ふっ、と足元がなくなる。
内臓だけが置いていかれるような感じがして、体がびくんと跳ねて——目が覚める。
そして、たいてい心臓が速い。
起きてすぐ、検索してしまう。 「高いところから落ちる夢 意味」と。
そこで出会うのは、たいていこういう言葉です。 「転落の暗示」「地位や立場を失う」「自信をなくしている証拠」。
わたしは夢読みタロット鑑定師の月白(つきしろ)と申します。 今日はこの夢について、少し違う角度からお話しさせてください。
まず、体のことをひとつだけ
夢の意味に入る前に、現実的なことを先に置かせてください。
眠りに落ちるとき、体がびくんと跳ねることがあります。 これは「入眠時ジャーキング」と呼ばれる現象で、 眠りに入る境目で、脳から体へ誤った指令が出て起きるものと考えられているそうです。
そして、そのときの感覚を「落ちている」と受け取ることがあると言われています。 つまり、落ちる夢を見たから体が跳ねたのではなく、 体が跳ねたから落ちる夢になった——という順番のこともあるわけです。
大切なのは、これはほとんどの人が経験するもので、基本的には病気ではないとされていることです。 疲れているとき、ストレスが強いとき、寝る姿勢が窮屈なときに起こりやすいそうです。
ですので、心当たりがあるなら——
最近、いつもより疲れていませんか
寝る前まで気を張っていませんでしたか
ソファやこたつで、無理な姿勢のまま寝入っていませんでしたか
まずそこを確かめてみてください。
ただし、ビクッとなることが頻繁で、そのたびに目が覚めて眠れないという状態が続いているなら、 睡眠外来などで相談できます。占いは、その代わりにはなりません。
そのうえで、「たまに見る」「今回のはやけに印象に残った」という夢でしたら、 ここから先を読んでいただけたらと思います🌙
「転落」「失う」とは、わたしは読みません
はっきりお伝えしておきたいことがあります。
この夢を「これから何かを失う予告」としては読みません。
「地位を失う」「信用をなくす」「今の生活が崩れる」—— そういう読み方は、当たっても外れても、読んだ人の役に立たないと思っています。
当たれば「やっぱり」と苦しくなるだけですし、 外れれば、そのあいだ抱えていた不安が丸ごと無駄になります。
夢は予告ではなく、いまの状態のほうを映しているものだと、わたしは考えています。
あなたはまだ、落ちていません
ここで、思い出していただきたいことがあります。
その夢、地面に着きましたか。
落ちる夢を見た方に伺うと、ほとんどの場合、こう返ってきます。 「着く前に目が覚めました」。
これは、とても大事なことだと思っています。
夢は、落ちた結末を見せていません。 見せているのは、足場が崩れた瞬間と、宙にいるあいだの感覚だけです。
もし本当に「失う」ことを告げたいのなら、 夢はわざわざ着地の手前で終わらせないはずです。
まだ何も終わっていない場面を、繰り返し見せている。
わたしはそちらのほうに意味があると思っています。
落ちるには、まず高いところにいなければならない
もうひとつ、見落とされがちなことがあります。
落ちる夢を見た人は、その夢の中で、高いところにいたということです。
ビルの上、崖の縁、階段の途中、足場の上。 場所はさまざまですが、共通しているのは「登っていた」ということです。
平地にいる人は、落ちる夢を見ません。
いま何かに挑んでいる、責任のある場所にいる、 慣れないことを引き受けている——そういう時期ではありませんか。
落ちる感覚は、高いところにいる人にしか訪れません。 それは、こわいことであると同時に、そこまで来たという事実でもあります。
わたしなら、こう読み解きます
こうした夢に寄り添うように出てくるのが、「愚者」というカードです。
若い旅人が、崖のふちで片足を踏み出しかけている絵柄です。 足元では白い犬が吠えていて、それでも本人は空のほうを見上げています。
落ちそうな場所に立っているのに、この人は下を見ていません。
そしてこのカードの番号は、0番です。 まだ何も始まっていない、という番号を与えられています。
このカードが出たとき、わたしはこう読み解きます。
崖のふちは、終わりの場所ではなく、始まりの場所。
足元の犬は、危険を知らせています。でも、引き止めてはいません。 こわさを知らせながら、それでも一緒に行こうとしている。
落ちる夢は「気をつけろ」でも「もう終わりだ」でもなく、 「いま、ふちに立っている」という現在地の報告——わたしはそう受け取ることが多いです。
今日できる、小さな一歩
ひとつだけ、試していただきたいことがあります。
落ちる直前、自分がどこに立っていたかを思い出してみてください。
ビルの屋上でしたか。崖でしたか。階段の途中でしたか。 それとも、足場のようなものの上でしたか。
思い出せたら、その場所の感じを、いまの生活のどこかに当ててみてください。
高くて見晴らしがよかったなら、得たものがある場所かもしれません
狭くて不安定だったなら、支えが足りていない場所かもしれません
自分で登ったのか、気づいたらそこにいたのか——それも情報です
落ちたことではなく、どこから落ちたか。 そちらを見てみてください。
おわりに
落ちる夢を見たからといって、あなたが転落するわけではありません。
むしろ、落ちる心配ができる場所まで来ている、ということでもあります。
夢は、あなたを脅かすために来るのではなく、 いまどこに立っているかを教えに来る——そんなふうに読み直していただけたら、うれしく思います🌙
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最後までお読みくださって、ありがとうございました。
月白