中小企業経営のための情報発信ブログ369:会計天国

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ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
さて、今日は竹内謙礼・青木寿幸著「会計天国」(PHP文庫)を紹介します。以前、両氏著の「戦略課長」「猿の部長」を紹介しました。今回は「これまでにない笑いと涙の実用会計ノベル」です。
ネタバレにならない程度にストーリーを話すと、フリーランスのコンサルタント北条が娘の挙式の打ち合わせに向かう途中に事故に遭って脳死状態になります。誰かに呼びかけられ目を覚ますと、K と名乗る天使がいます。K からくじ引きを薦められた北条は現世復活チャンス券をゲットします。これは「自分にゆかりのある人物5人を幸せにすることができたら生き返らせてあげる」というものです。5人のうちの1人でも幸せにできなければ地獄行き。このまま天国に行くか、地獄行きのリスクを冒してでも現世復活の道を行くか、の選択が迫られます。何としても娘の結婚式に出席したい北条は、現世復活に賭けて、コンサルタントとしての知識を駆使して迷える5人を成功に導いていくというビジネス小説です。このストーリーに沿って、貸借対照表や損益計算書の読み方、キャッシュフローの考え方、さらに事業戦略の基本を丁寧に解説してくれています。
この本の構成は次の通りです。
序章  「1週間後にお亡くなりになります」
第1章 なぜ「儲かっている」と言われる会社が倒産するのか?
第2章 価格競争に陥ったら、会社がやるべきことが一つある
第3章 粉飾決算という泥沼から抜け出して再生する
第4章 部長課長が同期との競争に勝って出世する方法
第5章 会社の戦略が変われば、組織も当然変わる
最終章 「幸せ」になろうとする意志 
北条がコンサルタントとしての知識を駆使して幸せにしようというのは、次の5人です。
 Ⅰ:アパレル会社を立ち上げた元アイドル社長・・・ずっと黒字なのに今月の給与と家賃が払えない!
 Ⅱ:アニメグッズを販売する上場企業のオタク社長・・・直営店ビジネスが大コケして、株価が急降下!
 Ⅲ:親が買収した子会社へ出向した経理担当の娘・・・運転資金が足りなくなり、長年の粉飾決算が発覚!
 Ⅳ:大手専門商社の「売り上げ至上主義」の部長・・・ノルマ重視の一課と利益重視の二課の課長が大喧嘩!
 Ⅴ:2つの新規事業を立ち上げた青年実業家・・・多角化経営のつもりが戦略不足、資金繰りに行き詰まる!
第1章では貸借対照表の読み方が、第2章では損益計算書を使って会社の本質を分析することが、第3章ではキャッシュフロー計算書の考え方が示されています。そうした会計の知識については、本書を読んで学んでください。小説なので具体的で分かりやすく解説されています。
ここでは、この本の中で、北条や K ら登場人物が喋っている中から、役に立つと思われる言葉を引用しておきます。
「北条さんが考える、社長として成功できる才能って、何ですかね?」「『スケベ』で『ワガママ』で『ケチ』ってことだ。『スケベ』は欲望が強いこと。『ワガママ』は自己実現の力の強さを意味して、『ケチ』はコスト管理に長けているってことさ」
私、今まで自分ばっかりが運が悪いって思ってたけど、運は他人から与えられるんじゃなく、自分の頭で考え、努力して切り開いていくものだって、やっと分かった気がするの
「スタートラインに立つってことは『ゴール』を決めたってことですからね。でも、それは、同時に失敗をする覚悟を持つってことですよね?」「その彼女にとっての『ゴール』って父親を見返すことでも、企業を成功させることでもなく、きっと『自分の殻を破ること』なんだって思ったんだ・・・」「他人と自分のどちらが『幸せ』かなんて比べても意味がないんだよ。重要なのは、自分の『ゴール』を見つけて、それに向かって走る意志を持つことなんだ」
試験に合格できる頭の良さっていうのは、勉強をやる要領がいいってことなんだ。忙しい仕事の合間でも要領よく勉強して、その知識を仕事に活かせる人間だけが、成果を上げることができるって、会社は知っているんだ。仕事は本番の試験ってことなんだぞ。サラリーマンだから勉強しなくてもいいなんて思ってたら、いつまでたっても試験には合格できない。つまり、一人前のサラリーマンにはなれないんだ。
仕事のテクニックを教えたり、モチベーションを上げるなど、部下の面倒を見ることは上司の大切な仕事だと思うぞ。部下とお酒を飲みに行くのも、悪いことじゃない。だが、本当に上司の仕事で大切なのは「利益を稼ぐこと」なんじゃないのかね?
いくら部下に営業テクニックを教えてモチベーションを上げることができても、公平な評価ができなければ、いずれ優秀な部下はあんたから離れて行ってしまう。感情的な目標設定だけでは、いつかチームは崩壊してしまうもんなんじゃ。
あんたは、すぐの犯人を捜したがるな。いつも口うるさいお客にペコペコしながら「責任は当社にありますから」って繰り返して、それが癖になったんじゃないのか?会社は責任を押し付け合う場所ではない。社員が協力し合って、売上を上げて利益を稼ぎ、その中から給料を分け合う組織体なんじゃ。その給料によって、社員やその家族が幸せに暮らせる、これを目標にすべきじゃないのか?
仕事というのは、ちょっとした工夫で儲かるようになるもんじゃ。上司に言われたとおりの仕事をしているから儲からないし、工夫しないからつまらない。まあ、忙しすぎるとそんな感情も麻痺して分からなくなってしまうんだがな。一度突き放して自分の頭でゆっくり感がさせることは、善い経験になるはずじゃ。
「私は、今まで実務を通じて仕事を覚えれば、それで終わりだと思っていました。でも、新しい知識を身につけたり、もっと数字に強くなるために勉強することが必要だったと、今、痛感しています」「勉強を始めるのに早い、遅いはない。やるべきだと感じたときから、一生懸命やれば十分なんじゃよ」
「1人の仕事ができるスーパーマンを育てるよりも、組織的に対応できて、素早く動ける人間がたくさんいる方が、固定費が分散できるので利益につながるってことなんですね。皆で協力できる会社という組織が発展してきた意味がよく分かりました」「会社は社員が幸せになる組織でなければ発展できないんじゃ。効率よく稼ぐことで、みんなが早く帰れて、それでいてたくさんのお金を分配できるようにするのが、上司の役目なんじゃ」
今、儲かっている組織が生き残るわけでも、結束力が強い組織が生き残るわけでもない。過去のやり方を反省し変わり続けることができる組織こそ、生き残ることができるんじゃ。
チームというのは、どんな場合でも目標との『ズレ』を確認し合い、より良い方向に進むようにみんなd考えるべきなんじゃよ。それを繰り返すことで、社員全員が自分に対して、「なぜ、こうなったのか?」と行動を見直すことにもつながるんじゃ。
戦略が変わったら、組織もそれに従って帰るのは当たり前のことよ。だって組織外膜機能しなかったら、会社は絶対に儲からないもの。だからこそ、再syに会社の戦略をしっかり決めることが重要なの。いい加減に毛めていたら、組織もコロコロ変わって、社員がついてこなくなっちゃうわ
自分の理想や夢を実現するためだけに、ビジネスをやるなんて最悪よ。『良い材料を使いたい』『良い設備を使いたい』『立地の良い広い場所でやりたい』というのは、一見、お客様のためのように思えるけど、それは自分のエゴでしかないわ。肝心なのは「利益を出すこと」。そして儲かっているからこそ、お客にそれが還元できるのよ。
「猿の部長」「戦略課長」ともども、この「会計天国」も、ビジネスパーソンにとって役に立つ本です。
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