僕が、僕の本音を見つけるまで。〜宮古島編②

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初めての休日になった。

僕は同僚と、新城という海へ向かった。

「新城」と書いて「アラグスク」と読む。

地元でも結構、有名な海だった。

僕たちは、着いて早々に潜りはじめた。

透明な海の中を潜っては、色とりどりの魚やカメを見つけた。

同僚は何度か来ていたらしいが、楽しんでいるように見えた。

僕は20分くらいで海から上がり、遠くから、まだ潜っている同僚を眺めていた。

海中の塩分濃度が高かったのか、乾いてきた肌はベタついた。

この時、僕はひとり浜辺に座り込み、がっかりしていた。

出てきた言葉は「こんなもんなのか」だった。

心から宮古島の海を見たいと思ったのに、自分が望んで来た場所だったはずなのに。

その程度の感想にしかならなかった。

来るかどうかを何度も悩んで、考えて、それでも行きたいと思って踏み出した一歩が、すべて”無”に帰するような錯覚に陥った。

呆然とした。

「やっとの思いで行動したのに、なんの収穫も得られなかった」

僕は、島に来た意味を見失っていた。


今だからわかるが、当時の僕は、
島に来る前から期待を膨らませ過ぎており、何かを掴もうと意気込みすぎていたのだった。


遠くでシュノーケリングを楽しむ同僚がみえた。

僕は一人、虚しい気持ちで浜辺にいた。

「ずっと座っていても仕方ないから、一旦、歩こう…」

おもむろに立ち上がり、なんとなく浜に沿って歩きはじめた。

うっそうと茂る木々の前を通りすぎ、しばらく行くと、開けた場所に着いた。

その場所からは、今まで、木々で遮られて見えなかった大きな岩山が見えた。

その岩肌はゴツゴツしていて荒々しく、所々には苔が生えていた。

まるで大地が躍動しているようで、強い存在感があった。

僕は岩山に見惚れながら、
「ああ、人間は所詮、この壮大な地球の一部にしかすぎないんだな」そう思った。

まるで「ふわふわと宙に浮かび、高い所から世界を見下ろしているような感覚」だった。

圧倒的な自然の存在を前に、僕の小さな悩みはどうでも良くなりそうだった。

そして、何かの引っかかりが取れたかように「僕は山が好きだったんだ」と分かった。

その瞬間、心がスッと軽くなり、安心した気持ちになった。

さまざまな葛藤の末に選んだ、宮古島はへの旅は、

きちんと次の道を示してくれたのだった。





続く。

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