【うつ病】うつ病の方によく見られる「白黒思考」について―グレーを思い出すことが、回復の第一歩になる―

【うつ病】うつ病の方によく見られる「白黒思考」について―グレーを思い出すことが、回復の第一歩になる―

記事
コラム
うつ病の方とお話ししていると、とてもよく耳にする考え方があります。
それが「白黒思考」と呼ばれるものです。

白黒思考とは、物事を
「できた/できなかった」「良い/悪い」「価値がある/価値がない」
と、極端に二分して捉えてしまう思考の癖のことです。
本来ならその間にたくさんのグラデーションがあるはずなのに、心が弱っていると、その中間が見えなくなってしまいます。

たとえば、こんな思いが浮かぶことはありませんか。
・少ししか動けなかった →「今日は何もできなかった」
・小さな失敗をした →「自分はダメな人間だ」
・気分が沈んでいる →「もう一生このままだ」

冷静に考えれば、
「少しはできた」「たまたま失敗しただけ」「今は調子が悪い時期」
という見方もできるはずです。
それでも、うつ病の状態にあると、心は自然と一番厳しい結論へと向かってしまいます。

これは性格が弱いからでも、考え方が未熟だからでもありません。
うつ病になると、脳のエネルギーが落ち、思考の柔軟性が低下すると言われています。
柔らかく考える力が弱まり、物事を単純化しないと処理できなくなるのです。

そのため、
「もっと前向きに考えなきゃ」「ポジティブにならなきゃ」
と自分を追い立てることは、かえって逆効果になることもあります。
白黒思考は“怠け”ではなく、今の心が精一杯生き延びようとしているサインでもあるのです。

では、白黒思考に気づいたとき、どうすればいいのでしょうか。

大切なのは、考え方を無理に変えようとしないことです。
代わりにおすすめしたいのは、「今、自分は白黒で考えているな」と一歩引いて眺めることです。

たとえば、こんな問いをそっと投げかけてみてください。
・本当に0点だろうか。10点くらいはなかっただろうか。
・大切な人が同じ状況だったら、なんと声をかけるだろうか。
・「今日はここまでで十分」という選択肢はないだろうか。

答えがすぐに見つからなくても大丈夫です。
大事なのは、白と黒の間にグレーという色が存在することを思い出すことです。

うつ病の回復は、「急に元気になる」ことではありません。
多くの場合、
「自分を極端に責めなくなる」「0か100かで判断しなくなる」
ことから、少しずつ始まっていきます。

今日は5割の日でもいい。
今日は休む日でもいい。
今日は生きているだけで合格の日でもいい。

そうやって、心に余白が戻ってくると、思考も少しずつ柔らかさを取り戻していきます。

もし今、白黒思考で自分を追い詰めていると感じているなら、
「これは病気の影響なんだ」
「今はグレーが見えにくい時期なんだ」
そう理解してあげてください。

あなたが苦しいのは、頑張っていないからではありません。
むしろ、これまでたくさん頑張ってきたから、心が疲れているのです。

白黒ではなく、グレーの世界に戻ること。
それは、弱さではなく、回復へ向かう確かな一歩です。


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