「来月の売上はどれくらいになりそうか」を、月末になってから確認していないでしょうか。
AIを使えば、過去の売上だけでなく、現在の案件や今後の予定も含めて見通しを作りやすくなります。ただし、AIへ数字を入れれば自動的に正しい予測が出るわけではありません。最初に、社内のデータを同じ基準で揃える必要があります。
2026年8月31日にGoogle Researchが発表した時系列予測モデルでも、過去の実績だけでなく、複数の関連データや、将来すでに分かっている予定を組み合わせる考え方が示されています。
中小企業で最初から高度な予測システムを導入する必要はありません。まず、次の3つの数字を毎月同じ表へ集めるところから始められます。
【1.請求済みの売上実績】
最初に揃えるのは、すでに請求書を発行した売上です。
会社によって、売上を認識する時点は異なります。「受注時」「納品時」「請求書発行時」などが混在すると、AI以前に集計結果がずれてしまいます。
たとえば請求書発行時に売上としている会社なら、次の項目を月ごとに揃えます。
・請求書の発行日
・取引先
・案件名
・税抜金額
・入金予定日
まずは過去6か月から12か月分を揃えると、月ごとの増減や季節的な偏りを確認しやすくなります。
【2.納品・請求予定の金額】
次は、すでに受注しているものの、まだ請求していない案件です。
受注金額だけを見ると、今月請求する案件と3か月後に請求する案件が一緒になってしまいます。そのため、案件ごとに「いつ売上になる予定か」を持たせます。
必要な項目は次のとおりです。
・受注金額
・納品予定日
・請求予定月
・進捗状況
・請求が遅れる可能性
納品予定日が変更されたら、請求予定月も更新します。この更新が止まると、予測表だけが立派で、実際の売上と合わなくなります。
【3.見積・提案中の金額と確度】
まだ受注していない案件は、確定売上と分けて管理します。
「見積を出したから全額売上になる」として計算すると、予測が過大になります。そこで、次のように状況別の確度を決めます。
・相談を受けた段階
・見積を提出した段階
・条件調整中
・発注の意思を確認済み
確度を金額へ掛けた数字は、あくまで参考値です。たとえば100万円の見積で確度を50%とした場合、参考予測は50万円ですが、50万円の受注が確定したわけではありません。
確定分、予定分、提案中を色分けして表示すると、経営判断に使いやすくなります。
【AIに任せやすい作業】
3つの数字が揃えば、AIは次のような整理を支援できます。
・前月や前年同月との差をまとめる
・売上が少ない月を見つける
・請求予定が集中している案件を抽出する
・予定から遅れている案件を一覧にする
・経営者向けの短い報告文を作る
一方、案件の受注確度や納品可能日をAIだけで決めるべきではありません。営業担当、制作担当、経理担当が状況を確認し、人が数字を更新する必要があります。
【予測は1本ではなく3段階で見る】
月次の売上見通しは、1つの金額だけで示すより、次の3段階に分けると判断しやすくなります。
・最低ライン:請求済みと請求がほぼ確定した金額
・標準ライン:予定どおり進んだ場合の金額
・上振れライン:提案中の案件も一部決まった場合の金額
予測には必ず幅があります。「AIが出した金額だから正しい」と考えず、実績との差を毎月記録し、確度や計算方法を見直すことが大切です。
【注意したいこと】
顧客名、契約金額、担当者情報などは重要な社内情報です。外部のAIへ入力する前に、利用規約、保存設定、社内ルールを確認してください。
初めは顧客名を「A社」「B社」に置き換え、必要最小限の数字だけで試す方法もあります。
【今日からできる小さな一歩】
新しいシステムを作る前に、表計算ソフトへ次の3列を作ってみてください。
・請求済み金額
・請求予定金額
・提案中金額
それぞれを同じ月ごとに集計し、「どの数字が更新されていないか」を確認します。AIによる予測は、その後でも遅くありません。
売上予測に使える表へ現在のExcelやスプレッドシートを整えたい方には、公開中の「Excel・スプレッドシートを改善します」で、入力項目や集計方法を整理しています。