書き慣れていないと、「具体すぎる」「抽象的すぎる」文章になってしまうことがよくあります。
たとえば、サービスの仕組みや理念を丁寧に書いたのに「なんだかピンとこない」と言われたり、実績や数字を並べたのに「で、結局何がすごいの?」と聞かれたり……。
私自身、さまざまな原稿を書いたり、添削・編集するなかで、「抽象」と「具体」のバランスが、伝わる文章を左右する大事な要素だと実感したことが何度もあります。
抽象だけだと「ふわっと」する
たとえば、「地域とのつながりを大切にしています」という言葉。
言っていることは素敵ですが、それだけでは読み手にイメージが伝わりにくいですよね。
→ 「地域の子ども食堂に毎月食材を寄付している」
→ 「地元の高校と共同で職業体験プログラムを企画した」
こういった具体例を添えることで、「つながりを大切に」という抽象的なメッセージがリアルになり、説得力を持って伝わります。
さらに、「どんな課題意識から始まったのか」「どんな反応があったのか」「関わった人の声」などの+αの情報を加えると、内容に厚みが出て、読み手の納得感や共感も深まりやすくなります。
具体だけだと「広がらない」
逆に、取り組みや数字だけを羅列しても、「で、何が言いたいの?」と読み手は戸惑うこともあります。
→ 「3年間で20の自治体と連携プロジェクトを実施しました」
→ でも、それは何のため?何がその根底にあるのか?
そこで、「私たちは、地域が自立して発展していけるような支援のあり方を模索しています」など、少し抽象的な視点を足すことで、読み手がその取り組みの意義や背景を理解しやすくなります。
このように、抽象的すぎても具体的すぎても、物足りない文章になってしまうのです。
「抽象と具体」のミックスに気づいたきっかけ
この「抽象と具体のバランスが大切」だと気づいたのは、実はお笑いライブのレポートを書いていた時期でした。
当時、私は約1年間、毎月7〜8本のお笑いライブを観て、ライブレポートを書くという仕事をしていました。
レポートは、ある程度フォーマットが決まっていて、そこに情報を当てはめていくような、いわば「見えているゴールに向かって淡々と書く仕事」でした。
でも、ふと立ち止まって考えたんです。
「このレポート、誰のために書いてるんだろう?」
読む人には大きく2パターンいるはず。
・ライブに行けなかった人には、「どんなライブだったのか」が伝わってほしい
・実際に行った人には、「あの瞬間をもう一度思い出せるような」内容を届けたい
だからといって、ネタの細かい内容をすべて書いてしまうと、ただの書き起こしになってしまう。
(さらに、個人的な感想を入れすぎると、素直に情報が頭に入っていかない可能性があると思い、個人的な感想・感情は排除しました)
試行錯誤する中でたどり着いたのが、「抽象と具体をいい感じにミックスする」という書き方でした。
全体の雰囲気やテーマ(抽象)を伝えつつ、その場で起こった象徴的な出来事や空気感(具体)も盛り込む。
誰が読んでも想像できて、現場を知っている人には「そうそう、そんな感じだった!」と思い出してもらえるように。
このライブレポートの経験は、今の取材やライティングにも確実に活きています。
まとめ
誰が読んでも理解できて、かつ印象に残る文章を書くには、「抽象」と「具体」のバランスを取ることが大切です。
これは、書き手の自己満足ではなく、「読み手にどう伝わるか」を考える姿勢そのものだと私は思っています。