Love Me Do批判と安倍元首相襲撃事件から考える、占星術の予測と限界

Love Me Do批判と安倍元首相襲撃事件から考える、占星術の予測と限界

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占い

占い師は「視えて」いなければ偽物なのか?

占い師という言葉から、霊視や透視のような能力を思い浮かべる人は多い。

相談者が何も話していないのに過去を言い当てる。
未来に起きる出来事が映像のように見える。
事件の真犯人や、隠されている事実まで分かる。

そうしたサイキックな能力こそ、占い師として最も優れた力だと思っている人も少なくないように見える。

以前、スピリチュアル業界を批判している某YouTubeチャンネルで、Love Me Do氏の予測が取り上げられていた。

Love Me Do氏、通称ラヴちゃんは、占星術をはじめ、四柱推命、九星術、風水、手相、タロットなど、複数の占術を使って未来予測を行っている人物である。

動画のコメント欄には、
「ラヴちゃんは視えていない。」
という趣旨の批判があった。

それを見て、少し妙な気分になった。

それを見て、少し妙な気分になった。

そりゃあ、少なくともラヴちゃんは、霊視によって未来の映像を受け取ることを主力としている占い師ではない。

本人に何らかの感覚的な能力があるかどうかは、また別の話である。

そもそも、霊視を売りにしていない占星術師を「視えていない」という理由で評価すること自体、採点基準がずれている。

占星術は霊視ではない


占星術では、生年月日、時刻、場所から天体の位置を計算する。

どの星がどの星座にあるのか。
どのハウスに入り、どの惑星と関係しているのか。
現在の星の動きが、出生図や国家図へどのような刺激を与えているのか。
そうした情報を重ねながら、現実に起こり得る出来事を考えていく。

占星術師が行っているのは、未来の映像を眺めることではない。
象徴を読み、複数の可能性を比較し、現実へ置き換える作業である。

もちろん、占星術師の中には霊感や直感を併用する人もいる。
ただし、それはその人個人の感覚であり、占星術という技術そのものとは分けて考えた方がよい。

火星が強く刺激されているからといって、火災だけが起きるわけではない。
火星には、火、熱、刃物、武器、争い、事故、手術、破壊、行動といった複数の意味がある。

水星も、言葉だけではない。
情報、通信、交通、契約、商取引、システム、若者など、多くの意味を持つ。

一つの配置が、地震、火災、事故、交通障害、設備故障など、複数の現象と結びつくことはある。

だから、占星術師が複数の可能性を挙げたからといって、

何も視えていない。
外れた時の逃げ道を作っている。

と決めつけることはできない。
そもそも霊視をしているわけではないのだから。

「地震、火災、事故」と言っておけば当たるのか


ただし、前述のYoutubeチャンネルを運営するK氏の批判に、もっともな部分がないわけではない。

地震、火災、事故、噴火、交通障害、通信障害...など。
これだけ広い範囲の出来事を並べておけば、どれか一つくらいは起きる。
起きたものだけを拾い上げて、「予言が当たった」と言っているのではないか。

確かに、期間も地域も規模も示さず、
近いうちに地震、火災、事故などに注意。
とだけ書いておけば、外す方が難しい。

日本では小さな地震が日常的に起きている。

火災や交通事故、設備故障、通信トラブルも、毎日のようにどこかで発生している。
予測した後にニュースを探し、その中から都合のよいものを選べば、何でも的中にできる。

ここについては、占う側が真剣に受け止めなければならない。
占星術の象意が広いことと、何が起きても当たりになることは別である。
予測として発表するなら、少なくとも、

いつ頃なのか、どの地域なのか、どの分野へ出やすいのか、
どの程度の規模を想定しているのか、
何も起きなかった場合、外れと認めるのか。

ある程度は事前に線を引く必要がある。

地震を予測していたのに火災が起きたから、火星の象意として的中。
交通障害を予測していたのに政治家の失言が報道されたから、水星の象意として的中。

予測時には書いていなかった意味を、結果が出てから付け足していけば、占いは絶対に外れなくなる。
外れることのない占いは、検証することもできない。

僕が災害や社会情勢の予測を出した後、可能な限り検証記事も書いているのは、そのためである。

当たった部分を自慢したいだけではない。
予測した規模より小さかった。
時期がずれた。
地域が違った。
想定した出来事が起きなかった。
国家図に出ていた象意を、全国規模の事件だと大きく読み過ぎた。

そうした部分も残さなければ、次の予測の精度は上がらない。

K氏の批判を、占星術を知らない人の誤解だと切り捨てるだけでは足りない。
動画として分かりやすい批判軸ではあるが、占星術と霊視を同じ基準で評価すれば、批判の対象そのものを取り違える。

一方で、霊視のように一つの未来を言い当てなかったからデタラメだ、という批判も成立しない。
占星術の仕組みを理解した上で、批判する部分と評価する部分を分ける必要がある。

ラヴちゃんは本当に「視えていない」のか


では、ラヴちゃんは実際にどのような能力を使う人物なのか。

本人の出生時刻は公表されていない。そこで、公開されている経歴や活動時期を公人用レクティファイへ入力し、出生時刻の候補を絞った。

もちろん、これは本人や家族が確認した出生時刻ではない。公開経歴から導いた検証用の推定時刻である。

この時刻を使ってホロスコープを出すと、ラヴちゃんには確かに、目に見えない気配を拾うような感受性が表れている。
なお、ホロスコープから判断できるのは、感受性や直感の使い方であって、霊視能力の存在を証明できるわけではない。

西洋占星術では魚座がアセンダントとなり、海王星が天頂付近にある。
水星と海王星の関係もあり、言葉、象徴、イメージ、直感を結びつける力は強い。

何も感じない人というよりは、雰囲気や時代の流れを感覚的に拾いやすい人だろう。

ただし、インド占星術で特に強く出ているのは、霊視よりも分析力である。

水瓶座ラグナに対し、第8室乙女座に入る水星が非常に強い。
水星は自分の星座にあり、高揚域でもある。

隠されている法則を調べる。
複数の情報を分類する。
一見無関係な出来事のつながりを見つける。
曖昧な感覚を言葉へ変換する。

そうした能力が目立つ。

第10室のラーフも、占い、予測、オカルト、社会の裏側といった分野を職業として扱う力を強めている。

木星は魚座の自室で第2室にあり、本人の根本的な使命を示すアートマカーラカも木星だった。

知識や思想を、言葉、声、出版、教育を通して人へ渡すことが、人生の中心になりやすい。

紫微斗数では、命宮に破軍。
身宮は官禄宮に入り、貪狼が旺となる。

一つの肩書に収まるより、芸人、占い師、作家、タレント、予測者、歌手と、活動領域を広げていく方が自然な人物である。

以上をまとめると、ラヴちゃんにはサイキックに近い感受性はありそうだ。

ただし、

未来の映像がはっきり視える。
霊が答えを直接教えてくれる。

という霊視型が中心ではない。

断片的に感じ取ったものを、占術の知識、情報、象徴と結びつけ、意味のある言葉へ変換するタイプだと思う。

つまり、視えている人というより、読み取っている人

ラヴちゃんを評価するなら、霊が視えるかどうかではなく、複数の占術から何を読み、どこまで可能性を絞り込み、どのように人へ伝えたかを見るべきなのだろう。

ラヴちゃんの天命と使命


ラヴちゃんは、占い師にかなり向いている。

ただし、静かな部屋で一対一の霊視鑑定だけを続けるタイプではない。
占いを、テレビ、出版、動画、トーク、キャラクター、音楽へ広げていく方が合っている。

彼の使命は、
見えない流れや複雑な象徴を、普通の人にも届く言葉と娯楽へ変換すること。

未来を一つ残らず言い当てる予言者になることではない。

今、社会にどのような気配が流れているのか。
何が起こりやすい時期なのか。
人はどのように備え、どう動けばよいのか。
難しい占術の理屈を、キャラクターや笑いを交えながら大衆へ届ける。

占いを一部の専門家や霊能者だけのものにせず、大衆文化へ翻訳することが、ラヴちゃんの天命に近いように見える。

だからこそ、「視えていない」という批判は、やはり的がずれている。

「視える人」が最も優れているのか


サイキックな能力が存在しないと言いたいわけではない。

実際に、説明の難しい感覚や体験を持つ人はいるだろう。
ただ、霊視ができることと、占い師として優れていることは同じではない。
強く断言する人ほど、本物に見えやすい。

真犯人は別にいる。
政府は真相を隠している。
私にはすべて視えている。

ここまで言い切る人の方が、

この配置からは複数の可能性が考えられる。
物理的な事実については証拠が必要になる。

と話す人より、能力が高そうに見える。

しかし、断言の強さと正確さは別である。

本人に何かが視えたとしても、それだけで第三者が確認できる事実にはならない。
霊視にも検証が必要である。
「私には視えた」という言葉を、証拠の代わりにしてはいけない。

ここまでの話は、ラヴちゃんへの批判だけで終わるものではない。

占い師は本物であれば、隠された真実まで見抜けるはずだ。
事件を占えば、真犯人や、公表されていない事実まで分かるはずだ。

そうした期待は、事件や犯罪を扱う占断にも持ち込まれる。

しかし、ホロスコープが事件の性質を示すことと、物理的な事実を特定することは同じではない。
以前取り上げた安倍晋三元首相襲撃事件は、その境界を考える上で分かりやすい例だった。

安倍元首相襲撃事件で残った疑問


ここで、以前取り上げた安倍晋三元首相襲撃事件へ戻りたい。

事件図、安倍氏、山上徹也被告、旧統一教会の組織図を重ねると、政治的権威への攻撃、家庭と献金をめぐる傷、教団と政治の関係、それまで隠されてきた問題が一気に表面化する流れが強く出ていた。

ところが、記事を公開したあとも、僕の中には一つの引っかかりが残った。

山上被告が現場で安倍氏へ向けて発砲したこと。
安倍氏の致命傷となった弾丸を撃ったのが山上被告であること。
この二つは、本当に同じなのだろうか。

元航空自衛官を名乗るYouTuberが公開していた動画があるので興味のある方は実際に動画を見て判断してほしい。

山上被告の位置、手製銃の構造、安倍氏の傷の位置、警護の動き。

そうした点から、報道されている事件像へ疑問を示し、別方向からの射撃でなければ難しいのではないかという趣旨の話をしていた。

その見立てが正しいと断定するつもりはない。

射撃経験があることと、法医学、司法解剖、弾道鑑定を専門にしていることは別である。
動画を見ただけで、「別の射手がいた」と結論づけることもできない。
ただ、経験のある人物が抱いた疑問まで「陰謀論」の一言で捨ててよいのかという問題は残る。

では、ホロスコープを見れば真相が分かるのか。

ここで、占星術と霊視を混同してはいけない。
事件図に秘密や情報の錯綜が出ていたとしても、別の射手の顔や発射位置が映像のように見えるわけではない。

誰が、どこから、どの弾丸を撃ったのか。
そこには映像、物証、法医学、弾道鑑定が必要になる。

ホロスコープが映す三つの現実

事件を占断する際には、少なくとも三つの現実を分けた方がよい。

一つ目は、物理的な現実。
誰が、どこから、どの武器を使って発砲したのか。
どの弾丸が、どの角度から体内へ入り、どの傷が死につながったのか。
これは法医学や弾道鑑定の領域である。

二つ目は、司法上の現実。
集められた証拠を裁判所がどう評価し、誰の行為によって結果が生じたと認定するのか。

三つ目は、社会で現実化した出来事。
元首相が街頭演説中に襲撃された。
逮捕された人物が旧統一教会への恨みを語った。
高額献金や宗教二世の問題が大きく報じられた。
政治家と教団関連団体の関係が明るみに出た。
行政や司法が動き、教団の社会的信用が崩れていった。

事件のホロスコープが最も強く映していたのは、三つ目だったのではないかと思う。

弾丸が何度の角度から入ったのかではない。
事件によって社会の何が破裂し、何が後戻りできなくなったのか。
そこが図には強く表れていた。

秘密を示す星が出たら陰謀なのか


占星術には、秘密、混乱、隠された動機を示す配置がある。

第8室や第12室。
ラーフやケートゥ。
西洋占星術であれば海王星。
水星への強い障害。

こうした配置が事件図にあれば、公表されていない何かがあるのではないかと考えたくなる。

ただし、同じ配置は、現場の混乱、初期報道の誤り、捜査上公開できない情報、証拠不足、当事者にも整理できていない動機としても出る。

SNSで広がる誤情報や陰謀論そのものが、混乱の象意として現れる可能性もある。

秘密を示す配置があることと、別の射手がいた。
と結論づけることの間には、大きな距離がある。

星は、秘密の存在を示すことはあっても、その中身まで自動的に説明してはくれない。

星は証拠を出さない


占星術は、何でも見抜く超能力ではない。
証拠がない場所へ、もっともらしい答えを作る道具でもない。

占星術から読めるのは、その出来事がどのような性質を持ち、誰の人生と結びつき、何が壊れ、何が表面化し、その後どのような流れが始まったのかということだと思う。

時には、「ここには、まだ説明し切れていない何かがある。」と疑問を示す。

ただし、その疑問を事実へ変えるには、別の証拠が必要になる。

星は証拠を出さない。

ただ、どこを見るべきかを示すことはある。
予測したなら、当たりだけでなく外れも残す。
結果を見た後で、予測の意味を無制限に広げない。

霊視をしていない占い師へ、「視えていない」と批判しない。
視えたと主張する人の言葉も、無条件には信じない。
疑問と事実。
予測と事後分析。
直感と検証。

その境界を守ることも、占い師の技術の一部なのだと思う。

占い師は、何でも知っているように振る舞う人ではない。
何が分かり、何がまだ分からないのか。
そこを区別しながら、象徴の中から現実に役立つものを取り出す人だと思う。

今回のLove Me Do氏のように、出生時刻が公表されていない人物については、経歴や人生上の出来事から出生時刻の候補を絞る「レクティファイ」という方法もある。

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