『好き』だけでは続かないし、『嫌い』だからやめるわけでもない

『好き』だけでは続かないし、『嫌い』だからやめるわけでもない

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コラム
世の中には、
「好きなことを仕事にしよう」
という言葉があります。
逆に、
「嫌なら辞めればいい」
という言葉もあります。

私自身は、どちらも
間違っているとは思いません。
実際、
好きだから頑張れることもあるし、
嫌な環境から離れることで、
人生が楽になることもあります。

でも、
私はずっと、
少し違和感を持っていました。

人間って、
そんなに単純な生き物だろうか。

好きか嫌いか。
続けるか辞めるか。

本当に、
そんな分かりやすい基準で、
生きているのだろうか、と。

例えば、
昔、夢中になっていた趣味。
憧れて始めた仕事。

最初は、
寝る時間を削ってでも続けていた。

誰に言われなくても、
自然と頑張れた。

でも、
ある日、
急に苦しくなることがあります。

面倒になる。
距離を置きたくなる。
好きだったはずなのに。

そんな自分に、
戸惑ったことがある人も、
少なくないのではないでしょうか。

好きなのだから、
続けられるはず。

そう思いたい。

でも、
現実は、
案外そうでもありません。

好きなものほど、
期待が大きくなる。
失敗が怖くなる。
失いたくなくなる。

好きという気持ちだけでは、
抱えきれなくなることもあるのです。

逆に、
嫌いなのに、
なぜか手放せないものもあります。

向いていない仕事。
疲れる人間関係。
もう終わった方がいいと、
頭では分かっている恋愛。

外から見ると、
「そんなに嫌ならやめればいいのに」
と思うかもしれません。

でも、人間は、
好き嫌いという感情だけで
行動を決めているわけではありません。

安心。
習慣。
責任。
期待。
あるいは、
そこにいた時間そのもの。

嫌いだけれど、
失うのが怖い。

苦しいけれど、
変わるのはもっと怖い。

そういう矛盾した気持ちを抱えながら
私たちは日々を生きています。

だから、
私は時々、
好きとか嫌いとか、
そういう言葉は、
人間の感情を、
少し単純化しすぎているのかもしれない
と思います。

好きだけど、苦しい。
嫌いだけど、安心する。
辞めたいけど、失いたくない。
続けたいけど、疲れている。

どれも、
おかしなことではなくて、
むしろ、
人間らしい感情なのではないでしょうか。

感情は、
きれいに整理された
箱のようなものではなく、
いくつもの気持ちが、
混ざり合ったまま存在している。

私は、そう感じることがあります。

世の中は、
分かりやすい言葉が好きです。

好きなら続けよう。
嫌ならやめよう。

その方が、
迷わなくて済むから。

でも、
実際の人間は、
その間で、
ずっと揺れています。

好きでも嫌いでもない。
続けたいけれど辞めたい。
どちらとも言えない。

そんな曖昧な場所に、
長い時間立ち尽くすこともあります。

私は、
そういう曖昧さを、
無理に整理しなくてもいいのではないか
と思っています。

好きか、嫌いか。
続けるか、やめるか。

その答えを急ぐより、
なぜ自分がそこで揺れているのか。

何を失いたくなくて、
何を恐れているのか。

そんなことを、
少し眺めてみる。

すると、
すぐに答えは出なくても、
自分という人間の輪郭が、
少しだけ見えてくることがあります。

人間は、
好き嫌いだけで動く生き物ではない。

合理的な判断だけで、
人生を選ぶ生き物でもない。

矛盾していて、
曖昧で、
時々、
自分でも自分が分からない

でも、私は、
そういう人間という存在そのものが、
好きだったりします。

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