1.「自分は出遅れている」と感じているあなたへ
新卒で就職しなかった。就職したけれど、すぐに辞めてしまった。気がつけば、アルバイトで生活している期間が続いている。周りは正社員として経験を積んでいるように見えて、自分だけが遅れている気がする。求人を見ても、「社会人経験三年以上」の文字に、応募する前から気持ちが折れてしまう。そんな不安を抱えながら、このページを開いてくれたのではないでしょうか。
2.既卒・フリーター期間は、本当に不利なのか
まず、不安の中身を整理します。多くの人が気にしているのは、次の三つです。正社員経験がないこと、空白に見える期間があること、年齢との兼ね合いです。
たしかに、正社員経験のある人と比べると、不利な面はあります。職種によっては、経験者を優先する求人もあります。ここを「不利ではない」と言い切ることは、しません。
ただ、「不利である」と「通用しない」は、別の話です。既卒や第二新卒、若手を対象にした求人は、数多くあります。ポテンシャルや意欲を重視して、未経験から採用する企業も、一定数あります。
そして、フリーター期間の過ごし方によって、見え方は大きく変わります。何をして、何を学び、今どう考えているか。そこが言葉にできていれば、期間そのものは、致命的な弱点にはなりません。
3.先に答えを言います
既卒・フリーター期間がある人の転職は、「期間を隠す」のではなく、「期間を説明できる状態にする」ことが出発点です。
具体的には、三つのことをします。その期間に経験したことを整理すること。なぜ今、正社員を目指すのかを言葉にすること。若手や未経験を歓迎する求人から、応募先を選ぶこと。この三つを押さえれば、出遅れていると感じている状態から、前に進めます。
4.既卒・フリーター期間がある人の転職の進め方
進め方を、順番に説明します。
一つ目は、アルバイト経験を棚卸しすることです。「アルバイトだから経歴に書けることはない」と考える人がいますが、そんなことはありません。接客で身につけた対応力、シフトを任された経験、後輩への指導、売上や在庫の管理への関わり。どんな職場でも、書けることはあります。
棚卸しのときは、次の三つを整理します。何を担当していたか。どんな工夫をしたか。その結果、何が変わったか。数字で表せるものは、数字にします。数字がなければ、周りからどう評価されたかでも構いません。
二つ目は、空白期間を整理することです。アルバイトをしていない期間や、資格の勉強をしていた期間、家族の事情で働けなかった期間などがあれば、事実を整理しておきます。面接で聞かれたときに、慌てず、短く説明できる状態にしておくことが大事です。説明の中身は、事実に沿って、前向きに話せる部分を選びます。嘘は書かず、言い訳にも聞こえないように、淡々と話すのがコツです。
三つ目は、正社員を目指す理由を言葉にすることです。「安定したいから」だけでは、弱く聞こえることがあります。なぜ正社員なのか。その仕事で何をしたいのか。アルバイトで何を感じたのか。自分の経験から出てきた言葉にすると、説得力が出ます。
四つ目は、応募先を選ぶことです。最初から、大手や人気企業だけを狙うと、苦戦しやすくなります。若手向けや未経験歓迎の求人、人手不足の業界、育成に力を入れている企業など、可能性の高いところから始めてください。選んだ求人で経験を積み、次のステップにつなげる、という考え方も大切です。
五つ目は、相談できる窓口を使うことです。ハローワークには、若者向けの窓口があります。地域若者サポートステーション(サポステ)のように、就職に向けた支援を行う機関もあります。既卒や第二新卒に強い転職エージェントも、選択肢の一つです。一人で進めるより、情報も、気持ちの面も、楽になります。
六つ目は、職務経歴書の書き方を工夫することです。アルバイト経験が中心でも、職務経歴書は書けます。時系列で並べるだけでなく、「担当した業務」「工夫したこと」「得られたこと」を、見出しごとにまとめます。応募先の仕事につながる経験を、上のほうに置くのも効果的です。
5.採用側の視点で見ると
元採用担当として言うと、既卒やフリーター経験のある応募者を見るとき、一番気にしているのは「これから、うちで続けてくれるか」です。過去に正社員経験がないこと自体より、なぜ今、正社員として働きたいのか、その覚悟が伝わるかを見ています。
そのため、フリーター期間の説明は、言い訳でも、反省ばかりでもなく、「この期間に何を考え、今どうなりたいのか」という流れが伝わると、印象がよくなります。
また、アルバイトでの責任ある経験を、具体的に話せる人は評価されます。「ただ働いていた」のではなく、「任された仕事にどう向き合ったか」が見えると、仕事に向き合う姿勢が伝わります。
逆に、期間について聞かれて、曖昧にごまかしたり、他責の話が長くなったりすると、不安を持たれやすいです。事実を短く伝え、これからの話に移るのが、好印象です。
6.事例:フリーター期間を経て正社員になった相談者
相談者は、大学卒業後、数年間アルバイトを続けていました。「正社員経験がないので、どこも受からない」と話していました。
最初に、アルバイトの経験を棚卸ししました。飲食店で、新人教育とシフト調整を任されていたこと。繁忙期の混雑を減らすために、動線を工夫したこと。そうした経験が、書き出していくと、いくつも出てきました。
次に、なぜ正社員を目指すのかを整理し、若手歓迎の求人に絞って応募しました。面接でも、アルバイトで任された経験と、これから身につけたいことを、具体的に話しました。
その結果、複数社から内定を得て、納得できる会社を選びました。相談者は、「何もないと思っていたが、書き出したら話せることがあった」と話していました。
7.補足:応募の前に確認しておきたいこと
応募する前に、いくつか確認しておくと安心です。
まず、「既卒」「第二新卒」「フリーター」といった言葉の定義は、企業や求人サイトによって、少しずつ違います。卒業後の年数で区切る場合もあれば、年齢で区切る場合もあります。応募資格に書かれた条件を、一度よく読んでください。
次に、求人票の「応募条件」は、あくまで目安の場合があります。「経験者歓迎」とあっても、条件に完全に当てはまらなくても、意欲や人柄を見て、選考に進める企業もあります。気になる求人があれば、条件を理由に諦めず、応募してみる価値はあります。
また、年齢についても、焦りすぎないでください。年齢が上がるほど、選択肢が狭まる傾向があるのは事実です。ただ、だからといって、焦って条件の合わない会社に決めると、早期の離職につながります。準備をしながら、行動は早めに。このバランスが大切です。
最後に、アルバイトを続けながら活動するか、一度辞めて活動に専念するかは、生活面の事情によります。収入が途切れると、焦りから判断を誤りやすくなります。可能であれば、収入を確保しながら活動できる形を、考えてみてください。
8.まとめ
既卒・フリーター期間がある人の転職は、期間を隠すのではなく、説明できる状態にすることが出発点です。経験を棚卸しし、正社員を目指す理由を言葉にし、若手や未経験を歓迎する求人から始める。出遅れていると感じても、準備次第で、道は開けます。今日から、書き出せることを一つずつ書き出してみてください。
応援しています。