犬や猫との暮らしを考えるとき、最初に目に入りやすいのは、生体の販売価格です。しかし、家計への影響は、迎え入れた後の食事、予防、通院、住まい、世話を頼む費用まで含めて考える必要があります。
ペット保険契約者を対象にした2025年の調査では、年間支出は犬が約41.3万円、猫が約19.5万円でした。この年額が15年間続くと仮定すると、飼育費の単純試算は犬が約620万円、猫が約293万円になります。生体購入費などは別です。
大切なのは、わが家で必要な費用を見積もり、教育費や住宅ローン、老後資金と両立できる計画をつくることです。この記事では、確認できた調査結果と、家計を考えるためのポイントを解説します。
目次
1. 【結論】購入価格から毎月の飼育費と医療費から、飼い主の老後資金への影響まで検討しましょう。
2. 迎え入れ費用は生体価格と付帯費用を分けて確認する
3. 譲渡で迎える場合も費用と条件を確認する
4. 犬と猫の毎月の飼育費はいくらか
5. 生涯の飼育費を15年と20年で試算する
6. ペットを迎えると家計の貯蓄余力はどう変わるか
7. 医療費は保険と預貯金を組み合わせて備える
8. 飼い主の入院や死亡に備えて託し先を決める
9. 迎える前に家族で確認したいこと
10. ペットとの暮らしをライフプランに組み込む
11. Q&A よくある質問
【結論】購入価格から毎月の飼育費と医療費から、飼い主の老後資金への影響まで検討しましょう。
迎え入れ費用は生体価格と付帯費用を分けて確認する
生体の販売価格は、品種、年齢、健康状態、販売店やブリーダーの条件などで異なります。表示価格にワクチン、検査、マイクロチップ、用品セットなどの費用が含まれているか、追加契約があるかを見積書で確認しましょう。
次の表は、購入して迎える場合の予算づくりの例です。販売相場や調査平均、実際の見積価格ではありません。
迎え入れ時の予算項目 犬の仮定 猫の仮定
生体購入費 30万円 20万円
ケージ トイレ キャリー等の用品 5万円 5万円
初回診療 予防 手続等の予算枠 5万円 5万円
迎え入れ時の合計 40万円 30万円
用品には、犬なら首輪やリード、猫なら爪とぎや脱走防止用品なども含めて考えます。
不妊・去勢手術などを予定する場合は、実施済みか、今後の費用はいくらかも確認してください。
譲渡で迎える場合も費用と条件を確認する
保護犬・保護猫の譲渡でも、検査や予防、手術などに関する費用が必要な場合があります。例えば、長野県動物愛護センターの案内では、譲渡に係る料金は犬1頭13,000円、猫1匹12,000円です。これは同センターの実例であり、全国共通の料金ではありません。
同センターは、不妊・去勢手術、検査、ワクチン接種、マイクロチップ装着を済ませた犬・猫を譲渡対象とし、県内在住の18歳以上、家族全員の賛成などの条件を設けています。
譲渡先ごとに対象者と負担内容を確かめ、家族との相性や飼養環境も含めて検討しましょう
犬と猫の毎月の飼育費はいくらか
大手ペット保険会社が2026年3月に公表した「2025最新版 ペットにかける年間支出調査」では、次の結果が示されています。
月額は年額を12で割った独自計算です。
2025年の調査結果 犬 猫
1頭あたり年間支出 413,416円 195,427円
月換算 四捨五入 約34,451円 約16,286円
調査は同社のペット保険契約者が対象で、全動物種を合わせた有効回答数は5,494件です。全国の飼い主全体を代表する平均や、飼育に必要な最低額を示すものではありません。総額にはペット保険料も含まれているため、同じ年額を使うときに保険料を重ねて加算しないよう注意します。
フード以外に見込む主な支出
・食事と消耗品 フード、おやつ、猫砂、ペットシーツ、清掃用品
・健康管理 診療、検査、薬、予防、必要に応じたペット保険
・日常のケア トリミング、爪切り、しつけ、用品の買い替え
・生活環境 飼育に伴って増える冷暖房、移動、ホテル、シッター
犬種や体格、被毛の手入れ、健康状態、留守番の時間などで必要額は変わります。
犬・猫という区分だけで決めず、迎える予定の個体に合った見積もりを取りましょう。
生涯の飼育費を15年と20年で試算する
生涯に必要な金額は、何年一緒に暮らすかによって変わります。ここでは前述の年間支出が一定のまま続くと仮定し、15年と20年の2通りで計算します。
15年・20年は予算を考えるために設定した期間であり、平均寿命の予測ではありません。
年間支出を一定とした独自試算 犬 猫
15年間の飼育費 約620.1万円 約293.1万円
20年間の飼育費 約826.8万円 約390.9万円
計算方法は、年間支出×飼育年数です。生体購入・譲渡の費用、住み替え、葬送などは別途検討し、将来の値上がりや高齢期の医療・介護費増加は反映していません。
例えば、生体購入費だけを犬30万円・猫20万円と仮定して加えると、15年間では犬約650万円、猫約313万円です。ここに、年間支出と重複しない初期費用などを見込みます。
物価上昇と高齢期の支出も確認する
仮に年間24万円の飼育費が毎年2%ずつ増えると、15年間の合計は約415万円です。年額一定なら360万円なので、差は約55万円になります。
高齢期には通院や介護の支出に加え、飼い主が付き添う時間も必要になることがあります。平均額だけで判断せず、かかりつけの動物病院への相談と、家族の世話の分担を予算計画に組み込みます。
ペットを迎えると家計の貯蓄余力はどう変わるか
毎月の収入からペット費用を支払えても、その分だけ教育費や老後資金に回せる金額が減ることがあります。迎える前と後で、年間の貯蓄額を比較してみましょう。
次は、世帯の手取り収入が月35万円、ペット以外の生活費が月27万円の家庭で、犬か猫を1頭迎える場合の例です。飼育予算は調査の月換算を参考に丸め、さらに予備資金を積み立てる仮定です。
月単位の家計例 迎える前 犬を迎えた後 猫を迎えた後
手取り収入 35万円 35万円 35万円
ペット以外の生活費 27万円 27万円 27万円
ペットの飼育予算 0円 3.5万円 1.7万円
ペット用の予備資金積立 0円 0.5万円 0.5万円
その他の貯蓄等に回せる額 8万円 4万円
※-4万円 5.8万円
※-2.2万円
※迎える前と比べた場合の減少金額
この仮定では、その他の貯蓄等に回せる額は年単位で犬が48万円、猫が26.4万円減ります。ただし、毎月5,000円の予備資金積立は支出ではなく、ペット用に用途を分けた貯蓄です。実際に使うまでは家計の資産として残ります。
月5,000円の予備資金積立は一例であり、必要額がそれで足りるとは限りません。保険の補償内容、病院の見積もり、すでに保有する預貯金に応じて決めます。
医療費は保険と預貯金を組み合わせて備える
ペット保険を検討するときは、現在の保険料だけでなく、補償割合、自己負担、限度額、通院の有無、対象外の病気・処置、加入・更新条件を確認します。
年齢が上がった後の保険料も、商品の資料で確かめましょう。
また、ペット保険の種類によっては、予防目的のワクチン、不妊・去勢手術、健康診断などは補償対象外です。対象範囲は商品によって異なるため、実際に契約する保険の約款や重要事項説明書で確認してください。
保険に加入しても、必要な費用をすべて賄えるとは限りません。近く支払う可能性のある診療費や預かり費用は、必要なときに引き出せる預貯金で準備し、長期の資産運用資金とは分けて管理すると、急な支払いに対応しやすくなります。
飼い主の入院や死亡に備えて託し先を決める
飼い主の不在や入院の備えて、一時的な預け先、かかりつけの動物病院、ホテルやシッターを事前に確認することが良いです。
自分に何かあったときの連絡先と費用の出し方まで決めておくと、家族や支援者が対応しやすくなります。
・一時的に世話を頼める人と、その人が難しい場合の預け先
・フード、投薬、健康状態、かかりつけ病院をまとめた記録
・飼育費用の保管場所と、緊急時の連絡・支払い方法
・長く飼えなくなった場合に引き受ける人や施設と、その承諾
必要に応じて、遺言や信託などを使った資金の備え方を専門家と検討する方法もあります。
誰に託すか、その人が引き受けられるか、費用をどう管理するかを一緒に整理しましょう。
迎える前に家族で確認したいこと
・生体購入費または譲渡費用と、追加費用を見積書で確認した
・住まいの飼育条件を満たし、毎日の世話を分担できる
・食事、予防、医療、保険、手入れを含む年間予算をつくった
・急な支払いに使える預貯金と、予備資金の目標額を決めた
・教育費、住宅費、退職後の家計と飼育費の重なりを確認した
・入院・長期不在・死亡に備える託し先と連絡先を決めた
費用と世話の見通しが立てば、迎え入れた後の家族の役割も具体的になります。
動物の一生を支える計画として、お金と時間の両方から準備しましょう。
ペットとの暮らしをライフプランに組み込む
「ペットを迎えても、教育資金や老後資金を準備できるだろうか」「住宅購入と両立できるだろうか」。
そんなときは、ペット費用を加えた年間の収支と、将来の資産残高を確認してみましょう。
PrivateFp 合同会社の総合ファイナンシャル・プランニングでは、ご家族の希望や優先順位を伺い、家計、ペット、住宅、教育、保険、資産運用、老後資金などを一つの計画として整理します。
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