「音声配信って、再生数が増えなくて意味があるのかな」
──そんな迷いを抱えたまま配信を続けている方に、今回は少し違う角度からデータを持ってきました。
Voicyが1,492名のリスナーを対象に実施した調査で、企業の音声配信が採用候補者の志望度を大きく引き上げることが数字で示されました。
これは「音声配信を頑張りましょう」という話ではありません。音声が持つ力の使いどころが、再生数とは別の場所にもあることを示す、判断材料になりうるデータです。
取り上げたニュース
記事タイトル: 音声配信が採用候補者の志望度を向上させる効果が明らかに―Voicyが1,492名を対象に調査
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発表日: 2026年2月26日
参照元: コマースピック・株式会社Voicy プレスリリース
株式会社Voicyが2026年2月に実施した調査(対象:直近2週間以内に音声配信を聴いたリスナー1,492名)により、企業の音声配信がリスナーに「親しみやすさ」と「先進性」を強く感じさせることが判明。
企業ブランディングの手段として有効であることが示された。
テキストの採用記事と比較した調査では、音声で社員の声を聴くほうが「一緒に働く仲間の人柄」や「社内の雰囲気」をより深く感じ取れると回答したリスナーが多く、テキストでは伝わらない「温度感」や「本人性」が信頼醸成につながると考察されている。
選考前に社長や現場社員の声を聴くことができた場合、リスナーの88.7%が「志望度が高まる」と回答。うち「非常に高まる」と答えた層は52.8%に達しており、採用サイトへの音声コンテンツ設置が候補者の意欲向上に直結することが示された。
このデータが示している最大のポイントは、「音声の価値を測る指標が、再生数だけではない」という事実です。
採用領域において、音声は「読むより信じられる」メディアになっています。
テキストの採用記事は、どれだけ丁寧に書いても「会社が作った文章」という印象をぬぐえない。
ところが、実際の社員や社長の声は、編集されていない分だけ「本人がそこにいる感覚」を生む。
これは音声という媒体の構造的な強みです。
88.7%という数字も見逃せません。これは「聴いたら志望度が上がった人もいた」というレベルではなく、「聴けばほぼ全員の意欲が動く」という状況です。採用という文脈で言えば、これほど費用対効果の高いコンテンツはなかなかありません。
なぜ今これが起きているのか?
採用市場の競争が激化する中で、候補者側の「企業を選ぶ眼」は年々厳しくなっています。給与や福利厚生といった条件面だけでなく、「この会社の人たちと働きたいか」という感覚的な判断が、入社意欲に直結するようになっています。
その判断材料として、テキストやビジュアルでは届けられなかった「声の情報」に価値が生まれているわけです。コロナ以降のオンライン選考の普及で、実際に職場を見る機会が減った分、音声を通じた「空気感の伝達」への需要はさらに高まっています。
あなたの番組や仕事にどう関係するか?
音声配信に取り組んでいる企業担当者の方に、まず確認してほしいことがあります。今配信しているコンテンツは、採用の文脈でも使えていますか?
多くの企業の音声番組は、既存のフォロワーや業界関係者向けに設計されています。しかし、今回のデータが示すように、候補者が「入社を検討する前の段階」で自社の声に触れられる環境を作ることは、採用コストの削減にも直結します。
発信テーマの面では、社長の言葉・現場メンバーの対談・入社後のリアルな話といったコンテンツが、再生数とは無関係に高い採用効果を持つことがわかっています。
「再生されないから意味がない」と思っていたエピソードが、採用候補者の意思決定を動かしていた、という逆転が起きうる領域です。
また、音声編集・制作に関わるビジネスパーソンの視点で言えば、このデータは「採用担当者や人事部門への提案材料」として使えます。
広報的な発信という文脈でしか語られなかった音声配信を、採用ROIの観点で話せるようになると、クライアントへのアプローチがひとつ増えます。
今すぐやること
自社または担当クライアントの音声コンテンツを、採用サイトや求人ページに設置できるか確認してみましょう。既存のエピソードの中に、社員の人柄や職場の雰囲気が伝わる回があるなら、採用文脈での導線を作るだけで価値が生まれます。
今はやらなくていいこと
「採用専用の音声コンテンツをゼロから作る」ことを急ぐ必要はありません。まずは既存の配信をどう活用するかを考えてからで十分です。制作コストをかける前に、今あるものの使い方を広げることが先です。
再生数が伸びなくても、誰かの意思決定を動かしている音声コンテンツがある。今回の調査は、そのことを数字で示してくれました。
「何のために音声配信をしているのか」という問いは、再生数や登録者数だけで答える必要はありません。採用、信頼の醸成、組織の透明性──声が届く場所は、プラットフォームのランキングの外側にも広がっています。
自分の番組や配信が、どんな文脈で誰の判断を変えているのか。そこまで想像を広げてみると、続ける理由が増えるかもしれません。
執筆・監修
でんすけ|音声メディアプロデューサー(Office Scene8 代表)
大阪出身、40歳。テレビ局・レコーディングスタジオ、ラジオ局で番組プロデューサー兼エンジニアとして番組づくりに携わり、企画から制作、収録、編集まで一貫して経験。これまでに100名以上のパーソナリティをサポートしてきました。
業界のニュースやトレンドをそのまま追うのではなく、その人の立場やフェーズを前提に、「今、何に時間とリソースを使うべきか」を整理し、一緒に考えることを大切にしています。
【主な実績】
Apple Podcast マネジメント部門1位/ビジネス部門3位
DLsite ボイス・ASMR部門1位/総合2位
Voicy 企業部門1位/フォロワー11.2万人
近畿コミュニティ放送 番組賞・パーソナリティー賞 W受賞
ラジオドラマ、CM、ASMR制作など業界歴15年以上
【安心サポート】
技術面だけでなく、「配信を楽しみながら継続する」ための判断や選択を重視。メンタルコーチおよびコーチングの有資格者として、配信者一人ひとりの不安や迷いに寄り添い、状況に応じた伴走を行っています。