封筒の差出人に「パルティール債権回収株式会社」とあり、聞き覚えのない社名に戸惑って検索された方も多いと思います。パルティール債権回収は、法務大臣の許可を受けた債権回収会社(サービサー)で、カード会社や信販会社などの延滞債権を買い取ったり、回収を任されたりして請求を送ってきます。何年も前の借金であれば、消滅時効の援用によって支払う必要がなくなる可能性があります。ただ、その前に確かめておきたいことが二つあります。届いた書面が「債権を譲り受けた」という通知なのか「回収を任された」という通知なのか、そして同社の本社が2025年10月に移転していることです。本記事では、この二点を中心に、時効援用の通知書を出すまでに確かめておきたいことを順に解説します。
封筒の中の書類の題名で、相手の立場が分かります
パルティール債権回収から届く書類には、大きく分けて二通りあります。同社のホームページのQ&Aでも、心当たりのない通知が届く理由として、銀行や信販会社などから債権の管理回収を委託された場合と、債権を譲り受けた場合の両方が挙げられています。時効援用の通知書をどう書くかは、このどちらなのかで変わります。まず、封筒の中の書類の題名と、最初の数行を見てください。
「債権譲渡通知書」なら、パルティール債権回収が今の債権者です
【再現イメージ】債権譲渡通知書
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○○ ○○ 様
(譲渡人)○○○○株式会社
(譲受人)パルティール債権回収株式会社
当社(譲渡人)は、貴殿に対して有する下記債権を、パルティール債権回収株式会社(譲受人)に譲渡いたしましたので、ご通知申し上げます。今後のご連絡およびお支払いは、譲受人にお願いいたします。
債権の表示
・契約番号:○○○○
・契約日:○○○○
・残元金:○○○○
(以下略)
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※債権譲渡通知書の一般的な書き方をもとにした再現イメージ。実際の書式・文言は書面によって異なります。
債権譲渡通知書には「譲渡人」と「譲受人」が書かれています。譲渡人は、それまでその債権を持っていた会社です。譲受人がパルティール債権回収であれば、債権そのものが同社に移っていて、今の債権者は同社です。同社の「債権譲渡通知書を受け取られた方へ」というページでも、譲渡人は最初に契約した会社とは限らないと説明されています。間に別の会社をはさんで、何度か譲渡されていることがあるためです。名前に覚えがなくても、手元の古いカードの明細や信用情報と照らすと、元の契約先が分かることがよくあります。
「委託を受けました」とあれば、債権者は元の会社のままです
【再現イメージ】回収受託のご通知
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○○ ○○ 様
パルティール債権回収株式会社
○○営業所
当社は、○○○○株式会社より、貴殿に対する下記債権の管理および回収の委託を受けました。つきましては、今後のご連絡は当社までお願いいたします。
・委託元:○○○○株式会社
債権の表示
・お客様番号:○○○○
・ご請求額:○○○○
(以下略)
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※回収の委託を受けた旨の通知の一般的な書き方をもとにした再現イメージ。題名は「ご連絡」「お知らせ」などのこともあります。
同社の事業内容のページでは、回収を受託したときは債務者に「回収受託通知書」を送ると案内されています。この場合、債権は元の会社に残っていて、パルティール債権回収は回収を任されている立場です。題名は書面によって違うことがあるので、本文に「委託を受けました」「受託しました」という言葉があるかを確かめてください。
題名が「催告書」「ご請求」のように請求だけを書いた書面で、譲渡か委託かが読み取れないこともあります。その場合は、以前に届いた書類が残っていないか探すか、後で触れる信用情報の開示で、今どの会社の名前で登録されているかを確かめます。
・今の債権者
譲渡(債権譲渡通知書):パルティール債権回収
委託(回収受託の通知):元の会社(委託元)
・援用通知の宛先
譲渡(債権譲渡通知書):パルティール債権回収の本社
委託(回収受託の通知):当事務所では、督促を送ってきたパルティール債権回収の本社
・通知書の書き方
譲渡(債権譲渡通知書):債権者本人への通知として書き、元の会社を「原債権者」として添える
委託(回収受託の通知):委託元の会社名を明記し、その債権の回収を任されている同社に宛てる形にする
※宛先と書き方は、届いた書面と信用情報を見て個別に決めます。
回収を委託されている場合、パルティール債権回収は委託元のために債務者とのやりとりを行う窓口ですので、同社に届いた通知は委託元に引き継がれるのが通常です。もっとも、債権者はあくまで委託元です。ご希望があれば、同じ内容の通知書を委託元の会社にも送ります。
社名で検索して不安になったら、許可番号を照らし合わせます
パルティール債権回収は実在する会社です。法務省が公表している「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」には、許可番号113、本店所在地を東京都渋谷区恵比寿として掲載されています(令和8年8月3日現在の一覧で確認)。同社のQ&Aによると、東京証券取引所スタンダード市場に上場するJトラスト株式会社のグループ会社です。同社のホームページには、グループ・関連会社として、信用保証の日本保証やNexus Cardなどが並んでいます。
一方で、同社のホームページには、債権回収業者や弁護士を装って不当な請求をする行為への注意も掲載されています。届いた書面が本物かどうか気になるときは、書面に書かれた社名と許可番号を法務省の一覧と、電話番号を同社のホームページの営業所一覧と照らし合わせてください。書面に書かれた電話番号にすぐかけるのではなく、まず公式に載っている番号と一致するかを見るのが安全です。
反対に、本物だと分かったからといって、すぐに電話をして支払いの相談をするのはおすすめしません。理由は次の節以降でご説明します。
5年は「督促状の日付」ではなく「最後に払った日」から数えます
カードのショッピングやキャッシング、消費者金融からの借入れは、多くの場合、最後に返済した頃から5年で時効の期間が満了します(正確な起算日は、次の返済期日や、期限の利益を失った日など、契約の内容によって変わります)。2020年4月1日以降の契約は民法166条1項、それより前の契約も、相手が貸金業者やカード会社のような会社であれば改正前の商法522条により、いずれも5年が基準になります。なお、2020年3月31日以前の契約で、元の債権者が信用金庫・信用組合・信用保証協会や奨学金の貸与機関のように会社でない場合は、旧法では10年になることがあるため、元の契約先がどこかで期間が変わります。
このとき、よく誤解されることが二つあります。
一つめは、債権が譲渡されても時効はリセットされないということです。債権がカード会社からパルティール債権回収に移っても、時効の期間はそのまま引き継がれます。数え始めは、元の会社に最後に返済した時点のままです。債権譲渡通知書の日付や、パルティール債権回収との取引が始まった日から数え直すわけではありません。
二つめは、督促状が届いただけでは期間はゼロに戻らないということです。裁判の外で支払いを求める督促状は、法律上の「催告」にあたります。催告は、5年の期間が満了する前に届いた場合に、その日から6か月を経過するまで時効の完成を先に延ばすという効果しかありません(民法150条)。すでに期間が満了した後に届いた督促状は、援用の妨げにはなりません。また、延ばされた6か月の間に重ねて督促状が届いても、さらに延びることはありません。
ただし、過去に支払督促や訴訟を起こされ、判決などが確定している場合は、時効の期間はそこから10年になります(民法169条)。引っ越しの前後で裁判所からの書類に気づいていなかった、という方もいます。最後に返済した日が分からないときや、裁判の記録があるか気になるときは、CICやJICCなどの信用情報を開示して確かめます。
電話をかける前に、時効を自分で止めてしまう返答を知っておく
時効の期間が過ぎていても、援用の通知を出す前に借金を認めるような行動をとると、援用できなくなることがあります。最高裁判所の昭和41年4月20日の判決は、時効が完成した後に債務を承認した場合、時効の完成を知らなかったとしても、信義則に照らして、その後に時効を援用することは許されないとしています。
実際に問題になりやすいのは、督促状を見て電話をかけたときのやりとりです。パルティール債権回収のQ&Aや「債権譲渡通知書を受け取られた方へ」のページには、一括での支払いが難しい場合は事情に応じて返済の相談に応じる、という案内があります。回収会社としては自然な対応ですが、時効の援用を考えている方にとっては、この話に乗ること自体が借金を認めたと受け取られるおそれがあります。具体的には、毎月いくらなら払えるかを答えて分割を約束する、「まずは少しでも」と言われて少額を支払う、減額や分割の合意書に署名して返送する、といった行動です。
電話で残高や契約の内容を尋ねるだけで直ちに承認になるわけではありませんが、会話の流れで支払いの約束をしてしまう方は少なくありません。時効の援用を考えている段階では、返済の話はしない、合意書には署名しない、支払いはしない、の三つを守ってください。
一方で、書面を放置し続けるのもおすすめしません。放置している間に、支払督促や訴訟に進むことがあるためです。裁判所から書類が届いた場合の注意は、最後の節で触れます。
時効援用の宛先は、2025年10月から恵比寿の本社です
パルティール債権回収は、2025年10月6日から本社と東京営業所を移転しています。同社のホームページのお知らせと会社概要、法務省の許可業者一覧の本店所在地は、いずれも移転後の恵比寿の住所です。
・本社(2025年10月6日〜):〒150-6005 東京都渋谷区恵比寿四丁目20番3号 恵比寿ガーデンプレイスタワー5階
・移転前:品川区内の旧本社(現在は使われていません)
・営業所:東京・関西・東海・山陰・四国・九州の各営業所と、岐阜のコンタクトセンター
※2026年10月30日に同社ホームページ(会社概要・営業所ネットワーク・お知らせ)と法務省の許可業者一覧で確認。最新の情報は同社のホームページでご確認ください。
インターネット上の解説記事には、移転前の品川区の住所が載ったままのものがあります。古い記事の住所をそのまま写して通知書を送ると、転送されるかどうかも分からず、相手に届いた日がはっきりしなくなります。
また、督促状の差出人が、本社ではなく担当の営業所になっていることがあります。営業所あての通知でも同じ会社に対する意思表示であることに変わりはありませんが、当事務所では時効援用の通知書は本社宛に統一しています。そのうえで、督促状を送ってきた営業所の名前と、契約番号やお客様番号を書き添えて、どの債権についての通知なのかがすぐに分かるようにしています。
通知書は、内容証明郵便に配達証明を付けて送ります。いつ、どのような内容の通知を出し、相手にいつ届いたのかを、後から証明できるようにするためです。
通知書には、届いた書面の「債権の表示」を写します
時効援用の通知書で大切なのは、どの債権について時効を援用するのかを、相手が取り違えないように特定することです。材料は、届いた書面と信用情報にほとんどそろっています。
・宛先:パルティール債権回収株式会社の本社。督促状を送ってきた営業所名も添える
・元の会社名:債権譲渡通知書の「譲渡人」、委託の通知の「委託元」。分からなければ信用情報の登録会社名
・契約番号・お客様番号:届いた書面の「債権の表示」や、お客様番号の欄
・最後に返済した日:信用情報(CICの開示報告書の「最新支払日」など)。書面の「契約日」「取組日」は最後の返済日ではないので注意
・援用の意思:「上記債権について、消滅時効を援用します」とはっきり書く
・差出人:債務者ご本人の住所・氏名(督促状の宛名と同じ表記に合わせる)
時効の援用は、債務者ご本人の意思表示です。そのため、通知書の差出人はご本人になります。当事務所は、ご本人の名義の通知書を作成し、内容証明郵便で発送するところまでを代行します。
書き方で避けたいのは、残高を認めるような表現や、支払いの相談を書き添えることです。「残りの金額について」「今後の支払いについてご相談したい」といった一文が入ると、時効の援用と矛盾した内容になり、かえって相手に反論の材料を与えてしまいます。通知書は、債権を特定し、時効を援用するとだけ書くのが基本です。
当事務所の対応
当事務所では、消滅時効援用通知書の作成から内容証明郵便での発送までを代行しています。パルティール債権回収の新しい本社の住所も、こちらで確かめて通知書に入れます。
届いた書面と信用情報の開示書類をお送りいただければ、宛先と書き方を決めたうえで原案をご確認いただき、ご了承をいただいてから発送します。ご依頼は全国からお受けしています。
裁判所から書類が届いていたら、援用の通知書だけでは足りません
パルティール債権回収からの書面とは別に、裁判所から「支払督促」や「訴状」が届いている場合は、対応が変わります。裁判所の手続きには期限があり、支払督促であれば、受け取ってから2週間以内に「督促異議」を申し立てないと、相手は仮執行宣言を求めることができ、給与や預金の差押えに進むおそれがあります。この場合は、時効援用の通知書を送るだけでは足りず、裁判所の手続きの中で時効を主張する必要があります。
裁判所の手続きの代理や、裁判所に出す書面の作成は行政書士の業務の範囲外です。裁判所から書類が届いた方は、期限が過ぎる前に、弁護士または司法書士にご相談ください。また、すでに判決などが確定している場合は、先に触れたとおり時効の期間は10年になります。
業務範囲について:当事務所が行うのは、債務者ご本人の名義による消滅時効援用通知書の作成と、内容証明郵便による発送の代行です。行政書士は、相手方との交渉や代理、裁判所での手続きを行うことはできません。相手方が時効の成立を争っている場合や、訴訟・支払督促が始まっている場合は、弁護士または司法書士へのご相談をおすすめします。また、通知書の送付によって必ず支払義務がなくなることをお約束するものではなく、結果を保証するものではありません。
よくある質問(FAQ)
Q. 元のカード会社とパルティール債権回収、どちらに時効援用の通知を送ればよいですか?
届いた書面が債権譲渡通知書で、譲受人がパルティール債権回収であれば、今の債権者である同社に送ります。回収の委託を受けた旨の通知であれば、債権者は元の会社のままですが、当事務所では督促を送ってきたパルティール債権回収の本社宛に、委託元の会社名を明記した通知書を送っています。ご希望があれば、同じ内容の通知書を委託元の会社にも送ります。どちらか分からない場合は、以前に届いた書類や信用情報を確かめてから決めます。
Q. 書面に「当初取組日」や「契約日」が書かれています。そこから5年たっていれば時効ですか?
いいえ。契約日や取組日は取引を始めた日で、時効の期間を数え始める日ではありません。カードや借入れの時効は、多くの場合、最後に返済した頃(次の返済期日や、期限の利益を失った日など)から数えます。最後の返済日は、CICやJICCなどの信用情報を開示して確かめるのが確実です。
Q. 督促の電話に出て、つい「払います」と言ってしまいました。もう時効援用はできませんか?
時効の完成後に借金を認めると、その後の援用は許されないとした最高裁の判決があり、口頭のやりとりでも問題になることがあります。ただし、どのような言葉で何を約束したのか、支払いや書面への署名をしたのかによって判断が変わります。これ以上の約束や支払いはせず、やりとりの日時と内容を書き留めたうえで、早めに専門家にご相談ください。相手が承認を理由に争ってくる場合は、弁護士へのご相談をおすすめします。
Q. ネットで見つけた移転前の住所に通知書を送ってしまいました。出し直したほうがよいですか?
パルティール債権回収は、2025年10月6日から本社を東京都渋谷区恵比寿に移転しています。配達証明を付けていれば、まず配達されたかどうかを確かめてください。届いていない場合や、届いたかどうかがはっきりしない場合は、恵比寿の本社宛に改めて送ることをおすすめします。
Q. 裁判所から「支払督促」が届いています。時効援用の通知書を送れば大丈夫ですか?
いいえ。支払督促は、受け取ってから2週間以内に督促異議を申し立てないと、相手が仮執行宣言を求めて差押えに進むおそれがあります。通知書を送るだけでは足りず、裁判所の手続きの中で時効を主張する必要があります。裁判所の手続きは行政書士の業務の範囲外ですので、期限が過ぎる前に弁護士または司法書士にご相談ください。
ご相談について
SG行政書士法務事務所では、消滅時効援用通知書の作成と、内容証明郵便による発送を代行しています。パルティール債権回収をはじめ、債権回収会社から督促状や債権譲渡通知書が届いてお困りの方は、届いた書面と信用情報の開示書類をもとに、援用の通知書を出せる状態かどうかを確認のうえで、宛先と書き方をご案内いたします。ココナラの出品サービスよりお気軽にご相談ください。
執筆:行政書士 重松 祐達(SG行政書士法務事務所 代表)
日本行政書士会連合会 第23191059号 / 愛知県行政書士会 中央支部 第6790号
消滅時効援用通知書の作成と内容証明郵便の発送代行を、全国から受任しています。本記事の会社情報は、2026年10月30日にパルティール債権回収株式会社のホームページと法務省の公表資料で確認した内容です。行政書士は相手方との交渉・代理や裁判所での手続きを行うことはできず、訴訟などが必要な場合は弁護士または司法書士へのご依頼をご検討ください。
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言を構成するものではありません。時効の成否は、契約の内容、最後の返済日、裁判手続きの有無、債務の承認の有無など個別の事情によって異なり、時効援用通知書の送付によって支払義務がなくなることを保証するものではありません。当事務所は書類の作成・発送代行を行うものであり、相手方との交渉・代理は行いません。掲載した書面の画像は一般的な書き方をもとにした再現イメージで、実在の書面ではありません。本記事の内容は作成時点の情報に基づいており、法令や各社の所在地・運用の変更により内容が変わる場合があります。