1.入社1〜2年目で、辞めたい気持ちが出てきたあなたへ
入社して、一年か二年。仕事にも慣れてきた頃に、ふと考える。この会社で、本当にいいのだろうか。向いていない気がする。成長している実感がない。人間関係がつらい。でも、周りからは「最低でも三年は続けたほうがいい」と言われる。親にも、上司にも、そう言われた。辞めたら、逃げたと思われるのではないか。そう悩んで、動けなくなっている人は多いです。
2.「石の上にも三年」が言われ続ける理由
「石の上にも三年」という言葉には、もっともな面があります。仕事を覚えて、一人前に任されるまでには、ある程度の時間がかかります。一年目は、仕事の全体像をつかむ段階。二年目で、ようやく自分で判断できる場面が増える。三年目で、成果を出し始める。そんな流れが、多くの職場にあります。
また、短期間で転職を繰り返すと、「すぐ辞める人」という見方をされやすいのも事実です。だからこそ、先輩たちは「もう少し続けたほうがいい」と助言します。この言葉は、経験則から来ています。
ただ、この言葉が当てはまらない状況があることも、事実です。三年という年数そのものに、特別な意味があるわけではありません。大切なのは、年数ではなく、その三年間で何が得られるかです。
3.先に答えを言います
結論から言うと、「石の上にも三年」を、絶対に守る必要はありません。ただし、「辞めたい」という気持ちだけで、すぐに動くのも勧めません。
判断の軸は、三つです。今の職場で、成長できているか。心身を壊すほどの環境ではないか。辞めたい理由が、環境で解決できるものか、転職でしか解決できないものか。この三つを見て、続けるか、動くかを決めてください。年数ではなく、中身で判断するのが、納得のいく選び方です。
4.続けるべきケースと、動いてよいケースの見分け方
まず、動いてよいケース、むしろ動くことを考えたほうがいいケースです。
一つ目は、心身に不調が出ている場合です。眠れない、食欲がない、朝になると体が重い。こうした状態が続くなら、三年を待つ必要はありません。まず休むことを考えてください。
二つ目は、ハラスメントや、法令に反する働き方がある場合です。長時間労働が常態化している、残業代が出ない、パワハラが放置されている。こうした環境で続けても、得られるものは少なく、失うものが大きいです。
三つ目は、成長の見込みが、明らかにない場合です。仕事の内容が単調で、新しいことを学べない。任される範囲が広がらない。上司や先輩から学べることが、ほとんどない。この状態が何年も続くなら、環境を変える意味があります。
四つ目は、会社の将来や、方向性に大きな不安がある場合です。業績が急激に悪化している、事業の縮小が続いているなど、自分の努力では変えられない要因があるときです。
次に、もう少し続けたほうがよいケースです。
一つ目は、辞めたい理由が、一時的な状況に由来する場合です。繁忙期で疲れている、特定のプロジェクトが大変、異動直後で慣れていない。時間が解決する可能性があります。
二つ目は、仕事を覚える途中で、あと少しで次の段階に進める場合です。もう少しで任される範囲が広がる、資格が取れる、実績が出せる。そのタイミングで辞めると、積み上げが途中で終わってしまうことがあります。
三つ目は、辞めたい理由が、「何となく」の場合です。「何となく不満」「何となく向いていない気がする」というだけで動くと、次の職場でも同じ不満を抱えやすくなります。まず、不満の中身を言葉にしてみてください。
ここで、確認のための問いを挙げます。辞めたい理由を、三つ書き出してみてください。次に、その理由が、部署異動や上司との話し合いで解決できるかを考えます。解決できるなら、まずそちらを試す。解決できないなら、転職を考える。この順番で整理すると、判断しやすくなります。
5.採用側の視点で見ると
元採用担当として言うと、入社一年から二年での転職自体を、一律にマイナスとは見ていません。見ているのは、その理由と、次への考え方です。
短期間で辞めた理由が、前向きで、筋が通っていれば問題ありません。「経験を積む中で、○○の分野にもっと深く関わりたいと考えた」といった理由は、納得感があります。反対に、「人間関係が合わなかった」「仕事がつまらなかった」だけで終わると、次も同じ理由で辞めるのではないかと、不安に思われます。
また、短い在職期間でも、その間に何を身につけ、何を学んだかを話せる人は、評価されます。期間の長さより、中身を語れるかどうかが大切です。
いわゆる第二新卒の層を歓迎して採用する企業も多く、一〜二年目の転職が、不利になりきるわけではありません。むしろ、早めに軌道修正することで、キャリアを立て直せる場合もあります。
6.事例:入社二年目で転職を考えた相談者
相談者は、入社二年目で、仕事に違和感を覚えていました。周りからは「三年は続けたほうがいい」と言われ、迷っていました。
まず、辞めたい理由を書き出しました。業務が単調であること、評価の基準が分かりにくいこと、将来のキャリアが見えないこと。次に、それらが今の会社で改善できるかを一緒に考えました。上司に相談した結果、一部は改善できる見込みが出ましたが、業務の内容そのものは変わらないと分かりました。
そこで、転職の準備を進めつつ、今の仕事で身につけたことを整理しました。その上で、自分が学びたい分野に近い会社へ転職しました。相談者は、「年数で決めず、理由を整理して決めたので、納得できた」と話していました。
7.補足:早期に転職するなら、準備しておきたいこと
早期に転職すると決めた場合は、いくつか準備しておくと安心です。
まず、これまでの経験を棚卸しすることです。一〜二年でも、担当した業務や、学んだこと、周りから評価された点は、必ずあります。短い期間だからこそ、具体的に、何をしたかを整理しておきます。
次に、退職理由と志望動機の筋を通すことです。前の会社への不満だけを並べるのではなく、「何を実現したくて、次の会社を選ぶのか」を軸に話せるようにします。
また、転職先で同じ悩みを繰り返さないための確認です。辞めたい理由が何だったのかを整理した上で、次の会社では、その点がどうなっているかを確認します。企業研究や面接での質問を通じて、情報を集めてください。
さらに、在職中に活動を進めるのが基本です。収入があるうちに動けば、焦りで条件の合わない会社を選ぶリスクが減ります。
最後に、周りの意見の受け止め方です。「三年は続けたほうがいい」という助言は、あなたを心配する気持ちから来ています。意見としては聞きつつ、最終的に決めるのは自分だと、整理しておいてください。
8.まとめ
転職は、「石の上にも三年」を絶対に守る必要はありません。ただし、辞めたい気持ちだけで動くのではなく、成長できているか、心身は大丈夫か、辞めたい理由が転職でしか解決できないものかを見て、判断してください。年数ではなく、中身で決める。それが、後悔の少ない選び方です。
応援しています。