わたしはふだん小説などを読むときに、とくに何を意識して読むわけでもないのですが、それでも無意識のうちにチェックしているポイントが、いくつかあるような気がしてきました。
書き手が意識していない部分
このポイントは、おそらく一般的な評価の基準とはちがっています。ちがっていますが、おそらくこちらの方が正しいと実感しています。
たとえば、一般には主人公のキャラクターが立っているかどうかが問われているはずです。たしかにそれは間違いではありません。ですが、わたしはむしろ「話者」のキャラの方が重要だと考えています。そして、それを意識できているか否かが、印象にのこる作品が書けるかどうかを左右すると考えています。
作品として7つ、文章として5つ
ここでは小説を読む際のチェックポイントとして、作品そのものに対しての7つ、文章そのものに対しての5つあげてみました。
【作品として】
1 書き出し
→ 書き出しが作品世界を切り開いている/作品世界に従属している
2 話者のキャラクター
→ 立っている/フラットである
3 主人公の人間率
→ 何かの象徴である(ゴン)/内面を抱えている(キルア)
4 主人公の行動原則
→ 強い動機を持っている/受動的である
5 プロットの構成
→ プロット優位である/ストーリー優位である
6 モチーフのつよさ
→ ひとつのモチーフが全体を支配している/ストーリーに従属している
7 印象にのこるフレーズがあるか
→ 作家性のあるフレーズがある/フラットである
【文章として】
1 読みやすさ
→ 読みやすい/読み応えがある
2 時制の使い方
→ 過去形のみ/現在形も使う
3 文章の情報量
→ 情報が多い/冗長である
4 文どうしの接続
→ 連続的である/切断的である
5 段落の構成
→ 構造的である/リズムを重視
チェックポイントの下には、対立するであろう傾向を書いておきました。それを読めばわかると思うのですが、これはどちらがいいという話ではありません。作品というのは、目的に応じて手段も変わってくるからです。
たとえば私は、多くのライトノベルにあるように、一文ごとに改行していくような段落構成が苦手だと感じています。ですのでライトノベルを読むのには時間がかかります。でもその改行のリズムが心地いいと感じる読者も当然のことながらいるはずです。
このリストは完全にわたしの独断と偏見にもとづくものですが、それでもこれらの要素を意識するだけで、それまでとはちがった小説への向かい方ができるのでは、と考えています。