「これから、私はどうなりますか?」
占いをしていると、この問いをよくいただきます。
もしも、自分の未来をすべて知ることができたとしたら、あなたは知りたいでしょうか。
幸せな未来なら、きっと安心するでしょう。
けれども、もしそこに病気や別れ、経済的な困難、仕事上の挫折などが待っているとしたら――。
それでも、あなたは未来を知りたいと思いますか。
私は、未来を知ることそのものよりも、未来を知ったあとに、私たちはどう生きるのかということのほうが大切なのではないかと思っています。
たとえば、「あなたは将来、お金持ちの人と結婚します」と言われたとします。
それは一見、幸せな未来に聞こえるかもしれません。しかし、その人が自分を大切にしてくれる人とは限りません。お金はあっても愛情がなかったり、お金を使って人を支配する人だったりするかもしれません。
反対に、「将来、病気をする可能性があります」と言われたら、多くの人は「悪い未来だ」と考えるでしょう。
けれど、その言葉をきっかけに健康を真剣に考え、生活を改め、今まで当たり前だと思っていた日常のありがたさに気づくこともあります。
つまり、未来には最初から「良い」「悪い」という札が貼られているわけではないのかもしれません。
その出来事にどんな意味を与えるのかは、自分自身に委ねられていることになります。
インド占星術では、出生図(ホロスコープ)やダシャー(惑星期)から、人生の中でどのようなテーマが強く現れやすいのかを読み解いていきます。
そこには、喜びだけではなく、試練や苦しみとして経験する出来事も示されることがあります。
インド思想では、それらをカルマと結びつけて考えます。自分が今生で向き合うべき課題があり、その課題を経験することにも意味があると考えるのです。
だからといって、「星にそう書いてあるから、何をしても無駄」ということではありません。
むしろ逆です。
自分の人生にどのような課題があるのかを知ることで、私たちはその出来事に対して、少しだけ心の準備をすることができます。
病気になる可能性があるなら、今できる健康管理を考える。
経済的な問題が起こりそうなら、お金との付き合い方を見直す。
人間関係に試練があるなら、自分にとって愛とは何か、家族とは何かを考えてみる。
未来を知ることは、未来に縛られることではありません。
未来を知ることで、今という時間をより真剣に生きることができる。
そこに占星術の意味があるのだと思います。
私たちは、未来を完全に変えることはできないのかもしれません。しかし、未来に向かって歩いていく「自分自身」は変えることができます。
同じ雨が降っても、傘を持つ人と、何も準備をしていなかった人では、その雨の意味が違ってくるように。
人生に起こる出来事も、それをどう受け止め、どう向き合ったかによって、その人にとっての意味は変わっていきます。
だから私は、占星術を「未来を当てるためのもの」だけにはしたくありません。
星が何を告げているのかを知ること以上に、その言葉を受け取った自分が、
これから何を選び、どのように生きるのか。
そこに、本当の意味での人生があると思うからです。
未来は、まだ来ていません。
だからこそ、私たちには「今」を生きる余地があります。
星を知ることは、未来を決めることではない。
それは、自分の人生という長い旅の途中で、夜空を見上げ、自分がどこにいるのかを確かめることなのかもしれません。
そして最後に、その道を歩くのは、星ではなく――私たち自身なのです。