間○万円増える。それでも実施する価値があるか」
という経営判断に変えることができます。

小規模保育園ほど「数千円」を年間で見る

小規模保育園では、職員数も収入規模も限られます。
だからこそ、一人ひとりの数千円・数十円の給与改定でも、年間にすると園の収支にそれなりの影響があります。
給与改定前には、
最低賃金
正社員・パートの給与バランス
年間人件費
賞与・法定福利費
処遇改善等加算による賃金改善
を一度まとめて確認しておくことをおすすめします。

現在、ココナラで
「小規模保育園の人件費・賃上げ診断」

を提供しています。
職員の給与データをもとに、
現在給与の整理、月給職員の時給換算、給与改定後の月額・年間負担、職員間の給与バランス、処遇改善等加算による現在の支給状況
などを確認し、複数の給与改定パターンを比較します。
園名や職員氏名は不要です。
「保育士A」「パートB」など、匿名の給与データで対応できます。
「いくら上げるか」を決める前に、「上げると園全体でいくら変わるのか」を確認したい方に使っていただければと思います。

※本記事は、2026年9月時点で公表されている国の資料をもとに、給与改定を考える際の一般的な考え方を整理したものです。処遇改善等加算の実際の算定・配分・実績報告等は、施設類型、算定区分、職員構成、自治体の取扱い等によって確認が必要です。制度上・労務上の最終判断については、必要に応じて自治体や社会保険労務士等の専門家へご確認ください。

参考資料
こども家庭庁「子ども・子育て支援制度/処遇改善等加算に関する情報」
こども家庭庁「処遇改善等加算に関するFAQ(よくある質問)第7版」
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