毎月30万円を払って、YouTube動画を4本制作してもらっている。
撮影も編集もプロに任せているので、動画の仕上がりはきれい。
それなのに、半年経っても問い合わせは増えない。再生回数も思うように伸びない。
「もう少し続ければ成果が出るのだろうか」
そう考えながら、毎月請求書を確認している中小企業の社長に、一つ質問があります。
その30万円で、動画以外に何が会社に残っていますか?
私は、YouTubeの外注費を考えるとき、ここを非常に重要視しています。
年間360万円。48本の動画以外に何が残るのか
月30万円なら、年間360万円。
月4本の制作を続ければ、1年間で48本の動画が完成します。
もちろん、完成した動画そのものも会社の資産です。
問題は、契約が終わった後です。
翌月から、誰が企画を考えるのでしょうか。
過去の動画がなぜ再生されたのか、なぜ見られなかったのか、社内で説明できる人はいるでしょうか。
撮影素材や企画書、分析結果は、自社で確認できる状態になっているでしょうか。
もし、これらが外注先にしかわからないとしたら、動画は残っても、運用を継続する力は会社に残りません。
私は、これが企業YouTubeの外注で避けたい状態だと考えています。
私が運用代行会社を選ぶなら、最初に聞くこと
私は寿司専門のYouTubeチャンネルを自ら企画・運営し、登録者30万人超、累計1億4,000万回再生まで育て、事業売却まで経験しました。
また、1998年から美容室を経営し、最大12店舗まで展開してきました。
経営者として考えれば、毎月30万円の支出には、それに見合う理由が必要です。
私が運用代行会社を選ぶ立場なら、編集技術や納品本数だけでは判断しません。
「1年後、御社との契約が終わったとき、うちの会社には何が残りますか?」
まず、そう聞きます。
再生回数をまとめた報告書だけなのか。
それとも、視聴者に届いた企画の傾向、次回の撮影に使える素材、制作手順、分析結果まで残るのか。
同じ360万円でも、その中身は違います。
私は、48本の動画を納品して終わる契約より、会社に次の48本を企画できる力が残る契約を高く評価します。
ただし、外注先が自社にノウハウを提供する義務があるという意味ではありません。
大切なのは、契約する段階で、何を成果物として残すのかを決めておくことです。
会社の中には、まだ動画になっていない資産がある
私は以前から、企業のメディア戦略では「商品を売る前に、人を売る」という考え方を大切にしています。
社長や社員の価値観、仕事へのこだわり、現場で積み重ねてきた経験。
そうした情報には、他社が簡単に真似できない魅力があります。
例えば、創業30年の家具店なら、私が社長に聞きたいのは、新商品の特徴だけではありません。
「利益が出るのに、あえて仕入れない家具はありますか?」
「お客様に購入を勧めなかった経験はありますか?」
「30年前に販売した家具を、今でも修理していますか?」
実際にそうした経験があれば、そこから企画を考えます。
「家具店の社長が、絶対に仕入れないソファ」
「家具を売らずに帰ってもらった理由」
「30年前の家具を、なぜ今も修理するのか」
どれも、単なる商品紹介とは違います。
会社の考え方や仕事への姿勢を伝える動画です。
私は、こうした**社内では当たり前になっている情報を発掘し、視聴者が見たくなるコンテンツに変えること**が、企業YouTubeの重要な仕事だと考えています。
1本の動画を、5つの場所で働かせる
仮に、家具店の社長と職人を取材し、15分のYouTube動画を制作したとします。
私なら、公開して終わりにはしません。
その取材素材を、目的ごとに使い分けます。
| 活用先 | 目的 |
| YouTube長尺動画 | 社長や職人の考え方を深く知ってもらう |
| YouTube Shorts | 新しい視聴者に興味を持ってもらう |
| Instagramリール | 仕事風景や人柄を短く伝える |
| 自社ホームページ | 会社への信頼を高める |
| 営業・採用資料 | 商談や応募前に会社を理解してもらう |
ただし、同じ映像を機械的に切り出すだけでは不十分です。
YouTube Shortsなら、最初の数秒で興味を引く。
ホームページなら、会社の強みが伝わる構成にする。
営業用なら、お客様の不安を解消できる部分を使う。
同じ取材素材でも、見る人と目的によって編集を変える。
そして、元の撮影データ、企画意図、利用可能な素材を社内で管理できるようにする。
そうすれば、撮影した情報を次の営業活動や採用活動にも活用できます。
私は、これが単なる動画制作と、企業のメディア戦略との違いだと思っています。
最初の3か月は、動画の本数より「勝ち筋」を探す
もし私がこの家具店のYouTubeを担当するなら、最初から投稿本数を増やすことはしません。
まず、3か月で何を検証するのかを決めます。
1か月目:会社の魅力を発掘する
社長や社員への取材、現場の見学、お客様からよく聞かれる質問の整理。
そこから複数の企画を立て、動画を制作します。
2か月目:視聴者の反応を分析する
クリック率、視聴維持率、どこで離脱されたのかを確認します。
例えば、クリック率が低いなら、タイトルやサムネイルの問題なのか、そもそも企画が視聴者に刺さっていないのかを検討します。
冒頭で大きく離脱されるなら、タイトルで期待させた内容と実際の導入が一致しているかを確認します。
3か月目:継続できる仕組みを残す
反応の良かった企画、改善すべき点、次の動画候補を整理します。
併せて、撮影素材の管理方法、企画書、分析結果、制作手順を社内で引き継げる形にします。
3か月で必ず成果が出るわけではありません。
しかし、次の3か月に何をすべきか判断できる状態を目指します。
私は、成功した理由だけでなく、**失敗した理由も次に活用できる状態が、企業にとって価値のある運用**だと考えています。
外注をやめる必要はない。でも、外注先に依存しすぎない
撮影、編集、分析には専門的な技術や経験が必要です。
すべてを社内で行う必要はありません。
私自身、経営者として人材育成や業務の仕組みづくりに取り組んできたので、専門家の力を借りる価値は理解しています。
ただし、会社のメディア運営が特定の外注先だけに依存している状態は避けたい。
例えば、契約が終了したときに、次のようなことがわからない状態です。
- どの動画が、どんな目的で制作されたのか
- どの企画が成果につながったのか
- 撮影素材を自社で再利用できるのか
- 次に誰が、何を基準に企画を考えるのか
こうした部分は、契約時に確認しておくべきだと思います。
特に素材の納品や再利用、著作権の取り扱いは、外注先によって条件が異なります。
契約後に困らないよう、あらかじめ範囲を明確にしておくことが重要です。
月30万円が高いか安いかは、動画4本だけでは判断できない
月30万円という費用は、撮影、編集、企画、分析など、どこまで含まれているかによって評価が変わります。
安いか高いかを判断する前に、私は次のことを確認したいと思います。
その動画は誰に見てもらうためのものなのか。
会社の何を伝えるのか。
営業や採用にも活用できるのか。
視聴者の反応を、次の企画に反映できているのか。
そして、契約終了後に何が残るのか。
私は、年間360万円という予算を、48本の動画のためだけに使うのはもったいないと考えています。
そのお金で、会社の魅力を発掘し、コンテンツを蓄積し、継続できる仕組みまで育てられるなら、投資としての意味は大きく変わります。
動画を増やすことが目的ではない。会社の資産を増やすことが目的です。
今のYouTube運用費、本当に活かせていますか?
私は、自ら立ち上げたYouTubeチャンネルを登録者30万人超まで育て、事業売却まで経験しました。
そして、私は1998年に美容室を創業し、最大12店舗まで展開してきました。現在も美容室を経営しています。
その両方の視点から、企業のYouTube運用を考えています。
単に再生回数を増やすのではなく、会社を知ってもらい、信頼を育て、営業・採用・集客にも活用できるメディアにする。
そのためには、動画制作の前に、企画と運用の設計が重要です。
現在、YouTube運用代行を依頼しているものの、費用対効果に疑問を感じている経営者様へ。
動画の編集品質だけでなく、御社のYouTubeに何が蓄積されているのか。
企画、視聴者の反応、集客導線、素材の活用方法まで含めて、現在の運用方針を見直してみませんか。
ココナラでは、YouTubeチャンネルの診断・企画・運用戦略のご相談を承っています。
内海克則|YouTube・SNSメディア戦略